Interview:Amateur Best(アマチュア・ベスト)
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Amateur Best(アマチュア・ベスト)

――まず、不思議なプロジェクト名の由来について聞かせてください。もともとあなたはPrimary 1という名義で2011年に〈アトランティック・レコード〉からアルバム・デビューしていますが、音楽業界に嫌気が差して活動を辞めたと聞きました。「Amateur Best(アマチュア/最高)」という名前には、メジャー・レーベルのシステムに対するアンチテーゼのような意味合いが込められているのでしょうか?

この名前を思いついたのは、音楽に対する興味をすべて失ってしまったときだった。音楽業界という途方もなく退屈な世界に少しばかり身を置きすぎたとはいえ、それは自分自身の音楽的世界観にとっては充分な時間じゃなかった。絵を描き始めたのは、それが初めての経験だったし、新鮮でエキサイティングだったからだ。「アマチュア(素人)」であるからこその感覚が楽しくて、何もかもが素晴らしく、目新しかった。それで再び音楽を作ることになったとき、その感覚をまた感じたいと思って、いつでも思い出せるよう自分自身を「アマチュア・ベスト」と名付けたんだ。アマチュアという視点が僕にとってはベストなんだよね。

――デビュー・アルバム『ノー・スリルズ』はエレクトロ/クラブ・ミュージックの性質を持ちながら、インストは10曲目の“Gads Job”だけですし、メッセージ性の強いリリックやあなた自身によるアートワーク(コミック)の世界観などを含めて、とても人間らしく温もりのある「シンガー・ソングライターのアルバム」だと思いました。本作の制作プロセスにおいて、インスピレーションとなったアーティストや作品、出来事があれば教えてください。

その当時は無名のテクノをよく聴いていた。僕はサウンド・デザインのように作られた音楽の美しさがすごく気に入ってる。そこではどんなサウンドでも音楽として使うことが可能だ。楽曲制作を始めたころから僕が抱いていた野望は、バックはとてもひねくれて変わっているんだけど、歌には温もりがあってエモーショナルなアルバムを作ることだった。このアルバムの楽曲は、どれも自分自身に正直で、僕の世界観を表していると思うよ。

――そして、耳を奪われるのがあなたの慈悲深かくもエモーショナルな歌声です。シンガーとしてリスペクトしている人物、あるいはロール・モデルとなっている人物は誰かいますか?

70年代のバンドが大好きなんだ。たとえばアメリカや、ビル・ウィザースといったシンガーたち。彼らの歌声は純粋で気取ったところがない。まるで君の目の前に立って話しかけているみたいだ。