――デビューしたての頃、デーモン・アルバーンはスーパーグラスについて「このバンドは間違いなく今年のナンバーワンUKバンドになる」と言っていました。また、オアシスのギャラガー兄弟もあなたたちのことを絶賛していましたね。当時ブリットポップ期を共にした、彼らのような少し年上のバンドたちは、あなたにとってどんな存在だったのでしょうか。

その2組は特に、スーパーグラスにとっても道を切り開いてくれたバンドだった。93年頃かな、オアシスがTVで“スーパーソニック”を演奏していた時(*恐らく、正確には94年頃の話)、俺はそれをTVで観ていたのをよく覚えているよ。当時、俺はまだ15歳だった。そして(デビュー以降)彼らのような素晴らしいバンドと、何度も共演することが出来たのは光栄だったね。

――彼らとの印象的なエピソードはありますか? ブラーは早いうちからあなたたちを前座に起用してくれて、それはスーパーグラスのキャリアにとっても最初の大きなチャンスになったと思います。

そうだね。オアシスとも「ウェンブリー・アリーナ」で共演したし、色んなバンドとライヴをやったよ。同時にイギリスだけではなく、アメリカでもフー・ファイターズやパール・ジャムと共演することが出来た。彼らはみんな、俺たちより少し上の世代だったけど、本当にビックで成功しているバンドたちばかりだった。そういう人たちから連絡をもらって、前座を務めることが出来たのは誇らしかったよ。それに、他のバンドからスーパーグラスが評価されてる、ということを聞くのも嬉しかった。ツアー・バスの中で「君たちの音楽をよく聴いてるよ」って言われたりしてね。そういえば、アメリカでは、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスやデイヴ・グロールと遊園地にも行って、一緒にローラーコースターに乗ったな。(テイラーのモノマネをする)「おい、クッソ最高だよな!!!」ってさ。これ、結構似てるよね(笑)。

――(笑)。それにしても、あなたたちもそうですし、ブラーもギャラガー兄弟もそうですが、それぞれに活動の形を変えながらも、いまだに音楽シーンの一線で活動しています。このモチヴェーションはどこからくるものなのでしょう?

確かに、活動を続けていくにはエネルギーが必要だし、「それがまだ自分にある」って驚いたりすることもある。曲を書いて作品を出すことっていつも人に受け入れてもらえる保証はないわけで、精神的には自分を追い詰める作業でもある。でも、何で自分がそんなことを今も続けているのかは分からないんだけど、たぶんそれは、自分の中に「いい音楽を作りたい」「作らずにはいられない」、しかも「前よりもいい作品を作りたい」という衝動のようなものがあるからなんじゃないかな。だから、辞めたくても辞められないんだ。俺は人に「お前はろくな音楽を作ってないからもうやめろ」と言われるまで、音楽を作り続けると思う。自分にとって音楽は、言葉で話すよりも自分の考えを上手く伝えられる表現の方法なんだ。

――ブラーのシングルは聴きましたか? ブリットポップを共にしたバンドの今についてはどう思っていますか。

ああ、聴いた。興味はもちろんあるから、新曲が出たら聴いてみる。結局、さっきの「何でミュージシャンを続けているか」という話の続きになるんだけど、他の人はどんな風に進化しているのか、ということにはとても興味があるから。最近(ブラーの)グレアム・コクソンがインタビューで言っていて、とても頷けた言葉があったんだ。「歳を取ったからって辞めなきゃいけない理由はない。歳を取るごとに自分も成長して変わるわけだから、また新しい音楽を書くことが出来る。音楽に年齢制限をすることがおかしいし、いい音楽の前では18歳だろうと50歳だろうと関係ない」ってね。そういうことだと思うんだよ。

Blur – “Lonesome Street (Official Audio)”

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