——タイトルにある「マーニ」というメタファーはどこから?

岩田 aquarifaは一貫して「月」にまつわるテーマを掲げて活動しているんですね。例えば満月の日にイベントをやったり。それで、今回も月に関して調べていた時、「月の神様・マーニ」にたどり着いて。北欧神話に出てくる兎の姿をした神様なんですけど、マーニは兎の姿をしているので、常に狼に追いかけられてるんです(笑)。それで、「マーニは狼に追いかけられてどんなことを考えていたんだろう?」と思い始めて、でもそれって分からないじゃないですか? その人の考えてることってその人だけの秘密だなと思って。今回書いた歌詞は、ある意味、自分の秘密を曝け出した一部だなと思って、で、アルバムを聴いてくれた人が感情の一部を曝け出してくれたら嬉しい、というのもあって「秘密」という言葉を選んだんです。

——加えてこのアルバムをクリアなものにしている要因として両極なプロデューサーの存在があると思うんですが。

松川 すごくありましたね。それこそ音楽を制作する上での価値観を一気に変えられるぐらいでした。akkinさんは、今回の収録曲ではないんですけど、例えば10小節あるBメロを4小節にカットとか、2回しかないサビを3回に増やすとか、けっこう大胆なアレンジをするんです。最初は悔しかったんですけど(笑)、自分では分かりやすいポップソングを作ってるつもりでも、実は分かってなかったんだなって気付かされましたね。一方の石崎(光)さんは真知の曲を担当してくれて。歌に対してこのフレージングがぶつかってるとか、何度で当たってるから響きが良くないとか、理論で証明していってくれました。

岩田 そのおかげで“321”は普段使わないコードも使って、より歌が映えるようになったと思いますね。

——全体的に洗練されたと思います。これまでaquarifaを知らなかった人にもスッと差し出せるアルバムになったのでは?

岩田 そうですね。特に今回は音楽的であると同時に物語的な部分も多く含んでいるので、音楽好き以外の人にも気に入って貰えたらいいですね。私達は今の時代の主流というか、バンドシーンの真ん中で勝負していくのともちょっと違うというか。むしろ年齢層もジャンルも幅広いんじゃないか? と思っているので、このアルバムをきっかけに広がっていってもらいたいです。

【インタビュー】北欧神話の神=マーニをメタファーに。aquarifa結成から新作までを紐解く interview150331_aquarifa_3

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