15年は<サマーソニック>に2年連続で出演し、より大きなマウンテン・ステージの観客を湧かせたダイナソー・パイルアップ。もともとライヴでの熱量に定評のあるバンドではあったものの、そのステージで、さらにビッグに、ヘヴィーになったバンドの演奏に驚いた人も、きっと多かったんじゃないだろうか? これまで何度かメンバーチェンジが続いていたバンドは、世界各地を回る中で、マット・ビッグランド(Vo,G)、ジム・クラッチリー(B)、マイク・シールズ(Dr)というライヴ時の不動のインナップを確立。そして今回リリースされる最新作『ELEVEN ELEVEN(Japan Edition)』では、これまでマットがほぼすべてを担当していたレコーディングに、バンド史上初めて全員が参加。先行シングル“11:11”を筆頭に、ライヴでの彼らをより反映させた新境地を手に入れている。つまりこの作品は、彼らが初めて“バンド”として録音したアルバムなのだ。

そもそも、バンドにとって作曲/録音方法が変わるというのは、音楽性や方向性そのものにも影響を与えるとても大きな出来事。この変化が起こったのは一体なぜ? また、彼らが新作に込めた思いとは? 1年振りとなった<サマーソニック>の直後に行なわれた、そんな彼らの変化の秘密に迫ったインタビューをどうぞ!

Interview:Dinosaur Pile-Up[Matt Bigland(Vo、G)、Mike Sheils(Dr)、Jim Cratchley(Ba)]

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――まずは『ネイチャー・ナーチャー』リリース以降のツアーについて教えてください。日本やインド、ヨーロッパとツアーしてきて、お互いに何か変化を感じる部分はありますか?

マット・ビッグランド(以下、マット) そうだね。やっぱり、ツアーバンみたいな空間でずっと一緒にいるわけだから、より距離が縮まったと思う。もちろん、僕らはもともと仲のいい友達だけどね(笑)。でも、日本やヨーロッパ、インドとツアーしてきて、バンドとして結束が強まった部分があると思うんだ。そうした経験を通して、ますます仲が深まっていったんだよ。

マイク・シールズ(以下、マイク) うん。ずっと一緒にいることで、よりお互いの欠点をより知ることにもなったけどね(笑)。でも基本的には何も変わらないよ。

――(笑)ちょうど1年ぶりの<サマーソニック>でのライヴはどうでしたか?

マット 最高だったよ。そもそも、昨年の<サマーソニック>のライヴが素晴らしい体験だったから「これを超えることはもうないだろう」って思ってたんだけど、今回来てみたら、もっとよくなってて信じられなかったね。ステージもオーディエンスの規模も大きくなっていたし、自分たちとしてももっと自信を持って演奏することができたんだ。

――日本滞在中、どこかに行くことは出来ましたか?

マイク 京都にちょっとだけ行くことができたんだけど、寺を少し観ることができた他には……食べてばっかりだった(笑)。

ジム・クラッチリー(以下、ジム) (笑)。でも、東京では新宿御苑にも行ったよ! セミが沢山いて、「日本ってすごいな」と思ったね。

マイク あとは、渋谷の色んなところにも行った。あと5日間滞在出来るから、カラオケにも行きたいし、ロボット・レストランにも行ってみたい。あとは……北海道に行きたいんだけど、ちょっと遠いかな……(笑)。

――(笑)。さて、今回の新作『ELEVEN ELEVEN(Japan Edition)』の楽曲も、そうしたツアー中に試していったアイディアから発展したものが多かったそうですね?

マット そうそう、今回の曲のほとんどは、ツアーのサウンドチェック中に試したものから出来上がっていったんだ。サウンドチェックだと時には2分間ぐらいしかない場合もあるから、素早く試していたんだけど、その中で気に入ったものがあったら持ち帰って、それを改めて録音して、みんなに聴かせて……。今回の楽曲制作はそんなプロセスで進めていった。

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『ELEVEN ELEVEN(Japan Edition)』ジャケット

――サウンドチェック中に試したということは、マイクとジムも加わった3人でアイディアを出し合っていった感じだったんですか?

ジム ベースとドラムに関しては、僕とマイクのアイディアも反映されたんだけど、メインになって曲を書いてるのはもちろんマットだよ。

マット 面白かったんだけど、こういうやり方をしてみると、曲の核になる部分というのが、最初の2分間の間に既に形になっていたんだ。今回はそれをもとにして、みんなでさらに発展させていった。曲のもともとのアイディアは今でも僕が出すことが多いから、書きためていたストックの中から色々と試したりして。それに3人で作られた曲も加えた、という感じだね。

――そうして曲を作ったことで、作曲中にツアーの観客を意識した部分もあったと思いますか?

マット そうだね。今回は初めて3人で楽曲を作ったアルバムだから、より3人でのライヴの雰囲気を捉えた作品になった部分はあると思う。

マイク 実際、今回のアルバムには「ライヴでの経験を詰め込みたい」という気持ちがあったんだ。3人でツアーをこなしていく中で、「こういう曲をやると、観客にこんな風に受け止められる」みたいなことが分かった部分があって、それを曲作りに活かした部分もあるし。何よりライヴで演奏して楽しい曲を作ろうと思ったんだ。だから、この新作でのツアーはすごく楽しみにしているんだよ。3人で作っている曲に関しては、ライヴでの経験を受けて、これを曲作りに活かそう、という風に影響を受けていった部分もあったと思う。

――具体的に言うと、どんなところですか?

マット たとえば“Anxiety Trip”は、インドのツアーの終盤に自分が感じていた、「自分がどこにいるのが分からない」という不安について書いた曲なんだ。もちろん、基本的にそれは楽しいことなんだけれど、ツアーで疲れたりしていると、それを不安に感じることがある。ボーナストラックの“Cross My Heart”は東京から自分の家に帰る飛行機の中で書いた曲なんだ。東京から離れる時の、その気持ちを曲に込めたんだよ。

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