ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とアームセンサーを装着し、手から放出する「エナジーボール」を使って3対3で対戦する最先端のテクノスポーツ『HADO』の世界大会、<HADO WORLD CUP 2017>が開催された。

2017年は国内外の予選大会を勝ち抜いた12チームが出場。昨年4位のわちゃごな☆ピーポーが悲願の初優勝を果たして優勝賞金200万円を獲得し、昨年2位のSLAM DIVAが2年連続の準優勝。エキシビジョン・マッチでは「恵比寿マスカッツ1.5」や「へきトラハウス」なども大会を盛り上げた。

今回は『HADO』の初期から活動を続け、今回ともに決勝戦を戦った2チームから、室前貴則&Kodai&松葉有香の3名(わちゃごな☆ピーポー)と、さきはまりみこ&萱沼千穂&佐々木淳平&SHEARTの4名(SLAM DIVA)に集まってもらい、当日の様子をインタビュー!

今まさに人気を広げつつある最新スポーツ『HADO』の魅力や、当日の思い出を振り返ってもらった。

HADO WORLD CUP 2017

対談:わちゃごな☆ピーポー×SLAM DIVA

【対談:わちゃごな☆ピーポー×SLAM DIVA】最先端ARスポーツの世界大会<HADO WORLD CUP 2017>を振り返る! interview1801_hado_2-700x467

——<HADO WORLD CUP 2017』は熱戦が続出する素晴らしい大会になりましたね。当日はどんな気持ちで迎えましたか?

萱沼千穂 小さい頃の遠足の前の日みたいに、前日は楽しみでなかなか眠れなかったですね。

室前貴則 僕は割と平然としていました。でも、朝降りる駅を間違えて、迷子になっちゃったんです。会場に辿り着けないかと思った……。

佐々木淳平 ちょっと、どこの県から来た人ですか(笑)。

SHEART 僕も気を張っていた感じはありますね。もちろん、周りが思っていたほど緊張はしていなかったですけど。そんな中、途中から出場されたKodaiさんは……?

Kodai 僕は諸事情あって、2017年の<HADO WORLD CUP>には出られないはずだったんです。でも、「少しでも応援が出来れば」「みんなと一緒に同じ空間にいられれば」と思っていて、最終的には途中から出場することが出来ました。去年の<WORLD CUP>と比べても、今回は大会への思い入れが全然違いましたね。

——2017年は海外のチームも加わって、雰囲気も変わっていたんじゃないかと思います。

萱沼 確かに、より「WORLD CUPだ!」という感覚がありました。

SHEART 僕はベトナムの代表チームBa Con Sóiに話しかけたら、3人のうち1人に逃げられました……(笑)。マレーシアのHYPER STRIKERSとも色々な話をしました。

——みなさんは両チームとも、予選を全勝で勝ち抜いていきましたね。

室前 でも、うちは接戦続きで危なかったです(笑)。エクスぺンダブルズさんが一番やりたくない相手だったんですけど、予選で彼らと同じグループに入ったのも大変でした。

——特に予選でのエクスぺンダブルズとの試合は、残り時間5秒でわちゃごなさんが逆転するというすごい展開でした。

室前 あの試合はずっと僕が狙われていました。3方向から一気にエナジーボールが飛んでくる場面がたくさんあって避けられなかった。ただ、そのおかげでまつゆかちゃん(松葉有香)がフリーになって、それが逆転に繋がりました。あと、海外のチームはバリアを張ってくる戦い方が多かったので、ステータスを振ってそれをすぐに壊せるように準備していました。

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わちゃごな☆ピーポー(左から:Kodai、松葉有香、室前貴則)

——一方、SLAM DIVAさんはわちゃごなさんの戦いをどんな風に観ていたんですか?

佐々木 正直言って、僕らが一番やりたくないチームがわちゃごなさんでした(笑)。最近の練習試合でも負けていたし、僕らにとってはあまりいいイメージができるチームではなくて。でも、まずは自分たちのグループが勝ち上がらなければどうしようもないので、ひとまずそれに集中していた感じですね。今回は「このチームとの試合はこのメンバーでいこう」と事前に決めて、練習から仮想のチームを相手に練習しました。相手が戦い方を変えてきてもそれに寄せるのではなくて、「迷わない」ことが大事だと思ったんです。迷ってしまうと手が止まってしまったり、判断が遅くなったりしてしまうので。

さきはまりみこ それでも、わちゃごなさんと当たるのは嫌でしたね。個々のスキルがすごく高くて、どんな状況でも当ててくるKodaiさんは動きもすごく早い。忘れもしない、決勝戦の2本目(両チームが同点で並び、1点先取のサドンデスに突入した試合)でも、Kodaiさんのエナジーボールを避けるのが本当にこわかったです。

Kodai でも、僕だって正直、SLAM DIVAさんがずっとこわかったんですよ。最近になってようやくいい試合ができるようになりましたけど、昔はずっとボロ負けしていて。SLAM DIVAさんは練習試合のときも、いつもガチで当たってくれて本当にありがたかったですし、僕の実力や僕らのチームの実力を引き上げてくれた人たちなので、決勝戦で戦えたことは幸せでした。「勝つことが恩返しだ」と思って臨みました。

——試合直後にSHEARTさんが「出場したすべてのチームに拍手をお願いします」とコメントしていたように、勝敗だけではない雰囲気が生まれていたのも印象的でした。

Kodai やっぱり、一緒に戦ってきてくれた人たちへの感謝の気持ちが大きいので。僕が『HADO』にのめり込むようになったのも、自分たちが「もっと上手くなりたい」と思えたのも、SLAM DIVAさんをはじめとする色々なチームのおかげです。本気の人たちがいたからこそ、僕らも本気になれた。だから勝敗以前に、色んなチームへの感謝が大きかったです。

SHEART 『HADO』はプレイヤー同士の交流も盛んですし、過去に試合をしてきた過程も全部含めて、軌跡のひとつだと思うんです。だから、決勝に残ったから2チームがすごいという話でもなくて、それぞれのチームがそれぞれに立役者だと思うんですよ。

さきはま 本当に、今回はどこのチームが勝ってもおかしくない大会でした。

佐々木 しかも、練習を重ねたチームはちゃんと強くなる。それがスポーツとしての『HADO』の面白さだと改めて思いました。去年の<HADO WLD CUP>の2位と4位が、またこうして決勝戦で盛り上げられたことも嬉しかったです。もちろん、今は新しいチームもどんどん実力をつけてきていて、それでまた面白くなってきているんですよ

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SLAM DIVA(左から:佐々木淳平、萱沼千穂、さきはまりみこ、SHEART)

——わちゃごな☆ピーポーさんは優勝賞金200万円を獲得し、SLAM DIVAさんも準優勝賞金50万円を獲得しました。気になる賞金の使い道は?

SHEART 『HADO』の(店舗で使用する)年間パスポートがあったらそれに使いたいなぁ。

萱沼 年間パスポート、作ってほしいです!

さきはま あとは、もっと動きやすい衣装もほしいですね。

室前 僕らも、優勝賞金は『HADO』界に貢献できる何かに使いたいです。

SHEART 新年会ですか? ゴチになります!

室前 何を言ってるんだか(笑)。200万円あるので、関内で1000回練習できる資金はたまったかなと。とにかく『HADO』に貢献できる何かもしたいので、お楽しみに。

——今回の大会は、みなさんにとってどんな大会になりましたか?

さきはま SLAM DIVAは2位だったので悔しかったですけど、大会に出られたことも、みんなとまた戦えたことも嬉しかったですし、後悔よりも「いい戦いができたな」という気持ちです。より戦術が活きた、何が起こるか分からない接戦ばかりで。でも、本当は悔しい!

佐々木 あと、今回はファンの人たちがたくさん来てくれて、その人たちに「どんな恩返しができるのかな?」ということが一番でした。これは今まで一緒に練習してきて、決勝戦までに負けてしまった他のチームに対しても同じです。みんなが「頑張れよ」と言ってくれるんだったら、その人たちの分も頑張らなきゃと思ったし、自分のことよりも、そういう気持ちが大きくなった感覚がありました。そういう意味でも、去年より悔しかったですね。

室前 僕らはちょうど去年の1月にみんなでミーティングをして、優勝を目標に頑張っていくことを決めて。その時点では、チーム内でも温度差があって、途中でチームが分解しかけたこともありました。だから、そこから優勝まで行けたことは本当に嬉しかったです。あと、決勝戦はSLAM DIVAさんのファンばかりで、「俺たち全員悪者かよ」という感じでもあって……。とにかく、「リアルな『SLAM DUNK』」(=青春)だなって思いました。

Kodai 社会人になってから、こんな経験ができるなんて思ってもいなかったです。仲間ができたことも嬉しかったし、その仲間と世界一になれたことが、本当に嬉しかった。だからこそ次に切り替えて、また頑張っていきたいですね。

松葉有香 優勝した翌日の祝賀会も、結局<HADO WORLD CUP 2017>の動画を観て、最後に決勝戦で負けた<HADO SUMMER CUP 2017>の動画を観て締めたんです。「どれだけMなんだよ……」という感じですけど(笑)。

SHEART 2017年は『HADO』自体の発展の年でもあったと思うので、それを経て2018年どう動けるのかが楽しみだし、僕らも2018年こそは優勝を狙います。でも、ただ優勝したいわけではなくて、『HADO』自体の発展に繋がる形で、優勝を目標に頑張っていきたいです。

萱沼 うんうん。

佐々木 でも、もう2位は飽きた……。もう2位は嫌だ!!

さきはま (笑)。次こそ3度目の正直ですから。今度こそ優勝賞金のボードを掲げたいです。

室前貴則 うちは(分派チームの)わちゃわちゃ☆ピーポーも最近本当に強くて、僕らでも勝てないんですよ。だから、2018年はこの2チームで決勝を戦う、というのが目標です。

さきはま そんなことさせないから!(笑)。

——『HADO』自体が今まさに発展しているだけに、2018年はさらに楽しみですね。

佐々木 今の『HADO』はそれぞれの選手の個性を出したり、戦略を立てられるようになってきているので、それぞれのプレイヤーの特色がより出てきていますよね。

Kodai だから、個性的なスタープレイヤーも生まれてきていて。たとえば、パンちゃん(シャケーザ新鮮隊:<HADO WORLD CUP 2017>のベストディフェンダー賞を獲得)のバリアもそうですよね。僕らもそのひとりになれるように、これからも走り続けていきたいです。

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HADO WORLD CUP 2017全試合

<HADO WORLD CUP 2017>
受賞チーム・プレーヤー

1位(賞金200万円):わちゃごな☆ピーポー
2位(賞金50万円):SLAM DIVA
3位(賞金20万円):TNW B
ベストコスチューム賞(賞金10万円+Insta360 one):わちゃごな☆ピーポー
ベストパフォーマンス賞(賞金5万円+Google Home):NOeSIS HADO部
ベストアタッカー賞(賞金5万円):SHEART(SLAM DIVA)
ベストディフェンダー賞(賞金5万円):パンちゃん(シャケーザ新鮮隊)
モストランニング賞(賞金5万円):KODAI(わちゃごな☆ピーポー)

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text & interview by 杉山仁
photo by Mayuko Yamaguchi