――ちなみに、最近はどんな音楽を聴いているんですか?
たぶん、あまりバンドマンっぽくないと思いますね。テーム・インパラとか……(と言いながら自分のiPhoneを取り出す)。
――(iPhoneを見せてもらいながら)バッドバッドノットグッド、アール・スウェットシャツ、ジザ、ジェームス・イハ……意外なラインナップですね。
クラシックなブルースとかジャズはずっと聴いているものだから置いといて、海外で何が起こっているかっていうのは常に意識していますね。ただ、海外でこういうことが起きているからって同時代性を意識して真似をする気はさらさらないんで。それよりも、自分の価値観で作ってきた音楽が今の時代にどう響くのかっていうことを考えていますね。音楽的な潮流とか同時代性は外して考えたほうが面白いことが出来ると思うんですよ。
――ところで、バンドの現状はどうですか?
3人のバンド像がようやく固まってきたかなって気はしますね。去年、元々3人だったところに、新しくギターを入れて4人で活動を始めたのにたった半年で抜けちゃって。でもそこから、「この3人がいれば無敵なんだ!」という状況を1年近くかけて作ってこれたと思います。
――その割には、今回の“花”からは背水の陣のような切迫感がにじみ出ていますね。
あはは(笑)。それは僕のソングライターとしての資質のせいかもしれないですね。ブルースって基本的に憂鬱なことを歌うものなんですけど、そういうのが好きだからか負からスタートして曲を書いているところがあるので、切迫感だったり緊張感が曲の端々に出てきているのかもしれないです。
――このシングルの意味合いっていうのはどういうところにあるんですか?
来年結成10周年で、この先さらに成長して、武道館やって、<フジロック>のグリーン・ステージに立って、<グラストンベリー>に出て……って考えていくと、ここでちゃんと意識的に代表曲を作る方がいいだろうって。それで、「じゃあ、どういう曲を作ろうか」ってなった時に、「10年分のことを書いちゃおう」と。
――歌詞カードを見なくても、こんなに一言一句歌詞がしっかり耳に入ってくる曲も珍しいですよね。
ああ、嬉しいです。すごくこだわったんで。僕、さっき見てもらったようにヒップホップが好きなんで、全部パンチラインにしたかったし、ちゃんと歌詞が聞こえてくる言葉選びとか、日本語でしかできない歌い方はかなり考えました。
――MVにも字幕で歌詞を載せていますけど、今回はそれだけ言葉を届けたいという気持ちが強いんだなと。
今回は「自伝」って言っちゃっているぐらい、マックスで自分語りをしているんですけど、それだけでは終わらせたくなくて。たとえエピソード的にはパーソナルなことだったとしても、言葉の端々でもいいから聴いている人の心にタッチできるような普遍性を持たせたかったんですよね。だから、敢えてサビはシンプルにしたんです。
a flood of circle – “花”
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