Interview:Brett Ratner HERCULES
––––非常に大規模な作品ですが、制作してみての感想はいかがですか?
大規模映画には長い間関わってきて、手掛けるのはこれで10本目になる。大規模な映画の制作のかなめは、その時々、作っているその映画1本に集中するということだ。大作を初めて手掛ける若手の監督にしているアドバイスは、その日その日の撮影に焦点を絞れ、というものだ。映画の全体を考えることも重要だが、もっとも集中すべき点はその日の撮影の内容だよ。シーンそれぞれで何をやりたいのかをしっかりと把握し、それを毎日達成していくことが大切だよ。この方法で長年やってきて、かなり上手くやってきたと思う。
––––なぜここハンガリーで撮影することになったのですか?
状況的な理由が大きいね。イギリスの撮影所がうまっていたし、料金も高くて、他を探すことになった。モロッコも考えたが、古代ギリシャはああいった砂漠ではなかった。ここのサウンド・ステージはすごく良くて、また外にある土地も広くて大きなセットを三つ建てることができた。食事もおいしい。だからここにしたんだよ。
––––この映画はグラフィック・ノベルが原作になっているわけですが、この映画はどのくらい忠実な内容ですか?
かなり近いものになっていると思う。スポイラーになるような内容は明かしたくないけれど、グラフィック・ノベルのファンの人には気に入ってもらえる、楽しんでもらえる内容になっていると思う。テーマや手法、発想的な点で。いくつか削除しなければならないキャラがいたものの、映画はグラフィック・ノベルの映画版を観ている感じだよ。
––––セットを作って撮影したのは全体のどれくらいの割合ですか?
セットで撮影したのは室内シーンがほとんどだ。あと城塞のシーンなんかもセットを使う。これから撮るシーンだが。セットの規模でいえば、城壁のセットはコロシアムのセットよりも大がかりだ。非常に大きい。
––––CGはどれくらい使用しますか?
実写で撮った部分を増強する手段として使う程度だよ。『300』のようにはならない。ここに来て、かんかん照りの大きな野原のど真ん中で、シリに大汗かきながら戦場のシーンを実写しているんだぜ。同じシーンをCGIでやれば、見ている人はすぐにソレと気が付くはずさ。実写のほうが、落ち着きがあり、実感もわくし、『ブレイブハート』のような雰囲気が出せると思う。個人的にああいった雰囲気がとても好きなんだよ。
––––ドウェインの演じるヘラクレスに期待が集まりますが、ズバリ彼の魅力とは?
これまで僕の最愛の俳優はジャッキー・チェンだと思っていたんだ。今回新しい最愛のキャストに出会った。ドウェインだ。彼の毎朝の準備のワークアウトを知っているかい?その厳しさたるや、すごいよ。朝2時ころ起きて、8時ころの撮影のためにだよ。まずワークアウトしてステーキを8枚と卵焼きを12個食べて、それからまたワークアウト。あれほど自分に厳しくトレーニングする人間は知らないよ。彼のプロ根性はすごいよ。
––––本作が他の『ヘラクレス』と異なる点は?テーマについて教えてください。
この映画は英雄が英雄になるまでの話だよ。それがこの映画の最大のテーマだ。自分の信念を否定され挫折し、自分自身を見つける過程について。この映画におけるヘラクレスは自分が神の子供であると信じていないし,神も信じていない。その彼は、映画が終わるまでに、彼は自分に何か精神に特別な能力があることを信じるようになる。特別な強さを自分の中に発見する。そんな点に観客が共感してもらえればと思う。特にそれを行業しく説教するのではないけれど。これは宗教映画ではないんだから、表現はずっと婉曲的だよ。
『ヘラクレス』
10.24(金)、TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー
監督:ブレット・ラトナー
製作総指揮:ピーター・バーグ、サラ・オーブリー、ジェシー・バーガー
製作:ボー・フリン、ブレット・ラトナー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ジョン・ハート、ジョセフ・ファインズ、イアン・マクシェーン
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
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