――初のオリジナル・ソロ・アルバムということで、歌詞もよりパーソナルになっているような印象を受けたんですが、この辺りはどうですか?
その辺りは、Wyolicaの後期や『ぴあのとあずみ』の頃からどんどん表現が具体的にになっていったんですけど、Wyolicaの初期って、もっと歌詞が抽象的でふわふわしたものが多かったんです。今は時代もあるのかもしれないですけど、女性として色んな経験を重ねたりして、どんどんリアルなものに傾いていったというか。歌でも「嘘をつけないな」と思っていて、そういう自分の心にもグッと入り込む言葉を探している感じがあるんだと思います。私はもともと音楽って一対一、パーソナルなものだと思っているんです。
――特に“一日の終わりは君と一緒に”の歌詞などは、本当にリアルに風景が見える、素晴らしいものになっていました。
ありがとうございます。そういえばこの間、ご飯を食べに行く約束をした方に、「本当は今日、(“一日の終わりは君と一緒に”の歌詞に登場する)中目黒で待ち合わせしようと思った」って言われて、「そこまで私のアルバム聴かなくていいから!」って(笑)。「あれと同じにしようと思ったんだけど……」って(笑)。みんなあの情景に対する思い入れがすごいんですよ。ファンの方も東京の中でも(中目黒がある)東横線界隈の人たちがざわついています(笑)。
――ははは。Azumiさんにとって今回の『CARNIVAL』はどんなアルバムになったと思っていますか?
自分で言うのも変な話ではあるんですけど、この作品は自分自身ではもう二度と作れないアルバムだと思っています。私の力だけではなくて、みんなが最大限私のことを考えて創ってくれた曲がこんなにも集まって、色んな奇跡が起きたというか。だから大切な宝物でもあるし、「また初心に戻れる場所ができたなぁ」と思います。デビューして時間が経つと初心を感じることって難しいと思うんですけど、色々な経験を踏まえたうえでまたデビューができるというのも、本当に幸せなことです。
――では、これからどんな活動をしていきたいと思っていますか。
音楽に関しては、もう(アルバム用に)全部出し切って、数ヵ月経って、今またちょっとずつ書きたいという気持ちが出てきているんで、「よかったぁ」と思っているところなんですけど。
――なるほど(笑)。
あとは、今すごく思っていることなんですけど、自分の歌い方やライブへの姿勢、仕事の挑み方、私の色々な秘密のテクニックを色んなものを伝えていきたいかもしれない。そういう気持ちが湧いてきているんです。自分にとっては当たり前の思考や技術が、人と違っていたりするので、自分のやり方を自分でも掘り下げて、伝えていきたいなという気持ちが出てきているというか。おこがましい話なんですけど。
――いえいえ。Azumiさんのやり方を知りたい人はたくさんいるでしょうし、そうすることでAzumiさん自身も気づくものがあるかもしれません。
そうですね。やっぱり自分で解読していかなくちゃいけないと思うので。そういう歌い方を伝えていきたいなぁというのは、最近ちょっと思っているんです。
――音楽以外の仕事も広がってきています。今夏公開の映画『函館珈琲』では初の映画出演も果たしていますが、撮影はどうでしたか。
映画は素晴らしい経験でした。これは完全に初心というか、スタートだったので。お芝居は「デビューして色々と経験させてもらったけど、まだこんなに面白いことが残っていたのか!」という感じでした。なので、「才能ないね」「演技下手だね」と言われても、心折れながらもやってみたいなって。キャストもスタッフさんも、みなさん完全なるプロフェッショナルな方が揃っていたから、本当に勉強になりました。人としても、仕事への姿勢も、現場での居様も。シンガーとしての自分や経歴なんて映画の世界ではどうでもいい話だし、バカみたいなプライドはいらないと思って、全部捨ててがむしゃらにやらせてもらいました。本当に宝物のような仲間や作品ができましたね。映画って儚くて愛おしいものだなぁと感じました。
―― 一番大変だったシーンや、印象に残っているシーンというと?
私はお芝居をする上で感情の構築をしていくところがとくに面白かったのですが……。印象に残ったのは、主演の黄川田将也さんとの二人のシーンが想像よりも濃いものになった時、集中したし、どっと疲れてしまって。それで終わった後に、黄川田さんの方を見たらもう次のシーンに向かう最中で、遠くから「お疲れ!イエイ!」と言う感じのジェスチャーをしているんですよ(笑)。その時「なんでそんなに早く切り替えられるの?!」ってかなりムカついてしまったんです(笑)。後でそれを本人に話したら「あの時は俺も切り替えないと次に行けなかった」って言っていたの納得したんですけど、その時「私何であんなにムカついたんだろう?」って思ってしまって。でもそれって考えてみると、私じゃなくて(役名の藤村)佐和ちゃんが傷ついちゃったということなんですよね。それで「私、怖っ」って思って(笑)。役者さんにとっては役に入り込むのはいつものことかもしれないけど、自分にとっては初めての経験で本当にびっくりしました。
――ヘッドドレスのブランド、Tuno by Azumiの展開についても、何か考えていることはありますか。
これまではヘッドドレスを中心にやっていたんですけど、次の展開も考えていて、今後は梅田阪急さんとコラボして帽子を出す予定です。3月29日から販売開始となります。私はファッションって普遍的なものももちろんありますけど、時代感も大切だと思うので、Tunoに関してはひとつのものに執着せずに、変わっていくのがいいのかな、と思いますね。フレキシブルに動いていった方がいいんだろうなって。
――その辺りの感覚は、もしかしたらAzumiさんの活動自体にも繋がるものかもしれませんね。Azumiさんは様々な活動を通して、これまでもどんどん変化してきていますが、それって言うのは簡単でも、実際にはなかなか出来ることではないと思うんです。そのエネルギーの源とは、一体どんなものだと思っていますか?
うーん……私の場合、飽きっぽいのが一番だとは思うんですけど(笑)。でも、自分にしかできないことを探してきたら、自然とそうなったんだと思います。音楽もそうで、10代の頃最初に「プロになりたい」と思ったときの目標はデビューではなくて、自分の音楽を追究したいということだけだったし。その気持ちはデビュー後もずっとそうで、ソロになってからはその気持ちがさらに強くなってきたりもしていて。だから他の活動に関しても、全部ひっくるめて「Azumiです」ということを、私はやり続けているのかもしれないですね。
Azumiのルーツをもっと探る。mysoundスペシャルプレイリストも見る!(スマホサイト)
EVENT INFORMATION
CREATIVE LAB FUKUOKA presents Creative Meetup FASHION WEEK version”THINK” produce by ASOBISYSTEM
2016.03.19(土)
OPEN・START 14:00/END 19:00
CARBON COFFEE // ART OF LIFE(福岡県福岡市中央区大名1-2-34 ロイヤルビル 1F)
CHARGE:FREE
EVENT INFORMATION
土曜日と君。
2016年04.23日(土)
OPEN 16:00
恵比寿BATICA
ADV ¥2,300/DOOR ¥2,800(共にドリンク代別)
GUEST LIVE:Azumi、カコイミク
LIVE:山口兄弟
DJ:Kazuhiko Asami、監督、YA、neco DJ
詳細はこちら
函館珈琲
2016年夏 全国公開予定
監督:西尾孔志
原作:いとう菜のは
キャスト:黄川田将也、片岡礼子、Azumi、中島トニー、あがた森魚、夏樹陽子
主題歌:Azumi「Carnival」
映画『函館珈琲』は、2013年度シナリオ大賞函館市長賞受賞シナリオ。 舞台は函館。函館の街の中に佇む西洋風アパート翡翠館に集う若者たちの出会いと葛藤を描いた、いとう菜のは・作 『函館珈琲』を監督・西尾孔志の手によりオール函館ロケで映画化されました。 函館の街を熟知した強力なスタッフが参加し、北海道函館の夏を珈琲の香りに乗せてスクリーンに映し出されます。 映画『函館珈琲』は2016年夏に全国公開予定となっています。
RELEASE INFORMATION
[amazonjs asin=”B015NQ659U” locale=”JP” title=”CARNIVAL”]
photo by Kohichi Ogasahara