キリアン・マーフィー
ノーラン作品に初登場したジョナサン・クレイン博士(通称:スケアクロウ)を演じた『バットマン ビギンズ』でロンドン映画批評家協会賞にノミネートを果たす。その後、『ダークナイト』、 『ダークナイト ライジング』でも同キャラクターに。ディカプリオ主演の大ヒット作『インセプション』では、標的となる億万長者の息子を演じ、その演技力に磨きをかけた。5度目の登場となる本作では、ドーバー海峡に漂流する“謎の英国兵士”を演じる。名前すら与えられていないキャラクターであるにもかかわらず、ノーランと組むチャンスを得たキリアンは出演を快諾。戦争に直面し、パニック状態になる複雑なキャラクターを演じた。
Q:出演の経緯
クリストファー(以下クリス)が電話をくれて、脚本を送るからと言ってくれた。僕たちはお互いをよく知っているので、彼は僕が何に興味をもつかが分かっている。どんな役柄なら僕が挑みたいと思うかもね。それにクリストファー・ノーラン映画なら、その可能性は相当高い。彼がまた声をかけてくれるのはうれしい。それに今回は……、とにかく圧倒された。
Q:“謎の英国兵士”は、名前のないキャラクターについて
僕が演じるキャラクターは、無数の兵士たちの体験を象徴していると思う。それは戦争というものが人に与えうる深い感情的、心理的なダメージなんだ。彼が最初に登場するのは、ダンケルクから兵士たちを撤収させるために英仏海峡を渡っている民間の船のひとつ、ムーンストーン号に助け上げられるところ。彼は、精神に影響を及ぼすほどの恐怖体験から 生き延びたばかりなのに、「いや、この船はあそこ(ダンケルク)に戻るとこだ」と言われてしまう。
この映画は、ダンケルクで起きている出来事全体に及ぶ交錯する複数のストーリーを描いていく。ノーラン映画ならで の映画で、それらの異なるストーリーは同じ時間軸では展開しない。それぞれにふさわしいペース――陸地の1週間、海 上の1日、そして空の1時間――があり、僕のキャラクターはその2つの時間軸の中で登場することになる。
Q:実際の現場で撮影する重要性とは?
クリスの映画にあれだけの強烈さと、理屈抜きで訴えかけてくるものがあるのは、彼ができる限りのアクションを“実際にカメラで捉える”という決意があるからだ。『インセプション』では、吹雪の中、山腹で撮影したときに、完全に視界がきかなくなっても彼は撮影を続けた。俳優からとことん純粋な反応、あるいは正直な反応を引き出したいなら、実際の海に放り込んだり、本物の戦闘機スピットファイアを頭上に飛ばしたりするのがいちばんいい。観客は、俳優が実際にやっているというそのリアルさを感じるからね。
Q:撮影現場の印象は?
何がいちばん凄いかというと、その真ん中にいるクリスが完全に平然としていること。まったくパニックが起こらない。爆弾とか、飛行機が墜落するんじゃないかとか、誰も何も心配しない。すべてが当たり前に進んでいく。クリスは最初から最後までコントロールを失わず、いったん必要な映像を撮れると、あっさりこう言う、「撮れた。次」って。彼の撮影現場は注意深く構成された仕組みのようなもので、決して混乱状態には感じられないんだ。
Q:ノーラン作品の撮影現場で、いちばん感銘を受ける点は?
彼のビジョン。映画に対する熱烈な意欲。そして映画全般に関する包括的な理解力だね。映像的に特出している監督、俳優、その演技に関してとても理解が深い監督、そして脚本の理解が優れている監督がいるが、クリスはそのすべてを把握している。映画に関する仕事の一つひとつを自分のものとして理解している。だから、クリストファー・ノーラン映画で仕事をする場合は最高の力を出さないといけないんだよ。さもないと、彼のほうがうまいから(笑)。
トム・ハーディ
全世界でメガヒットした『インセプション』のイームス。続く『ダークナイト ライジング』では、マスクをつけた極悪非道の男ベインに扮し、顔が見えない難役にもかかわらず圧倒的な存在感を披露。3度目のタッグとなる本作では、史上最大の救出作戦を空らか守るスピットファイアのパイロット、フィリアを演じている。
Q:出演のきっかけ
ノーラン監督から電話をもらった。アンサンブルキャストが出演し 、あのダンケルクの戦いを描く映画を作ると言われた。戦闘機スピットファイアのパイロットを演じてほしいとね。第二次世界大戦中、スピットファイアは実際に空を飛んでいた。ノーラン監督は当時の英国空軍を正確に描きたかった。
Q:戦闘機スピットファイアについて
トライアンフ社のオートバイに似ている。旧式の工学で作られ、ボディが美しい。ガタガタと音を立てて走るからフ ァンが多いのもうなずけるよ、工学の傑作だ。窮屈だけど愛さずにいられない。でも作業空間はとても狭い。小さな物入れに座っている感じだ。重装備でね、でも楽しかった。
Q:コックピットでの演技について
僕の英国空軍のシーンで監督が求めていたのは無線通信でのパイロット間の交信だった。パイロットの交信はとてもはっきりしていて抑揚もなく『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』同様声がはっきり聞こえる。そして動きはあまりない。多くの意味で興味深い演技環境だった。パイロットはまるで外科医みたいだ、観察し、起こっていることを告げる。とてもはっきりと、しかもすごいスピードで動きながら。そこには驚くべきドラマがある。マスクや帽子をつけていなくてもスピットファイア自体が登場キャラクターのひとつなんだ。
Q:盟友クリストファー・ノーランについて
クリストファー・ノーランは動き続けている。彼はどんどん進化する。学び、経験し、振り返り、結果を踏まえ、前進し、専念し、挑戦し、革新的なことをやる。客観的に見ると彼はそんな人間に見える。彼は自分の旅を続けているんだ。実行あるのみ。じつに聡明な監督だから、彼との関係は何も変わっていない。尊敬をしているし、何かをすると言えば、僕は信じる。彼に頼まれれば何だってするよ。
『ダンケルク』は9月9日(土)公開!
波で知られるドーバー海峡の先にある故郷に帰れない40万人を、故郷が迎えに来る。クリストファー・ノーラン監督が描くのは、戦いではなく撤退の物語。映画が始まった瞬間から観客は絶体絶命の地ダンケルクに連れて行かれる。早くもアカデミー賞®大本命の呼び声が高い『ダンケルク』は、全世界で4億ドルを超える大ヒットを受け、9月9日(土)、日本上陸を果たす。映画館では、想像を遙かに超える映画体験で観客を圧倒してきたノーランが放つかつてない究極の映像体験が待っている。
ダンケルク
2017年9月9日(土)全国ロードショー!
『ダンケルク』(英題:Dunkirk) 上映時間106分/7月21日全米公開
【監督・脚本・製作】:クリストファー・ノーラン
【出演】:フィン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイル、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライランス、トム・ハーディほか
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海の町、ダンケルク。追いつめられた英仏軍40万、撤退を決断。若き兵士トミーは、絶体絶命の窮地から脱出できるのか!? 民間船もが救助に関わった、史上最大の救出作戦が幕を開ける。『ダークナイト』『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督が描く実話史上最大の救出作戦。[究極の臨場感][究極のタイムサスペンス][究極の映像体験]一息もつかさない99分間!