今も絶大なる人気を誇る永遠のアクション・スター、ブルース・リーの、ただ一人の師として知られる、伝説の武術家・葉問(イップ・マン)。本作『グランド・マスター』は彼の知られざる実話をもとに、中国武術を受け継ぎ、その技と精神を磨き上げ、次代に継承していった宗師(グランド・マスター)たちの闘いを描く、愛と宿命の物語だ。
今作の監督を務めるのは、『花様年華』や、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』など、今なおその映像美で多くの人を魅了し続けているウォン・カーウァイ。そして主演のイップ・マンを務めるのは、ウォン・カーウァイ作品に多く出演するトニー・レオン。彼はイップ・マン最後の直弟子であるダンカン・リョンから直接、4年間にも及ぶトレーニングを受け、心身共にイップ・マンを演じている。そして、脇を固める俳優陣には、世界のトップスターに登りつめたチャン・ツィイー、『レッドクリフ』シリーズのチャン・チェンなど実力派が揃う。
© 2012 Block 2 Pictures Inc. All rights
物語の舞台は、戦争の足音が刻一刻と迫る1930~40年代、中国。流派を極めた長は宗師(グランド・マスター)と呼ばれるが、北の八卦掌の宗師であるパオセンが、その地位を譲ろうとすることから始まる。候補は一番弟子の馬三と、南の詠春拳の宗師・イップ・マン。パオセンの娘で、奥義六十四手を唯一受け継ぐ宮若梅も、名乗りを上げる。だが、野望に目の眩んだ馬三がパオセンを殺害、若梅はイップ・マンへの想いを胸の奥底に沈め、仇討ちを誓う。八極拳の宗師で一線天と呼ばれる謎の男も、不穏な動きを見せている。継承者争いと復讐劇、愛と憎しみが絡み合う、真のグランド・マスターの決める戦いの物語である。
そもそも、『グランド・マスター』を制作するにいたるすべての始まりは、ウォン監督が『ブエノスアイレス』撮影中のアルゼンチンで、ブルース・リーが表紙の雑誌を見たこと。遠い外国で愛され続けている彼の映画を撮りたいと熱望したのだ。それから17年の間に、構想は中国武術の世界へと広がり、8年もの歳月をかけて、膨大な資料の研究と、現在のグランド・マスターたちへの綿密な取材を実施した。このウォン・カーウァイ渾身の作『グランド・マスター』が遂に今週5月31日(金)より公開される。いったい誰が真のグランド・マスターとなるのか、ぜひ劇場で目撃して欲しい。
Text by Naomi Ise
映画『グランド・マスター』
2013年5月31日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
© 2012 Block 2 Pictures Inc. All rights
監督・脚本・製作:ウォン・カーウァイ(王家衛).『恋する惑星』 、『2046』、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
武術指導:ユエン・ウーピン(袁和平)『グリーン・デスティニー』、『キル・ビル』、『マトリックス』
音楽:梅林茂(Shigeru UMEBAYASHI)『LOVERS』『2046』『ハンニバル・ライジング』
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン
原題:The Grandmasters 一代宗師
配給:GAGA