――全体の流れについても、何かテーマがあったんでしょうか?
そうですね。僕の中でここ1〜2年ぐらいなんですけど、時代が変わってきたのを感じていて。たとえば5年前、10年前だと今よりゆっくり落ち着いて1枚のCDを聴きますっていう状況だったものが、今は情報量も増えて、若いお客さんにはパッ、パッと短く聴く人もいるだろうなと。だから大きい流れを作るというよりも、細かいアップダウンを繰り返す方向に変わってきたと思いますね。今回だと、3曲ぐらい最初にアップな曲が続きますけど、そこで一度スロウな曲を挟んだりして作っていきました。
――その中でも特にポイントにした曲があれば教えていただきたいです。
今回だと、4曲目のギャビー“Push You Away”は序盤のテンポが変わる掴みの曲になっていますよね。あとは13曲目のリル・エディ“Emotional(Feat. Casper)”。リル・エディは前からライヴを一緒にやったり、楽曲の制作をやったりしてるんで、そういう意味では今回もいい形で入れられたんじゃないかと思います。他には、そうですね……18曲目のスクリーム“Roller Coaster(Dimitri from Paris Remix)”もポイントですね。
――この曲(“Roller Coaster(Dimitri from Paris Remix)”)が入っている辺りに、とてもKOMORIさんらしさを感じました。スタンダードなものに加えて、「こういう曲もR&Bとして自然に聴かせてしまう」というか。
(笑)。海外ではニュー・ディスコみたいなものが流行っていますけど、そういう意味では今回のポイントになる曲だと思いますね。
――そうすることでR&Bリスナーに新しい音楽を紹介したり、逆にスクリームのような音楽が好きな人がR&Bの世界に触れる機会になればいいな、という気持ちはありますか。
それはもちろんあります。あと、今回って基本的に新しい曲が多いと思うんですけど、アンジー・ストーンの“Everyday(Mike City Remix)”(コンピ初収録)は10年ぐらい前の、それこそアナログで買ってた頃の知る人ぞ知る名曲だったりして。このシリーズ自体もそうですけど、R&Bってブルース/ソウルを根っこにしつつも、その時代によって流行りの音やスタイルがあったりして、そういう変化とルーツを同時に感じられるところがいいと思うんですよね。ジャズミン・シスターズについても、〈マンハッタン・レコード〉さんからアルバムを出すこともあって、その中でドロップをもらった感じです。