——生の臨場感や直感を出したかったんですか?

今回はちょっと僕なりのソウルフルな表現がやりたいていうのがあったんです。これまで「歌が前に出てる音楽なんてゴマンといるし……」と思っていたけど、フィジカルでできることの限界をやっぱり毎回、downyはやりたいですし、それがほんとに更新できるってことをボーカルでも表現できたんじゃないかなと思います。

——パワフルでありながらアンサンブルの隙間はむしろ多いですし。

さっきも話しましたけど、5枚目の時はライブないまま音源作っていたんで。それでも少なくしよう少なくしようってやっているんですけど、やっぱりライブ重ねていくうちに僕らは肉を削ぎ落とせるバンドなんじゃないかな? って、またみんな原点回帰したんだと思います。だから当たり前のように音数がどんどん減って、でも必要なとこに必要な楽器はちゃんといるっていうか。

——この3年間の中にサウンドの外的な影響はありましたか?

聴くのは割となんでも聴くんですが、影響っていうのはあんまないんですよね。ただ、最近は生ドラムはいるのに従来のドラムのスタイルとは違うというか、ジェイムス・ブレイクもライブはそうじゃないですか? そういうのにすごくシンパシーは感じます。やっぱりリズムはフィジカルがいいんじゃないかなって堂々と言える感じがしてきて。

——フィジカルでミニマルなことをやるという。

そうです。だから音源にすると物足りなくなって、エレクトリックで「チキチキチキチキ」とか、音を入れたくなるじゃないですか。でも結局ライブではその空白のチキチキを出せるのがドラマーなわけですから、そのための練習した方が早いんじゃないかな? と思うというか。やっぱドラムってすごい楽器ですよ、ほんとに。この前、秋山君がやってる<秋山会>というドラマーの集まりがあって、素晴らしいドラマー沢山集って。それ毎回セッションで呼んでもらって。僕、downy以外でバンドってほとんどやったことがないから、すごいいい機会で。toeの柏倉くんやLITEの山本くん、クラムボンの(伊藤)大助くんとか。

——上手い人ばっかりじゃないですか(笑)。

そう。一緒に一個の曲だったり、その曲の中で人が変わるんですよ。すごく良い経験させてもらって、そういうのも勉強になって。話戻っちゃうんですけど、ドラムってフィジカルを表現するにあたって欠かせない楽器だと思んですよね。

——手数が多いとかじゃなくて、感情と直結しているフィジカルを感じますよね、ドラムって。

そうそう、ほんとそう思います、エモーショナルですよね。

——ドラムが重要なキーであると。ところで今回、新しいことができたと思える曲というと?

勿論ドラムだけでは無いです、全ての楽器が重要ですしそのフィジカルがアンサンブルになるのが大切だと思うんです。個人的には“檸檬”って曲が一番意外なことやっているんですよ。言葉で伝えにくいんですけど、中のセクションでいつもと違う感じでやっていて、マッチョのベースがいつもと違う訛りだったり、裕さんのギターもブッ飛んでます。ポリリズムの意味がちょっと違っていて。解釈はヒップホップに近いんと思うんですけど、それが伝わるといいなと思うんですけど、説明ができなくて(笑)。変な曲なんです、何拍子とかもなくてグルーヴだけで一個の曲ができちゃっているというか。

——でも聴いていて難解な印象はないです。

それが一番嬉しいです。「難しいよね」って言われると「ちゃんと聴けや」って(笑)。「変拍子だよね」とか言葉で先にそれやられると止まっちゃいますからね。僕、downyはどこまでいってもポップスだと思って作っているので。そういう意味でもびっくりさせたいと思っていますし、そこがポップスだと思うというか、そういうのがエンタテイメントだと思うんです。

——“海の静寂”はブルージーさと気が遠くなる感じが同居していて、この曲はロビンさんのボーカルが結構R&B的だなと思います。

これこそ歌は一発録りです。だから思い入れがあります、ちょっと好きです、自分しか知らないけど一発録りなんだよって(笑)。

——シーンに復活して、現在のdownyが持つバンドの役割は感じられたりしますか?

いつも言っていることなんですけど、やっぱりオリジナリティは作れるってことで。完全オリジナルというのは難しいと思うんですが、バンドやっている以上、ギター弾いてる以上、誰かのパクリですし。なんかそういう意味でのオリジナルはちょっと置いといて、オリジナリティの究極は作れるんで、もちろん誰かのコピーして、誰かみたいになりたいって音楽やることは間違ってもないし、ネガティヴでもないと思うんですけど、でも生み出していかないと、結局面白くなくなっちゃうじゃないですか、シーンが。僕らぐらいずっとやってても良いんじゃないかな、流されずにというか。流行りも気にせず、そういう存在でいれたら良いなと思うし、それをみんながOKしてくれたら続けられると思いますし。

——なるほど。加えて客観的に東京のライブシーンが変わったなと思うことはありますか?

や、あまりないかな(笑)。ただ異種格闘技感がなくなりましたよね。僕らはいきなりTHA BLUE HERBと対バンとか、トランスのイベントにいきなり出てくれとか、でもそこにも飛び込んで行けていましたし、そういうのがまた戻るといいなと思います。

——今は面白いイベントはあるけど、来ているお客さんあまり変わらないというか。

なんかそんな感じしますね。あと、フェスに流れちゃうのかもしれないですね。フェスでそれをやっちゃう、<After Hours>でもそうですけど、「やっぱヒップホップも入れたいね」って話すんです、そこで解消されているんでしょうけど、ほんとはもっとライブハウスごとにもそういうのがあればいいなと思う。一昨日、BO NINGENのTaigenが向こうに帰る前にやっていたライブが面白くて。ちゃんとアンテナ張っている人達がやっていくのはすごくいいことだと思いますね。食品まつりと一緒にやっていたんですけど、ドア開けたら一回閉めるぐらいエグい音で(笑)。それをきょとんとして見ている子と盛り上がっている子がいて、もちろん嫌いなら嫌いでいいと思う。きっかけがないとなかなかみんな自分でCDも買わないし、iTunesやYouTubeに任せていたらずっと同じ系統になっちゃうから、そういうフックは必要だと思うんですよね。

——ちなみに<After Hours>の本編は来年ですか?

そうです。今回のアルバムを出して4月までは自分の中で一つのクールとしているというか。envyとMONOとdownyの3バンドが軸で対バンも僕らが直接電話したりしています。

——ジャンルが分断されすぎていて、各々は仲が良いといい分緊張感がないですよね。

そう、本当にそこなんです、緊張感がない。そこをちょっと変えたい、もしくは変えるまで行かなくても僕らは違う、そういう人がいても良いのかなってい人ぐらい外で会場に入れずに並んでいる状態になってう気はします。今年の<After Hours>はほんとにすごかったんです。200。だからまだそれぐらいの力も残っているし、こういう音楽のファンもいて、これを機にどんどんまたそういうエネルギー、グルーヴが生まれたらいいなっていうのは3バンドで話してることで。何かをディスるつもりはなくて、僕たちは僕たちのやり方でガチンコで緊張感持って音楽続けたいですし、魂込めて音楽やりたいですね。

downy – 左の種 Hidari no Tane – UKFC 2015

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downy 2016『無題』TOUR

2016.10.13(木)
OPEN 19:00/START 19:30
大阪 Shangri-La
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2016.10.14(金)
OPEN 19:00/START 19:30
名古屋 JAMMIN’
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2016.10.16(日)
OPEN 17:30/START 18:00
渋谷 WWW X
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