Interview:新井陽次郎監督×Galileo Galilei
実は初対面。気鋭の才能によるスペシャル対談!
――まずは新井監督にうかがいたいのですが、今回Galileo Galileiさんに主題歌をお願いしたのはなぜだったんでしょう?
新井陽次郎(以下、新井) プロデューサーの方に提案していただいた中に名前があって、僕自身以前から聴かせてもらっていたので、「ぜひお願いしましょう」ということになったんです。僕だけでなく、うちの嫁さんもGalileo Galileiさんのことがすごく好きなんですよ(笑)。
――Galileo Galileiさんは、スタジオコロリドさんの作品には触れていましたか?
尾崎和樹(以下、和樹) マルコメのTVCMが印象的で、それを観るたびに「どこのアニメ会社が作ってるんだろう?」って思っていたんです。それで今回の主題歌の話が来た時に調べてみたら、「あっ、ここだ!」という感じになって。
尾崎雄貴(以下、雄貴) あと、最初に依頼をもらった時に書いてくれていたイメージの中に「インディ・フォーク」という言葉があって……音楽が詳しい人なんだなって思ってちょっと嬉しくなりましたね。
新井 実はインディ・フォークは、僕が言ったものではないかもしれないです(笑)。でも、いつものGalileo Galileiさんの雰囲気を出してもらえればすごく合うだろうなと思ったんです。僕自身も、「爽やかで、しっとりとしたような曲に……」と色々書いたんですが、「具体的に言い過ぎて大丈夫だったかな」と思っていて(笑)。
雄貴 いや、すごく分かりやすかったです。絵コンテが動く状態の映像も一緒に送ってもらって、「ここから曲がスタートします」みたいな指示もあったんで、それを観ながらイメージして作れたし、今までで一番スムーズで楽しい作業でした。
――新井監督は、そうして出来た曲を聴いた時の感想はどうでしたか?
新井 実は最初は、想定していたイメージとはちょっと違ったんです(笑)。物語自体が台風という題材もあってか暗いシーンが多いので、「最後は爽やかで、明るくしたい」と思っていたんです。でも、何度も聴いているうちに「いや、でもすごく合ってるんじゃないかな」と思うようになって、最終的には今の形ですごくよかったなぁと。それで今、エンディングの挿絵も“嵐のあとで”ありきで作っているんですよ。
雄貴 実は最初、僕らも底抜けに明るい曲を試したんですけど、バンドの性格もあって結局作れなかったというか(笑)。でも、雨上がりの雰囲気を出したいと思ってました。あと、台風のシーンは力強い、激しい感じもあって、しっとりするだけじゃなくてそれを表現できたらいいなって。それで、80sっぽいフィル・コリンズみたいなドラムを入れたんです。ダン! バン! ボン! みたいな(笑)。
新井 そういえば、うちの嫁さんは本当にGalileo Galileiさんが好きなんですけど、「いつもと違ってドラムが前面に出てるね」と言っていて。なるほど、そういうことだったんですね(笑)。
――新井監督としては、『台風のノルダ』はどんなことを表現した作品なのでしょう?
新井 んー、テーマはいろいろありますが、一番は「話せばわかる」という事です。「言えば伝わるのに」とか「話してみたら自分が気にしている程そうでもなかった」とか、素直に自分の気持ちを伝える事ができたら「すれ違い」って少なくなると思うんですよ。
――Galileo Gaileiさんの歌詞にも、その「すれ違い」が反映されていますね。
雄貴 そうですね。歌詞は友達同士のすれ違いで、片方は怒っていて、もう片方はそうでもなくて。どしゃぶりの雨とか、屋根付きのバス停とか……そんな風景を思い浮かべて作りました。
新井 僕はキーワードをお伝えしただけだったのに、「この短時間でこんなものが上がってくるんだ!」と本当に驚きました。
――みなさんそれぞれの視点から、この映画の見どころや、注目して欲しいシーン/キャラクターを教えてください
新井 西条っていう子がいて、そのキャラクターですかね。(主人公の)東はすごく内気な子なんですけど、西条はまっすぐに思いを伝えて、「好きなことから逃げたら後悔するぞ」って言ったりする。「そういうまっすぐな人が増えたらいいな」と思いながら作っていましたね。
雄貴 自分の場合は、さっきも言った台風のシーン。動きが特徴的で、すごくかっこいいんですよ。
佐孝仁司(以下、佐孝) 僕は離島の風景ですね。最後にズームアウトして離島が映るシーンがあるんですけど、物語を締めるというか、「台風が去った後」という感じで、そこがすごくいい。
和樹 劇中でヒロインの子が乗ってる宇宙船みたいなものがあるんですけど、僕らが見せてもらった映像にはまだ色がついていなかったんです。だからあの飛行船がどんな色になってるのか。僕はそれが凄く気になってますね。
――またコラボレーションをするとしたら、次はどんなことをしてみたいですか?
新井 そうですね……MVとかも、ぜひコロリドでやらせていただけたら嬉しいですね。
雄貴 僕はバンドが演奏しているところをアニメで描いてもらえたら嬉しいです。ゴリラズみたいな感じで(笑)。
続いては、その直後にもらったGalileo Galileiのコメントをどうぞ。“嵐のあとで”ではアークティック・モンキーズ作品などで腕をふるうマイク・クロッシーにミックスを依頼。Galileo Galileiらしい心の奥底をぐっと掴むようなメロディと、嵐が去った後の晴れ間のように広がりのある演奏/ドラム・サウンドが、映画の魅力を存分に引き立てる好曲に仕上がっています。