――昨夜着用していた、ショート・ショーツって、“One Girl / One Boy”のMVの中でも履いていましたよね。ザ・ローリング・ストーンズの『女たち』柄のショーツだと思うんですけど、あの柄のショーツにはこだわりがあるんですか?(笑)

ザ・ローリング・ストーンズ柄のパンツだぜ? それだけで、最高だろ。店で見つけた時、すぐ買わなきゃいけないと思ったんだ(笑)。ストーンズは、20代の頃によく聴いててさ…いやぁ、もう音楽を作ろうと思った時には、必ず自分の前に立ちはだかる、絶対的なものなんだよ。「自由」や「セックス」っていう概念の考え方を教えてもらった。今はもうあんまり聴かないんだけど、やっぱりいつでも側にあるものだし、ずっと尊敬し続ける存在だと思う。

――ニックさんの踊りを久しぶりに拝見したんですけど、やっぱり独特かつアグレッシヴで…圧倒されました。ダンスとかステージ・パフォーマンスのインスピレーションになっているものってなんですか?

自分の踊り方に関しては、完全にオリジナルなものだと思うな。あんまり影響を受けたとかは考えたこと無いな。踊っていて、気持ちよければそれで良いと思って踊っているんだけどね。でも、ステージ上でのフロントマンとしての在り方みたいなものに関しては、プリンスやイギー・ポップみたいになりたいんだ。彼ら2人がステージで放つエネルギーって圧倒的なんだよ。僕にとって彼らはロール・モデルとして凄く重要な存在なんだ。

【速報】<エレクトラグライド2013>開催決定&5組発表! チック・チック・チックの最新インタビューもお届け! music130822_electraglide2013_chk-1

photo by Masanori Naruse

――なるほど。ところで、今、ダンス・ミュージックというものが、EDMみたいなラップトップ・ベースのものから人肌のファンクやディスコ・ミュージックに返りつつあると思います。例えば、近頃では、ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』がそのような作品だったと思うんですけど。そのようなシーンの状況に関してはどう思いますか?

極端な押し引きのようなものがあることが、音楽においては凄く重要なことだと思うんだよね。アコースティックな音楽に傾倒したら、それが、エレクトリックな方向性に戻ってくる。行ったり来たりを繰り返しながら、スタイルそのものを検討し直すことが音楽を進歩させていくと思うんだ。シーンやアーティスト、全てにおいてそれは言えるはずだよね。僕は「片方がもう一方よりも良い」とかそういう風には考えないな。ダフト・パンクを例にとってみてもそうだと思うんだけど、彼らはこれまで凄くエレクトロニックだったじゃない。だから、今回のアルバムみたいに温かさを感じさせるサウンド・プロダクションのアルバムを作るのは楽しかったんじゃないかと思うよ。

――今年はじめに出された『THR!!!ER』についてお話を伺いたいんですけど。チック・チック・チックってかなり長いキャリアのあるバンドで、素晴らしい作品も沢山作ってきている訳ですが、何故、今、このタイミングでアルバムに「マスター・ピース」を意味する『THR!!!ER』というタイトルをつけなければならなかったんでしょうか。

今回のレコードには、以前の作品よりも、もっと成熟したバンドの在り方みたいなものが表されているんだ。つまり、続けていくことでここまで発展出来るって言う様子を見せたかった。ロック・バンドとかポップ・アクトっていうものの性質上、1枚から2枚のアルバムで燃え尽きてしまうって言うのは一般的なことでそういうバンドは珍しくない。でも、もう一方で、努力し続けて、自分の限界値を更新し続ければ、実際の所、もっと巧くなって新しい発見ができるっていうバンドも居ると思うんだよ。僕らはそういうバンドになりたいんだ、っていう想いをタイトルに込めたんだよね。