新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、音楽業界は今、かつてない苦境にあり、変化の時代を迎えている。

緊急事態宣言発令以前から感染リスクが高いとされる「三密」空間の一例として営業自粛が求められていたクラブやライブハウスは、現在全国でほぼすべての店舗が休業状態だ。収入がなくなり家賃の支払いだけが続くなか、閉店を決める店も出始めた。

ライブの現場を失ったアーティストたちもまた、ツアーやフェスティバルへの出演が中止になったことで、収入源の多くを失った。

政府に対して自粛と補償はセットで、という声も叫ばれているが、一方で当事者たちはこの未曾有の事態に対峙しながら新たな活動へシフトし、動き出している。

〈HIPLAND MUSIC〉のデジタルディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」とQeticが企画する連載の第5回となる今回は、欧米、アジアでも高い人気を誇るバンドThe fin.のフロントマンYuto Uchinoと、下北沢のライブハウスBASEMENT BARの片山翔太、インストロックバンドLITEのメンバーであり行政書士として企業やアーティストの資金調達を支援している武田信幸の3人に、サブスクをはじめとするデジタルプラットフォームの活用法や、利用できる支援策、そしてポストコロナ時代の音楽業界のあり方について、それぞれの視点から語り合ってもらった。

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左からYuto Uchino、片山 翔太、武田 信幸。
取材は5月1日(金)にZoomで実施。

武田 信幸(LITE)
×
Yuto Uchino(The fin.)
×
片山 翔太(下北沢 BASEMENT BAR)

━━新型コロナの感染拡大以降、バンドの活動やライブハウスの営業はどのような状態ですか。

Yuto Uchino(The fin. 以下、Yuto) 中国でのコロナウイルス蔓延が報じられた段階で、ライブができなくなるだろうなという予感はありました。The fin.はライブの大半が海外公演なので、より早いタイミングでスケジュールが白紙になりましたね。春から夏にかけての国内外のフェスティバルへの出演やツアーもキャンセルになりました。

ライブは無くなりましたが、楽曲制作は変わらずやっています。自分の家がスタジオになっているので、そこに影響はありません。

武田 信幸(LITE 以下、武田) LITEのライブは海外と日本国内の割合が半々くらいなのですが、まだ海外ツアーの予定はしていなかったので、初めは対岸の火事という感覚でした。3月後半時点では、4月後半からライブ活動を再開できるんじゃないかと思っていたんですが、徐々に雲行きが怪しくなってきて。結局、今年いっぱいライブができるかどうかも不透明な状態です。

(中止の代わりの公演を)配信でやろうという話もあったんですが、配信ならOKだろうという3月ごろまでの流れから、ライブハウス全体が完全休業になったことで、それも頓挫しました。

行政書士の仕事では、海外公演に行くアーティストたちの申請業務を受けているのですが、計画されていた案件も軒並みキャンセルになっていて。バンドと行政書士、双方で影響が出ていますね。

ライブハウスはどう生き残る?

片山 翔太(下北沢BASEMENT BAR 以下、片山) BASEMENT BARは現在、ライブハウスとして営業ができないので、ライブ配信プログラムの制作のために動いています。以前と変わらず、先のブッキングもしていますが、緊急事態宣言がいつ終わるかわからない中で、今ブッキングしているものが実際にお金に繋がる仕事なのかどうか不明なまま仕事を続けているという感じですね。コロナ以前と仕事内容はほとんど変わりました。

━━BASEMENT BARの経営母体であるTOOS Corporationはグループ店のグッズを販売するWeb Storeを開設しました。クラウドファンディングではなくグッズ販売とした背景は?

片山 まずドリンクチケットを売ろうというアイデアがありました。できればお客さんの対価になるようなことを準備したいね、という考えのなかでグッズも用意しました。

支援を募るということはお客さんにも少なからず負荷がかかるものだと思うので、短絡的にお客さんに頼ることはしたくなかった。なるべく価値のあるものを提供して、それを対価にお店を回す方法に今は頭を使うべきだろうと。それでもダメなら、最終手段としてお客さんに頼るということはあり得るかもしれませんが。

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BASEMENT BARから発売されているグッズ

Web Storeはこちら

━━すでに閉店を決めたライブハウスやクラブも出てきています。緊急事態宣言の延期、さらにその後の行く末も見通せないなか、お店の財政難を乗り越えるための手段はあるのでしょうか。

片山 東京都の(休業要請への)協力金(2店舗以上で100万円の支給)については、うちの会社は7店舗もあるので、その中で分け合うと1日の売り上げにもならないんです。もちろんいただけることはありがたいんですが……。

━━ライブ配信での収益は?

片山 回ごとに変動しますが、チケット代を取っている有料配信に関しては、平常時の1日の売り上げに近い数字を出せることもあります。ありがたいことにチケット代だけでなく観客の方々の投げ銭の金額がかなり大きいです。

ただ、配信の準備にかかる労力を考えると、売り上げとしては成り立ちません。

━━連日配信をしてスケジュールを埋めていく、というのはあまり現実的ではない?

片山 現時点ではそうですね。有料配信については、専門の配信チームにお願いしているんですけど、彼らと一緒に配信プラットフォームを組み立てられたらいいなと思っています。本来であれば現場スタッフへももっとお金を払う必要があるので。

投げ銭のみの無料配信では撮影を自分たちでしている場合もあるのですが、収益になるものではないですね。

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配信プロジェクト<Send>
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投げ銭のみの無料配信プロジェクト<self>

配信はこちら

━━協力金の話がでましたが、行政はそのほかに持続化給付金や雇用調整助成金などの支援制度を用意しています。武田さんから行政書士として、その辺りのアドバイスはありますか。

武田 元々、行政書士としての僕の専門領域は資金調達なんです。ですので、ライブハウスやクラブの事業者、アーティストの方々には、こうした不測の事態を迎えるにあたって一番大事なのはキャッシュである、ということは責任感をもってお伝えしたいと思っています。

「キャッシュ・イズ・キング」という言葉もあります。キャッシュさえあれば会社は潰れない。キャッシュ残高をいかに多く持つか、という意味で、とにかく今は政府の施策をフル活用することがベストだと思っています。

持続化給付金』は法人であれば200万まで、東京都の『感染拡大防止協力金』は単独の店舗で50万円、複数の店舗を持つ事業者へは100万円。個人的に一番活用してほしいのが、事業資金の実質無利子・無担保融資『新型コロナウイルス感染症特別貸付』と『セーフティネット保証4号5号』などです。売り上げの減少があれば、かなり窓口が開かれて通常よりもかなり融資が出やすい状況です。

この融資制度だと、目安として3ヶ月分の売り上げや運転資金が融資対象額になっていて、さらに追加で融資を受けられたりもする。すでに閉店してしまったクラブやライブハウスのなかには融資が受けられない事情があったお店もあったのかもしれませんが、ひとまずはこうした融資を受けたり、給付金をあてにすることができれば、少なくとも3、4ヶ月は持ちこたえることができるはずです。

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武田信幸が行政書士として所属する株式会社INQで
作成した資料が経済産業省の公式資料として採用された

政府が出せる支援策としては現時点の策がマックスといっていいほど充実しているので、個人的にはさらに大きな施策を求めるのはハードルが高いんじゃないかと思っています。

一方で、民間の団体が基金なり寄付を立ち上げていく必要があると思います。クラウドファンディングはすでにたくさんされていますが、今課題になっているのは、それらを統括するライブハウスやクラブの団体がないこと。クラウドファンディングができないくらい小さなお店がたくさんあるんですよね。そこにもお金を行き届かせるためには、民間団体による新しい仕組みがないと難しいかなと思います。ただ、音楽業界はジャンルごとに、ライブハウスやクラブ同士の繋がりが別れてしまっていることがしがらみになって、そういったとりまとめが難しい。

音源からの収入が期待できない時代
アーティストはどう稼ぐ?

━━アーティスト側の話を伺っていきたいのですが、The fin.が元々ライブから得ていた収入は活動全体のうちで何割を占めていたのでしょうか?

Yuto ほぼ大半と言っていいぐらいだと思いますね。The fin.が初めて音源を出した2013年ごろってまだCDが売れていた時代で。その頃なら、CDを出したらタワーレコードなどに展開されて、それなりの枚数が店頭で売れていくっていうスタイルだったんですが、いまは完全にストリーミングに移行していますよね。そうなってからは、フィジカルの音源が売れるケースっていうのが、ツアー中のグッズ販売の一部として買ってもらうパターンが主になっている。なので、ライブがなくなると音源を売る機会も失う。音源を出して、ツアーやフェスを回って制作費や収益を回収するシステムなので、リリースをすること自体が躊躇われる。

ストリーミングサービスからの収入は継続的にもらえるものではありますが、まだまだ十分なマネタイズには至っていなくて、Bandcampがやってくれている手数料が無料になるキャンペーンとか、色々なやり方を模索する必要があると思います。

そもそも日本はデジタルへの移行が他の国に比べて10年とか15年単位で遅れていると思っていて。誤解を恐れずにいうなら、このコロナ禍によってこれまでなかなか進まなかったことが無理やり進むようになるのかなと。

━━LITEはライブに代わる収入源としてなにか用意があるのでしょうか。

武田 僕たちは去年から株式会社ユートニックと共同で『The Room』というファン向けのアプリというか、サブスクリプションのファンプラットフォームを作りまして。そこでのマネタイズをし始めたところだったんです。

そこではファンアプリ限定のスタジオライブや、メンバーのトークライブ、ライブやデモの音源などを販売したり、従来の音楽活動以外からマネタイズできるコンテンツを拾い出して提供しています。

”LITE Official Application “The Room” teaser”

コミュニティ作りが今後を左右する?

━━ファンコミュニティを作れるかどうかは、コロナ以降、より重要になりそうです。一方で、純粋に音楽性で勝負しているアーティストたちには、そういったファンとの密な関係作りを行ってこなかった、また労力を割けなかった人たちも多いです。

武田 LITEの一連の活動は、コロナ関係なくそもそもバンドってそういうものだよね、という思いからやっています。バンドの成長って、好きな人が集まって村になり、村がだんだん町になって都市になる。そんなイメージを持っています。小さいコミュニティから村を作るということは、コロナの影響という部分以外でも、今後必要になってくることだと思いますね。

Yuto ファンと直接繋がっている人の方がもちろん強い。一方で、あまりアイドルみたいな活動スタイルにしたくないっていう気持ちもあると思うんですよね。ファンと近くなりすぎたくないみたいな。

そのバランスのあり方はカルチャーごとに違うと思います。そもそも人がどれくらい音楽やカルチャーに関心をもっているのか。アーティストとファンの繋がりじゃなくて、音楽と音楽が好きな人の繋がりの強さが底力になって全体を変えるものになる。

アイドルは本人がそこにいることが重要で、ファンの「サポートしたい」というモチベーションがアイドルを支えていると思います。しかし、基本的に「音楽」は音楽の内容そのものが評価される。その評価っていうのは、「音楽」というカルチャー自体を愛する「音楽ファン」によってされるものなので、彼らの母数がカルチャーの規模を決める。欧米は日本に比べて、「音楽ファン」の母数が大きいように思います。音楽文化と人々の繋がりが強いから、こういう非常事態になると、大きいファンコミュニティを持っていないアーティストでも何かを出したら買ってもらえる。Bandcampが手数料を無料にしたからみんなで買おう、っていう発想が生まれてくるのかなと思いますね。

日本に同じ環境は求められないので、ファンコミュニティを作る、囲い込みが必要になってくるのかなと思いますね。個人的には、その危険性もすごく感じているんですが……。難しいですね。

━━ライブハウスにおいても、コミュニティ作りへの意識は今後変わりそうですか?

片山 今まではブッキングして、良いと思ったものを発信し続けるなかでお客さんが来てくれてコミュニティができるっていう流れでした。今は配信に切り替わったことで全国に発信できるという状況は生まれました。ただ、イチからスタートしていることなので、どうやって取っかかりを作ってコミュニティを形成していくかを模索しています。

配信の行き着く先というか、具体的にコミュニティの出来上がりのイメージがまだ探り探りで。こういう配信をしてこういう評価されていく、っていうイメージが正直できていません。

━━BASEMENT BARの新規ファンを全国で開拓していく?

片山 そうですね。海外から見てくれている人もいます。ただ現状は、視聴者の方達は好きなアーティストが出演しているから見てくれている状態。全国にファンがいるバンドをブッキングした時は意識的に有料にして、チケットをとっていこうと考えています。

今はコンテンツ数を増やしていって、どれも良いものだって言われるようになって、BASEMENT BARのWeb Storeを見てもらえるようになりたい。BASEMENT BARが面白いことやってるなって伝わるようにしていきたいですが、まだまだ力不足ですね。

サブスクリプションサービスの活用法

━━SpotifyやApple Musicといったサブスクリプションサービスからの収益というのは、どのくらいのものなのでしょうか。

Yuto サブスクの仕組みってざっくり言うとユーザーからの月額料金をパイにしてそれを全員で分けるものだと思うんですけど、その大半を持っていっているのは圧倒的にメジャーなポップアーティストたち。再生回数に応じて支払い金額が決まるわけですが、彼らの再生回数は文字通り何桁も違う。ポップミュージック一強のなかでパイの取り合いを挑むのはちょっと無謀なんです。

昔ならコアな音楽でも、そのジャンルの規模に合わせた枚数のCDを出せばそれなりに買ってもらえたと思うんですよ。今は出すのは簡単でも、収益のパイはほぼほぼ取られている状態。自分たちのライブラリとしてSpotifyやApple Musicに楽曲はあがっているけど、そこからさらに一歩踏み込んだものを作っていけば、インディーズやコアな音楽シーンでもサブスクを活用する可能性は出てくるんじゃないかと思います。

武田 LITEもサブスクが収益源になっているとは言えません。ポップミュージックにおけるサブスクからの収入と比べて0が何個か少ないのが現実です。ただ、自分たちの音楽を広めるという意味では必要なものなので積極的に利用していきます。

一方で、コアなファン層への深堀りというか、ロイヤリティーを高める動きも必要だと思っています。例えば、航空会社の収益モデルは乗客数としては全体の数%のファーストクラスが柱になっている。アイドルとかもそれは一緒で、数%のコアなファン層がそのアイドルを支えているという話もあります。

サブスクを使って存在が広まれば広まるほど、層の色の濃さがでてくるので、より深堀りしていく動きっていうのが、サブスクをやる上で必要なのかなと思いますね。

最近の話ですが、グラミー賞レベルのアーティストがCDとグッズを一緒に販売して、普通のCDの売り上げよりグッズと一緒に売った方が売り上げ枚数自体が多かった、という話もありました。サブスクだといつでもどこでも手に入るけど、このTシャツ、この曲はここでしか手に入らないというロイヤリティーがあれば、お金出してくれる人は一定数いるんだろうなと思います。

アーティストが受けられる支援策

━━先ほどは事業者向けの支援策を紹介していただきましたが、アーティストが利用できるものではどういった支援があるのでしょうか?

武田 東京都の制度で『アートにエールを!東京プロジェクト』というものがあります。これは5分から10分の動画作品を作ってそれをこの団体に納品する。アップロードされたら補助金が1人あたり10万円、団体で最大100万円まで受けられる。

パフォーマーやアーティスト、音響や照明といったプロフェッショナルとしての人材、周辺スタッフも対象に含まれています。ライブハウスのPAさんとか照明さんも対象になります。これが5月15日(金)に開設されます。計4億円のプロジェクトなので、対象数は4000人くらい。これはぜひアーティスト側もライブハウス側も使えたらいいのかなと思います。

また、国のものでは『コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金(リンク先 P.32)』というのがあって、これは海外に向けた動画やライブ配信が想定されています。元々はJ-LODという海外公演を行うアーティストのための補助金を使って、新たな文脈ではじまった補助金です。

さらに『Arts United Fund』というのもあって、これは一人あたり20万円。ケイスリー株式会社というコンサルティング企業が始めたもので、資金は現在クラウドファンディングで募っていて、アーティストの募集は5月25日(月)から開始されます。補助金の配布は6月中を予定しているようです。具体的な金額は資金の集まり具合で決まると思います。

ポストコロナの展望

━━緊急事態宣言の期限後も、音楽業界が原状復帰をするのは先の話、またはもう戻らない可能性も大いにあります。コロナ禍のなかで見えたもの、収束後の展望について考えを聞かせてください。

武田 配信の重要性に気付くということはまずあると思います。遠隔であってもお客さんにとってはコンテンツのひとつ。ライブだけじゃない動画コンテンツや新しい仕組みが急がれていると思いますし、それはライブハウス側だけじゃなくて、アーティストも考えていくべきこと。配信やコンテンツを面白く変えていく仕組み作りとか、そういう時代に適したやり方を考えるいいきっかけになっているんじゃないかと思います。

Yuto コロナウイルスがもし収束したとしても、この事態のなかで人々が重要だと気づいたことは変わらないと思っていて、元に戻るということはないと思います。終わったあとも、今キツいなと思っているところはキツいままだと思うし、デジタルへの移行の重要性はみんなが感じていると思う。

これから5Gも登場して、動画コンテンツや大容量のデータを高速でやりとりできるサービスが増えてくるはずですよね。そうなってくるとフィジカルよりも、デジタル上でガツンとインパクトのあるものを発信して、それを多言語でコンテンツ展開していくとか、そういうことが大事だと思います。

片山 実際、この事態がなければ配信をしようという流れが生まれることはなかったと思います。今後も続けていくつもりだし、もっと全国の人たちが音楽を楽しみやすいように、これをきっかけにもっと風通しが良いあり方を求めていければと思います。

これまでの状態にはもう戻らないと思うし、新しい収益モデルもまだイメージできていない。今はとにかく、今やっていること、目の前にある仕事を生活に馴染ませるというか。ちょっとずつシフトしていけたらと思います。

下北沢BASEMENTBAR/THREEでは店発信の配信イベントに関して、
チケット代と投げ銭を含む売り上げから手数料を引いた額を出演者とライブハウスで折半することを5月8日(金)に発表。

━━コロナ前は当たり前だったリアルの現場への気持ちや、価値について、どのような変化がありましたか。

片山 正直、お客さんが10人とかでもいいのでお店は開けたいです(笑)。やっぱり、配信だけでは人と人とのコミュニケーションは不足しているというか。チャット機能もありますけど、みんなで参加しているという感覚にはならなくて、やっぱり寂しいですね。人が集まらないという状況が。売り上げにならなくてもいいから、お店は開けたいくらいの気持ちです。

武田 僕もプレイヤーとして、ライブはものすごくやりたいですし、リスナーの人たちもものすごくライブが観たいと思っていると思う。だからライブに対するモチベーションが高くなっています。

それはたぶん一時的なものではなくて、ライブハウスでライブをするということの意味がすごく浮き彫りになっているというか。ライブハウスが貴重な空間だという意味が見出せたという空気が広がっていると思う。この空気を終わらせないために続けていくことが大切なんじゃないかと思います。

配信でやれるところはやるし、オンラインでも練習できるようになって、スタジオを使わなくてもいいとことはそれで済ませる。でも、ライブはしっかりと現場をセッティングしてやる。モチベーションのメリハリにもなるし、ライブのクオリティがすごく上がってくるんじゃないかと思いますね。

Yuto 僕はライブの原体験がコーチェラのストリーミングにあったりするので、下手したら現場に行くより配信の方が良い体験ができるんじゃないかと思ったりもするんです(笑)。ずっとレコーディングをしていたいみたいな人間なので、こだわって作られたものを聞くのが好きなんです。

そういう人種にとっては、プロのカメラワークで撮られて高音質で編集されている配信が充実するのはありがたいんですけど、一方でだからこそ生で爆音を浴びる気持ちよさや大切さも分かる。実際に人と会ってコミュニティがあって五感で感じる体験の方がより記憶に刻まれる。人間はそういう体験にどこかで必ず戻るものだと思うんです。

小さいライブハウスで見るから意味のある音楽っていうのもありますよね。音がゴシャっとしたパンクバンドってデジタルを通した配信の音で聞いても面白くない。レコーディングでも同様なんです。デジタルレコーディングの手法でそういうロックのサウンドを録ると耳障りな音になるんです。それは、ロックが減ってEDMが広まった背景の一因だと思います。ただ、最近はデジタルレコーディングの技術がさらに進化したおかげでロックの良さがデジタルでも伝わるようになってきた。なので、最近ロックミュージックが戻って来ている風潮がある。

なので、今はデジタルへの移行というフェーズだけど、どこかでフィジカルなものへ戻ってくると思っていて、そういう意味では今後がすごく楽しみです。

Text by Kunihiro Miki

ライブハウス・クラブ向けの支援策一例

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政府による支援策
-給付
持続化給付金コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金(リンク先 P.32)|雇用調整助成金
-融資
新型コロナウイルス感染症特別貸付セーフティネット保証4号セーフティネット保証5号

東京都による支援策
東京都感染拡大防止協力金アートにエールを!東京プロジェクト

民間団体
ライブベニューに対する新型コロナ関係支援策活用に関する相談窓口

アーティスト向けの支援策一例

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ライブハウス・クラブ、アーティスト向けの資金繰り支援内容

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FRIENDSHIP. archive

FRIENDSHIP.対談企画
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FRIENDSHIP.とはカルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽をデジタル配信する新しいサービス。
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LITE

2003年結成、4人組インストロックバンド。今までに5枚のフルアルバムをリリース。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、アメリカのインディレーベル”Topshelf Records”と契約し、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどでもツアーを成功させるなど国内外で注目を集めている。 国内の大型音楽フェス”FUJI ROCK FESTIVAL”や”SUMMER SONIC”をはじめ、海外音楽フェスのSXSWへの出演や、UKのArcTanGent Festival、スペインのAM Fest、メキシコのForever Alone Festではヘッドライナーでの出演を果たすなど、近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつとなっている。2019年6月5日には6thアルバム「Multiple」をリリースする。

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The fin.

神戸出身、ロックバンドThe fin. 80〜90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせが殺到している。The Last Shadow Puppets、Phoenix、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、<FUJI ROCK FESTIVAL>、<SUMMER SONIC>などの国内大型フェス始め、アメリカの <SXSW>、UKの<The Great Escape>、フランスの<La Magnifique Society>、中国の <Strawberry Festival>などへの出演、そしてUS、UK、アジアツアーでのヘッドライナーツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。また8/25(日)からはバンド自身最大規模となる中国で全13公演15,000キャパシティ(全公演SOLD OUT)のツアーを行った。

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下北沢 BASEMENT BAR

住所
〒155-0032
東京都世田谷区代沢5-18-1
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