――それこそ中川さんは中田ヤスタカさんと始めた<TAKENOKO!!!>という、10代に向けた日曜昼間に開催するDJイベントもやられていますよね。そこからきゃりーぱみゅぱみゅが生まれたという流れもあったり。
中川 そうですね。中田ヤスタカと一緒にティーンエイジャーに向けたクラブイベントを昼間にやってるんです。お酒もたばこも販売しないっていうルールをしっかりと決めて、若い子を昼間に集めてたんですね。そこできゃりーがDJを初めてやって。それがきゃりーと中田(ヤスタカ)と接点ができたきっかけだったんですよね。
――今ってきゃりーに憧れる小学生・中学生とかも多いですよね。この憧れ感ってけっこう大事ですよね。
中川 すごく多いですね。アソビスタジオというダンススタジオも運営しているんですけど、そこの小学生の生徒もDJを習いたいとか言い出していて(笑)。影響力ってあるなと。
――それこそ、多大な影響をティーンに与えていたヒロシさんは、今はアーティストとしてソロ活動をされていますが、今回のアルバム『manners』を聴かせていただいてとても集大成感を感じました。自分の言葉で自分のメロディーで楽曲をつくられ、ダンサブルなスタイルで発表された理由を伺ってもよろしいですか?
藤原 理由は特にないんですよね。いいですよ、アルバムの話しなくて(笑)。今日はせっかく中川さんもいるので(笑)。
中川 (笑)。僕にとっては藤原さんって神様に近い存在なんです。僕が原宿に来たきっかけというのは裏原のブランドで、中学生の時にお小遣い握りしめてきていたんですよ。自分にとっても〈ASOBISYSTEM〉にとっても原点なんです。事務所も不便といわれるんですけど裏原に置いたのも憧れがあったからなんです。
――なるほど。ヒロシさんにとって、きゃりーぱみゅぱみゅや原宿カワイイカルチャーはいかがですか?
藤原 今大学でポップカルチャー学部を担当してるんですね。なので何がポップカルチャーなのかなというのはいろいろ探っていて。僕が育った時代ってファッションと音楽がぴったりマッチしていたんですよ。パンクを聴くんだったらパンクの服を着ていないとダメなイメージだったんです。でも今ってそういうのがほとんどないんですよね? その例外として今存在しているのがきゃりーぱみゅぱみゅだと思ってます。ファッションと音楽が融合していて、しかも私生活でもそういう格好をしているというのが良いなと。生徒に「音楽は何聴くの?」と質問すると「レディー・ガガとか聴きますよ」って返ってくるんですけど、その子はすごい普通の格好なんですよ。でも、レディー・ガガの格好はさすがにできないけど、きゃりーのファッションはあるなって思うんですね。音楽とファッションの融合。大切な、天然記念物的な存在だと思います。
中川 ぼくらの時代はネットが無かったので雑誌で調べるということを昔はよくしてました。でも、今の子たちってネットが発達しているからもっと簡単に調べられるんじゃないのって思うんだけど、簡単に調べる環境があるせいで、あまり調べたりしないんですよね。ネットがポップカルチャーを標準化してしまったところはあるのかなって思ってます。
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