——レインボーは、“銀嶺の覇者”をチョイスされていますが、こちらもメロディーで選ばれたのですか?
最初は、“Stargazer”か“バビロンの城門”をやろうとしたんですが、その二曲は私が好き過ぎて、やっぱりやらないでおこう……と(笑)。“銀嶺の覇者”はメロディーもエスニックで、ジャズアレンジをしたらおもしろいかもと思ったんです。聴き返したら、やっぱり良い曲ですよね。
Rainbow – Man on the Silver Mountain
——選曲をするにあたって、自身のライブラリーを振り返ってみたら、また新たな発見があったと。
そうですね。ただのリスナーとしてではなく、応用が出来るように分析して聴くので。そうしたら色々と発見があっておもしろかったですね。
——再発見という意味で、特におもしろかったバンドってありますか?
パンテラですね。高校生の時に『悩殺』がヒットして聴いていたんですけど、当時はそこまでピンときてなかったんです。それが、今『カウボーイ・フロム・ヘル』や『俗悪』を聴いてみると、一枚アッという間に聴けちゃうし、暴力的なイメージが強かったんですけど、実は、とても緻密に楽曲が構成されていることが分かって。今、すごくおもしろく聴けていますよ。
——ヘヴィメタルにジャズの即興性を加える上で、何か工夫をされたことはありますか?
私がアレンジをする中で、メタルに対するリスペクトが失くなってしまったら終わりだなというのはありました。テーマだけやって、後はアドリブをしてしまえば、それはジャズになるんですけど、それでは何の曲でもいいやという話になってしまうので。原曲にリスペクトを残したまま、ジャズとして即興音楽をする、そのバランスには凄く気を付けましたね。
——それでは、ジャズファンにオススメの一曲を。
一曲目のUKは、コンテンポラリー・ジャズを聴いている方なら何の違和感もないと思います。一番、コンテンポラリー・ジャズに近いのは、UKですね。あとは、“銀嶺の覇者”かな? 今、イスラエルのジャズが凄く流行っていて、原曲のエスニックな要素を取り出してアレンジしたら、そこはメンバーも分かってくれたので。
U.K. – In The Dead Of Night
——反対に、メタルファンにオススメの曲は?
“Walk”ですかね、やっぱり(笑)。
Pantera – Walk
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