――では、オール・ウィー・アーの曲が出来る過程について詳しく教えてください。ソングライティングや作詞は誰が中心となっているのでしょうか。
どの曲も、まずはみんなでジャムるところから始まってるんだ。そこからグルーヴと動きみたいなものを見出すんだよ。そこからの流れは、本当にその日の気分次第なんだよね。メロディが形になって、歌詞が見えてきて、実際に楽曲として録音する頃には、もうその曲の雰囲気みたいなものは決まっているんだ。すごくオーガニックなアプローチだと思うんだけど、僕らにはそれが合ってるみたいだね。もちろん、時には意見が合わなくて口論になる時もあるけど、基本的にはどのアイディアも切り捨てないようにしてる。それが全員ハッピーになるコツかな。それでも難しい場合は、多数決で決めるのが基本ルールだよ。
All We Are – “Stone”(Official Audio)
――メンバー全員ヒップホップとソウルを愛していることは共通しているものの、それぞれ色々な音楽から影響を受けています。今回のアルバム制作時に聴いていた音楽はどういうものでしたか?
そうだな、アルバムを作っている時に全員が好きで良く聴いていたものは、フランク・オーシャン、ケンドリック・ラマー、ボン・イヴェール、ブロークン・ソーシャル・シーン、チェアリフト、モデラット、アウトキャスト、ジョン・ホプキンス、トーキング・ヘッズ、TV・オン・ザ・レディオとか、かな。でも、本当にその日の気分によって、好きなものがころころ変わるんだ!
――カリブーの“Can’t Do Without You”のカヴァーもしていましたね。
去年の夏にウェールズでグリーンマン・フェスティバル(ブレコン・ビーコン国立公園の奥深くで行なわれるフェス)に出演した時、カリブーのライヴを観たんだけど、その時に観たこの曲が忘れられなくってね。だから、愛情を込めてカヴァーしたかったんだ。
All We Are Cover Caribou’s ‘Can’t Do Without You’
――そして今回、デビュー・アルバム『オール・ウィー・アー』が完成しました。アルバムを制作する際に、全体を通してのコンセプトなどはあったのでしょうか。
アルバムのために曲を書き始めた時にまず決めたことは、聴いていてノレたり、(音に)合わせて体を動かしたくなるような音楽を作ろうってことだった。とはいっても、必ずしも踊りだしたくなるような曲ってわけではなくって、ただふわっと体を揺らしたくなるような、そういうグルーヴがあるような音楽にしたいって思っていたんだ。このアルバムでそれが出来たって思いたいね。どの曲にも、その曲が生まれるにいたった経緯が表れてると思う。つまり、どの曲も夜に書かれたってところが魅力になってると思うな。
――プロデューサーのダン・キャリーは、どんな魅力をもたらしてくれましたか。
彼がアルバムにもたらした最大の功績はヴァイブだね! 彼は素晴らしいプロデューサーだよ。経験も豊富だしいろいろなヴィンテージ機材だって持っている。でも何よりも僕らみんなとうまが合ったことと、緊張せずにスタジオで作業を出来るようにしてくれたことが一番ありがたかった。レコーディング中は、まるで自分たちがダンの家族になったような気分だったよ。なにせスタジオは彼の自宅内にあって、奥さんや子供たちが周りにいたからね。だから、毎日がとにかく楽しかったな。日中はずっとレコーディング作業にあたって、その後は一緒に夕飯を食べて、飲んで、朝までジャムるって感じだったよ。