Interview:Johnny Took[DMA’S(G)]

——ジョニー、あなたはかつてブルーグラスのバンドもやっていたそうだけれど。あなたたちの音楽的なバックグラウンドについて教えてください。

ジョニー・トゥック(以下、ジョニー) 父親にたくさんカントリー・ミュージックを聞かされたんだ。父は昔、ローディだったんだよね。だからニール・ヤングやインエクセス、デヴィッド・ボウイなんかとツアーしていて。僕はある意味、それを通じて音楽に入っていった。で、最初にベースを弾きはじめた頃に父からジョニ・ミッチェルやイーグルスを聞かされて、そこから始まったんだ。メイソンと知り合った頃、メイソンはバンジョーやドブロを弾いていたんだよ。で、そういう楽器の弾き方を教えてもらったんだけど、そのおかげで技術的にも向上したし、音楽を前より理解するようになったと思う。それから僕はいくつかカントリー・バンドをやって、それに飽きて。でも、僕自身の音楽的な勉強のためにはなったと思う。

——では改めて、ディーエムエーズ結成のいきさつについて訊かせてください。バンドを始めようと思った時の最初の動機はどういうものだった?

ジョニー レコーディングだね。トミーと僕は一緒にレコーディングするのに熱中したんだ。一緒に曲を書いて、レコーディングするのがとにかく楽しくて。さっきも言ったけど、だからこそ長い間ライヴはやらなかったんだよね。やる必要も感じなかったし、しばらくはずっと三人だけだったんだ。あと、この話はオーストラリアでの取材でも話したんだけど……最初にバンドをやると、7、8曲くらい曲が書けると「あ、これでライヴがやれる! やろうぜ!」って始めるんだけど、ライヴも3回くらいやったら友達だって来なくなるし、バンドのほうも毎晩同じ曲をやって退屈してくるよね? 僕らはそれぞれ初めの頃のバンドでそれを学んだから、40曲、50曲できるまではライヴはやらないでおこうって決めたんだ。理由はいくつかある。第一に、そのほうがバンドとして興味を持続できる。第二に、8曲しかなかったら、まあ可能性として5曲くらいはクソみたいな曲かもしれない(笑)。曲数が多いほうが、すごくいい曲を8、9曲セットに入れられるからね。第三に、もしバンドが成功しはじめたら、長い間ツアーに出ることになるよね? でもツアー中に曲を書くのはすごく大変だ。僕らの場合、もう二枚目のアルバムも大体できているって言えるんだよ。それに、例えば日本に来てまで曲を書かなきゃいけないなんて……そういう時は遊ばなきゃ(笑)!

DMA’S – Laced (Official Video)

——あなたたちの地元シドニーの音楽シーンの今の状況について訊かせてください。ギター・バンドをやっていく上でいい環境?

ジョニー 音楽を作るのにはいい環境だと思う。結果論になるけど、世界の他の場所から離れてる、ってことがね。スペースもふんだんにあって、空間としてごちゃごちゃしてないから、頭の中もごちゃごちゃにならない気がするんだ。ただライヴする場所としては、ある意味最低。ニューサウスウェールズ州はナニー・ステイト、“おばあちゃん州”って呼ばれてて。政府が規制を作りすぎて、いろんなことが禁止されているんだ。あとポーカーマシンが流行った頃からなんだけど、例えば金曜や土曜や日曜の夜、300人が入れる会場があるとして、ギャンブルの機械があってそこでみんなが酒を飲んだりなんだりする場所があげる収益と比べたら、ライヴ会場があげる収益とは比べものにならないよね? 残念な話だけど。そこからライヴとかが下り坂になっていった。もちろん、今でもクールな場所はあるんだけど。

——地元のバンドに限らず、あなたたちが今シンパシーを感じる同世代のバンドはいますか?

ジョニー
 僕はザ・ウォー・オン・ドラッグズがすごく好き。あとカート・ヴァイル、テーム・インパラ。トバイアス・ジェッソ・Jr.もすごくいいソングライターだね。

——でももちろん、あなたたちの音楽はストーン・ローゼズだったりオアシスだったり、マンチェスターのバンドたちと比べられています。彼らからの影響は意識している?

ジョニー 一番大きな影響ではないね。もちろん、彼らの音楽の中には僕らがすごく好きな側面がいくつかある。でもおかしいのは、僕ら自身はそんなふうに考えたことなかったんだよ。ただ僕らの曲が外に出ると、みんなにそう言われるようになりだして。まあ、そういうものなんだな、とは思っているけど。

オアシスの後継者、ディーエムエーズ。2年の歳月を費やしたデビュー作 Interview0226_dmas_1

——ディーエムエーズの短期的な目標と長期的な野望を訊かせてください。

ジョニー 近い将来としては、このアルバムができる限り大勢に聞かれてほしい。これだけの労力をソングライティングやすべてのプランニングに投入してきたのに、結局誰にも聞いてもらえなかった、ってことにはなってほしくない。ただ今みたいにインターネットにこれだけ音楽が溢れていると、そういうバンドがすごく多いんだよね。だから……僕は自分たちの曲ができるだけ多くの人の耳に届いてほしいと思う。で、長期的には、僕はこれからもずっといい曲、いいチューンを書き続けていきたい。クリエイティヴに枯渇してしまいたくないね。そうなったら最悪だ(笑)。とにかくいい曲を書き続けて、普通の仕事に戻らなくてすむようにしたい。ずっと世界を旅し続けていたいね。それと、もっと歳をとったら他の人のプロデュースもしたいと思っているんだ。オーストラリアの田舎に家を買って、一流のレコーディング・スタジオを作って、誰からも離れて音楽を作る。それが目標だな(笑)。

DMA’S – Delete(Official Video)

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ヒルズ・エンド

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Interview & text by 粉川しの