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ロバート・グラスパーやベン・ウィリアムスといったジャズ界、Qティップ、ビラル等のヒップホップ/R&B界隈でも賞賛されるBIGYUKIにインタビュー。『リーチング・フォー・ケイローン』をリリースするBIGYUKIが日本に一時帰国したときにインタビューを敢行した。

ニューヨークを拠点に活動し、昨年ア・トライブ・コールド・クエストの『ウィ・ゴット・イット・フロム・ヒア・サンキュー・フォー・ユアー・サービス』とJ・コールの『4・ユア・アイズ・オンリー』という、2枚の全米チャート一位獲得アルバムに参加。全米一位作品に参加した日本人としてはオノ・ヨーコ以来、2作品となると史上初となる快挙を成し遂げた日本人ピアニスト/キーボード奏者がである。

ロバート・グラスパーやベン・ウィリアムスといったジャズ界の若手リーディング・パーソンから、Qティップ、ビラル等のヒップホップ/R&B界隈まで、ジャンルを問わず、彼の才能はこれまでにも数えきれないほどのアーティストに賞賛されてきた。

そして、この度、満を持して彼が作り上げたソロ・アルバム『リーチング・フォー・ケイローン』は、サイド・ミュージシャンとしてではなく、アーティストとしての才能を全面的に開花させた渾身の一枚だ。ジャズ・シーンを出自としながらも、その音楽性はヒップホップやR&B、エレクトロニック・ミュージックを縦横無尽に吸収して飛躍的に先鋭化。昨今、アメリカではジャズとヒップホップのシーンが混じり合う新たな動きが生まれ、大きな潮流を形作っているが、本作のリリースによって、BIGYUKIはその一角を担う重要アーティストとしてのポジションを確かなものにするだろう。

9月末、一時的な帰郷のため日本を訪れたBIGYUKI本人に話を聞いた。

Boiler Room New York Live Set

Interview:BIG

──今回のアルバム『リーチング・フォー・ケイローン』は、2016年6月にリリースした『グリーク・ファイア』と比べてもはるかにジャンルレスで、もはやジャズという枠組を完全に超えた作品になっていますね。

もちろん、ニューヨークで活躍するジャズ・ピアニストのビッグユキっていう文脈でしか捉えられない人が多いのも理解できるけど、俺は今まで一回もジャズを意識したことがないからね。そもそもジャズって何なんだ? っていう話で。言ってしまえば、ただの名前に過ぎないわけで、やっている側からすると、その範囲内で曲を作ろうなんて思ったりはしない。人によっては今回はジャズ・アルバムを作りました、今回はヒップホップ・アルバムを作りましたっていう人もいるかもしれない。けど、そういう音楽って面白くないと思うんだよね。そういう想像の範囲内で作った音楽って、こっちも簡単に想像できちゃうレベルだと思うから。

BIGYUKI / Greek Fire 360

──そもそもジャンルに対してのこだわり自体がない、ということですか。

ジャズにしたって、それをただの音楽ジャンルとして区分けしてしまうのはつまらない考え方じゃないかな。人によってはフュージョンがジャズだったりもするし、あるいはもっと前の時代のビッグ・バンドとかモダン・ジャズをイメージする人もいて、アカデミア的な頭を使ったイメージを持つ人だっていると思う。でも、それよりも俺はジャズというのはプラットフォームだと考えてる。元々アフリカのリズムと西洋音楽がミックスされた音楽で、肉体的な音楽だったというのもあるし、いろいろな音楽とか文化が入り込める土壌自体がジャズ、という。

──今、アメリカではジャズとヒップホップの境界線がボーダーレスになり、その界隈から面白い音楽が続々と生まれていますよね。BIGYUKIさんも、昨年末にリリースされたア・トライブ・コールド・クエストの18年振りの新作『ウィ・ゴット・イット・フロム・ヒア・サンキュー・フォー・ユアー・サービス』に参加し、日本でも話題となりました。

あの現場は、すごく面白かったよ。Qティップはプロデューサーとして本当に優れた人で、頭の中ですでに全部の音が鳴っているんだ。それをもとにして、ベース、ドラム、ピアノ、シンセと、全ての楽器をちょっとずつ弾いて、それぞれのミュージシャンに指示を出していくわけ。俺にもそのレベルで話をしてくれるから、すごくやりやすい。彼に聴こえている音は俺には聴こえていない音だけど、それを再現するっていう作業は楽しかった。

──Qティップの頭の中にある音をベースにして、各ミュージシャンが自分の色を加えていくという作業だったんですね。

彼のアイデアをもとにしてジャム・セッションしていく中で、自分が思いついたアイデアを入れてそれがハマったりするとQティップがすごく喜んでくれるんだよ。彼は音楽を始めたばかりの頃の情熱を今でも変わらずに持ち続けているような人で、すごくピュアな人なんだ。自分のほぼ完成されたヴィジョンがさらに膨らんでいった瞬間の興奮がこちらに伝わると、俺もやっぱり嬉しいよね。そういう自由をくれたのも嬉しいし、そういった環境の中で出すアイデアのスピード感と精度が大事なんだと思った。

──その経験を経て、新作には何か影響がありましたか?

ミュージシャン仲間の輪が広がったのは良かったね。このアルバムのリード・シングルになっている“エクリプス”のミキシングは、トライブの作品にも携わっているブレア・ウェルズにやってもらった。彼と知り合ったのはトライブの現場を通じてだし、アビー・スミスっていうシンガーと知り合ったのもQティップのセッションのときだから。

──アビー・スミスというのは、ビロング”と“イン・ア・スパイラル”の2曲でヴォーカル参加した、イェバという名義で活動中の新進気鋭の女性シンガーですね。

そのセッションの時は他にアンダーソン・パックもいて、Qティップがリリックの内容で指示したことを、2人がその場で歌にしていくっていうのを目の当たりにして、「ヤベえな!」って思ったよ。彼女はまだ20代前半ですごく若いんだけど、今度リリースされるサム・スミスの新作にも大々的にフィーチャーされていて、これから絶対にアデルを超えるような存在になっていくと思う。だから、このタイミングで彼女と一緒に曲を作れたのは良かったな。

──彼女の類い稀な才能というのは、どの辺りに感じられましたか?

例えば役者とかでも、一つの役が得意でどの作品でも同じような演技になる人はいっぱいいるじゃん? もちろんそれがその人ならではの味でもあるんだけど、一方で演技派と言われるような人は、いろんな役をやるたびに全く表情が変わって別の人格になる。それと同じで、アビーはリリックの深い部分にまで入って表現の仕方を変えていく、幅広い表現力を持ったシンガーなんだ。歌に説得力があって、時々神がかったメロディが出てくる。それが鳥肌が立つくらいに素晴らしい。彼女はもともと教会で歌ってた子だから、彼女の中にふと降りてくるものがあるんじゃないかな。

──ヴォーカル・メロディというのは、シンガーと一緒に作っていくのですか?

俺が持っていたある程度のイメージをもとに、彼女がその場でもっと膨らませてくれた。譜面に書いたりはしないし、そういう作業が必要なシンガーは使いたくない。こちらの指示を忠実にこなしてくれるだけなら、ただのお仕事じゃん? そういうシンガーはいくらでもいるけど、そういうのには興味ないな。

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青山晃大

青山晃大

ライター

1983年三重県生まれ、音楽ライター。〈サイン・マガジン〉〈CROSSBEAT〉他で執筆しています。最近はアメリカのヒップホップ・シーンに夢中。

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