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——CHICO CARLITOさんの音楽との出会いについても伺いたいのですが、HIPHOPを聴く前はどんな音楽を聴いてましたか?

バンドやっていました、メロコアの。でも1年やってないか……ぐらいですけど。元々音楽は好きだったし、歌うことも好きでした。ただ唯一、HIPHOPは敬遠してたんですよ、完全に聴かず嫌いで。

——それは意外ですね。ではHIPHOPを聴き始めたキッカケは何だったんですか?

2012年からHIPHOPを聴き始めたんですけど、最初に行ったフリースタイルバトルの大会で先輩が優勝するのを見てラップを始めました。「あ〜これ俺絶対出来るわと」思って、その1ヵ月後には大会に出場してました。でも……アルバムの曲の中にスエヨシってやつが出てくるんですけど、そいつは小中いっしょで。HIPHOPを聴かしてくれたのもそいつなんですけど、いっしょに会場まで行って、1回戦で当たって、スエヨシに負けて、いっしょに帰るっていう、ハハハ! 帰り道なんだこれ……みたいな。沖縄にいる時は3回出て、3回全部負けました。「俺……才能ねえな」って思ってた時期でしたね。初めてのフリースタイルバトルは、アルバムの曲ではないですけど「真っ向勝負」のリリックにもあるように、トイレでゲロ吐きました。その後に『8Mile』のエミネムを見て、「俺といっしょだ!」って思うんですけど。

【インタビュー】 沖縄発の“オリオン”CHICO CARLITOが1stアルバム『Carlito’s Way』で繋げた過去・現在・未来 03_sashikae-700x512

——『8Mile』を見たのは後だったんですね。ただそれもCHICO CARLITOというラッパーの魅力のひとつなのかなと。エミネムのような“ヒーロー”感と言いますと、ゼロから成り上がっていく姿に、多くの人が惹かれているんだと思います。そこから内地に引っ越すわけですが、当初は主にバトルに出ていた感じですか?

バトルに出たり、サイファーやったりですね。ラップが楽しくて楽しくて……っていう時期でした。その後、2013年の8月頃に浦和BASEでやった<大脱走>っていうイベントで初めてライブをやりました。そこからですね、ライブをバンバンやるようになったのは。

——所属しているKuragaly Productionや大脱走クルーのメンツとは、こっちに出てきてすぐ知り合ったんですか?

わりとすぐでしたね。TENGGにいたってはホント出てきて最初の頃です。家の目の前が「HULAHOOP」(現在は下北沢へ移転)っていう古着屋だったんですけど、そこで「ここらへんでラップしてる人いないですかー」とか聞いて。TENGGの連絡先をTwitterだったかな……とにかくどっかからGETして、ラーメン食いに行ったのが最初です。早いっすね……あいつももうパパなんですよ。アルバムの最後の曲(“RH-”)で《あいつの左手には指輪 変わる立場 俺らいつの間にかいい大人》っていうリリックがあって。俺らも18、19(歳)のころに知り合っているんで……なおさらっすね。

——染みますね。そこからフリースタイルバトルもいろいろな大会に出て、多くの大会で好成績を残していますが、準優勝も多いですよね。

多かったですね……なぜか勝ち切れなくて。準優勝が3回連続した時はさすがにヘコみました。特に<B-BOY PARK>決勝の輪入道くんとの試合は……それも“真っ向勝負”のリリックで《今も夢に出る あの日の負け》っていうのがあるんですけど、あれはマジで忘れられないです。「お前はわかってることが少なすぎる」って言われて……確かにって。けっこう相手のリリックをしっかり聞いてるので、それが正しかった時にわりとダメージを食らいがちで。パンチラインって思いっきりアゴに入るから……全部飛んじゃうんですよ。

——CHICO CALITOさんのラップの特徴は、フロウの柔軟さに加えて、乗せ方で言うとビートの後ろの方に乗っているようにも感じるのですが。

それすごい言われるんですよね、意識したことはないです。TK(da黒ぶち)くんに初めて会ったのがスタジオだったんですけど、その時にみんなで一発録りしようってなって。レコーディングして1ヵ月後ぐらいにJ-TAROさんからTKさんに電話があったらしくて、「あいつの音の取り方、0.5拍ズレてて。これ考えてやってるのか、ナチュラルにやってるのか聞いて」って言ってたらしいです。

——その話で言うと、この前TV番組に久保田利伸さんが出演していて、R&Bの歌い方のコツというか特徴は、“ビートに対してちょっと後ろの方に乗っかる”ことと仰っていました。久保田さん曰く、KREVAさんもそうらしいです。

へー俺は全然考えてないです。どうしよ、R&B歌手になろうかな。

——あと個人的に、ソウルフルな感じがモス・デフっぽいなとも思いました。

モス・デフ好きです。『Black Star』とか相当好きですね、タリブ・クウェリもですけど。あと『キャデラック・レコード』っていう映画も好き。ビヨンセも衝撃的だったけど、モス・デフが抜群にウケたな〜。

——“CARLITO”という名前も『カリートの道』という映画からということですが、好きなんですね、映画。

そうですね、わりと好きです。名前の由来になった『カリートの道』は……すげえビビったんですよ。“CHICO”は……誰も顔覚えてないし、見たことないんですけど、おじいちゃんのあだ名です。それでCHICOにしようかなって考えてた時に、ちょうど見てた映画が『カリートの道』で。「めっちゃ面白かった!なんだこの映画!」ってなって、映画見た時は大体どういう背景かとかを調べるんですけど、そしたら(おじいちゃんと同じ)プエルトリコ系の主人公で、上映の年が自分の生まれた1993年だった。

——すごい偶然ですね。

我ながらいい名前だと思います。ただ、あんなサグ・ライフじゃないですけどね。

——制作が終わってから発売されるまで少し期間がありましたが、周りの反応はどうでしたか? Twitterで崇勲さんとかと箱からCDを出している姿を拝見しましたが。

あれは……言葉にならなかったですね。「よく来たね〜」みたいな、「みんなに聴いてもらいな〜」みたいな感じです。でもホント、みんなに支えられて出来た一枚だと思います。成るべくして成ったアルバムですが、誰一人欠けても完成しなかった。俺も途中でヘコたれてたら出来なかっただろうし、巡ってきたチャンスをモノにして、這い上がって、やっと日の目を見る……とにかくみんなに感謝してます。

——2015年に<UMB>で優勝するまで、ラップを始めてから期間的には短いかもしれませんが、そこの濃密さが2016年の飛躍に繋がったのではないでしょうか。

いやホント……2015年の上半期がめっちゃヤバかったんですよ。周りの友達もいろいろあって、もうダメかもしんない……みたいになってて。自分も「ラップする気ないな……」みたいな感じで、バトル出ても全然勝てないし。そのタイミングでTENGGが<UMB>の埼玉予選でチャンピオンになって、俺は『フリースタイルダンジョン』に出て良い感じだったけど、沖縄の予選では一回戦で負けた。それで11月の某日にみんなで集まって、「CHICOどうするの?」って話になって。「俺……アルバム出します」「どっから出すの?」「TKくんのところ(Timeless Edition Rec.)から出したいです」って言って頭下げて。そこから勝ちまくったんですよ。だからあそこが転機でした。

——アルバムの曲の中でも、“覚悟”という言葉がとても印象的でした。

そうっすね。“C.H.I.C.O”以外で最初に書いたのが“Carlito’s Way”で、そのみんなで集まった次の日に書きました。

【インタビュー】 沖縄発の“オリオン”CHICO CARLITOが1stアルバム『Carlito’s Way』で繋げた過去・現在・未来 04_sashikae-700x456

——2016年は“真っ向勝負”へのフィーチャリングに始まり、GRAND MASTERから『Ground Zero』、『フリースタイルダンジョン』のMIX、DJ CELORYプロデュースのEP『朔』、そして1stアルバムと、コンスタントに音源を製作した1年でしたね。

でもまだ全然言いたいことはありますし、1stに関してはやり切りましたが、出し切った感はありません。俺らの代でフルアルバム出してるのって、(KID)FRESINOぐらいじゃないですか? 何でみんな出さないんだろ。ダウンロードとかもいいけど……自分もEPで出したけど、それは1stありきで出してるので。アルバムを出す人が減ってる気はするので、だったらなおさら自分はそこで勝負したいですね。

——若い人たちはその傾向があるかもしれませんね。ただやっぱりB-BOY、特にレコードやCDで育った世代には、アルバムって特別な意味を持つと思います。

そうっすね。ただ「アルバム出します!」って宣言した時はお金も無かったんで、<UMB>で100万獲った時はマジで「よっしゃー!」って感じでした。でも100万をポケットに入れて新小岩でメシ食って、錦糸町で降ろされた時は「これはヤバいな」って思いました。家着くまでツイートしなかったですもん。

——だいぶ危険ですね。ただその100万も獲るべくして獲ったんだと思います。先ほどまだまだ歌いたいことがあると仰ってましたが、今後、どのような動きを見せていくのでしょうか?

ありがたいことに日本各地からライブのオファーをいただいているので、その土地土地でがっつりカマしてきたいと思います。アルバムっていう名刺を持って、ライブで挨拶して、テキーラで乾杯して……親睦を深めたいですね。アルバムに関しては、とにかく聴いてほしいってだけです。HIPHOPって自分をさらけ出す文化だし、音楽だから。身削ってる分、他のジャンルにはない生々しさがあると思う。俺は飾らずにそれをリリックで書いたし、それは別に共感してほしいってわけじゃなくて、俺はこうだっていうのを書いてるだけ。だからどういう受け取り方をされても構わない。とにかく今の、今までの自分を、このアルバムで全部吐き出しました」

CHICO CARLITO/一陽来復 ft.CHOUJI,唾奇 Beats by Sweet William

インタビュー終了後、渋谷駅に戻る道すがら、CHICO CARLITOは来年企んでいる野望のひとつを教えてくれた。全貌は明かせないが(その方がきっと面白い)、実現すればそれはきっと、HIPHOPの新たな時代をつくるワンピースとなるだろう。

沖縄が育み、埼玉、東京で磨かれた“オリオン”は、さまざまな出会いや葛藤を経て今、HIPHOPシーンの中で煌々と輝いている。

RELEASE INFORMATION

1st Full Album 『Carlito’s Way』

【インタビュー】 沖縄発の“オリオン”CHICO CARLITOが1stアルバム『Carlito’s Way』で繋げた過去・現在・未来 05-700x700
2016.12.07(水)
CHICO CARLITO
Timeless Edition Rec.
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PROFILE

CHICO CARLITO(チコ カリート)

2012年にヒップホップを聴き始め、2013年に沖縄・那覇から上京して本格的に活動を開始。上京してからはフリースタイルバトルに精力的にエントリーし、「戦極MC BATTLE」や「THE罵倒」などの主要な大会で常に好成績を残す。2014年に「戦極MC BATTLE(戦極感謝祭其の2 music video杯)」で優勝し、その賞品であったMV制作権を使い「C.H.I.C.O」を発表、各方面から高い評価を受ける。ラップを始めてから3年目の2015年末には「ULTIMATE MC BATTLE GRAND CHAMPIONSHIP」をリベンジ枠から優勝。一気にフリースタイルバトルの中心へ躍り出る。さらには現在、ヘッズなら、いやヘッズじゃなくとも1度は観たことがあるのではないかという盛り上がりを見せる『フリースタイルダンジョン』に新モンスターとしてレギュラー参加している。そして満を持して、2016年12月7日(水)に待望の1stアルバム『Carlito’s Way』を発表。

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photo by yuji“RASCAL”nakamura

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NaNo.works/編集者/メッセンジャー

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