一足のスニーカーをめぐって、LAで繰り広げられる若者達のドラマを描いた『キックス』が話題を呼んでいる。スニーカーをはじめ、スケボーやヒップホップなど、若者文化が生み出してきたストリート・カルチャーは、若者達のファションやライフスタイルにも影響を与えてきた。『キックス』の公開にちなんで、ストリート・カルチャーの魅力に触れことができる映画を紹介しよう。
映画『キックス』予告篇
ストリート・カルチャーの魅力満載な映画4選
ロード・オブ・ドッグタウン(2005年)
70年代にアメリカのストリートから生まれたスケートボード。その創成期に実際にあった出来事を映画化したのが本作だ。75年、カリフォルニアでサーフィンやスケートボードに夢中の3人の青年、ジェイ、トニー、ステイシーは、毎日のように彼らが慕うスキップが経営しているサーフショップにたむろして腕を磨いていた。彼らのテクニックに目を留めたスキップは、3人にチームを組ませて「Z-BOYZ」として売り出すと彼らは一躍人気者になる。しかし、人気が加熱するなかで3人の友情に少しずつヒビが入っていく。
スケボーがただ遊びに過ぎなかった頃、他人の家に忍び込んで、水を抜いたプールでスケボーを楽しんでいた3人。そんな遊びが仕事になるなかで、金や名声に溺れてダメになっていく者もいれば、自由を求め続ける者もいる。自分が好きなことを仕事にした時、そこで何を大切にして生きるのか。ストリート・カルチャーの光と影を浮かび上がらせながら、3人の若者達の成長が描かれている。そんななか、3人の親友、シドが病気になったことをきっかけに、久し振りにメンバーが集結。昔のようにプールで滑るシーンが切なくも感動的だ。
ビューティフル・ルーザーズ(2008年)
90年代のアメリカで、ストリート・カルチヤーの中心地となったギャラリーがあった、NYのイーストヴィレッジにオープンした「アレッジド」には、社会からはみ出した若者達が集まるようになる。彼らの多くは美術の基礎や知識を学んだこともなく、自分の感性だけを頼りに、好き勝手に作品を生み出す「美しき落ちこぼれたち(ビューティフル・ルーザーズ)」だった。やがて、彼らは次々と新世代のアーティストとして脚光を浴びることになる。本作はそんな彼らの横顔に迫ったドキュメンタリーで、監督を務めているのは「アレッジド」のオーナー、アーロン・ローズだ。
画家/映像作家/写真家など多彩な顔を持つトーマス・キャンベル。スケートボーダーでグラフティ・アーティストのマーク・ゴンザレス。グラフィック・デザイナーで最近は映画監督としても高い評価を得ているマイク・ミルズ。映画監督のハーモニー・コリンなど、90年代ストリート・カルチャー・シーンの重要人物が次々と登場。彼らのインタビューや創作風景などを中心に、その作品の魅力に迫っていく。本作はストリート・カルチャーのカタログ的な側面もあり、彼らの名前は知っていたけれど、その背景は知らなかったというビギナーにもうってつけの作品だ。