不思議な世界の動的な瞬間を描く新進気鋭のペインター、一林保久道が11月16日(金)から25日(日)に渡り、<melee close in>と題した展示を半蔵門のANAGRAで開催中。

学生時代は日本画を専攻していた彼の作品は、2次元の中にレイヤー感を感じずにはいられない。また独特な色彩が彼の世界観を押し出している。

ここでは、今後必ずペインター界のホープになるであろう、一林保久道自身初のインタビューをお届けする。

Interview:一林 保久道

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——自己紹介をお願いします。

一林 保久道(イチバヤシ ホクト)です。石川県出身で、大学は京都精華大学の日本画コースを卒業しました。卒業した後は関東に拠点を移し、東京を中心に活動を続けています。

——日本的なテイストとのことですが、作風について少し詳しく教えてください。

平面的で、かつ奥行きもある日本の屏風絵や掛け軸などの絵画から影響を受け、そのテイストを自分なりに取り入れつつ、時代背景や関係性も無視して構成した作風が主です。それ故に作り上げる作品にはシュールな内容のものが多く、また皮肉を間接的に感じる様なものになっています。

——なぜそのスタイルをとるようになったんですか?

東京恵比寿で初の個展を開催していた際、空いた時間を用いて制作していた習作のハチドリの絵が、たまたま極彩色に仕上がった時に今のスタイルが見えたといった感じです。

——ちなみに、そのスタイルは誰かから影響を受けているのでしょうか。

特定して誰という人はいませんが、昔から作られてきた先人作の屏風や掛け軸等から影響を受けることが多いです。

他には日本の美術に限らず、ルネサンス期より前の写本やミュラル、巻物や版画などの遠近法がまだ確立されていない頃のいびつな遠近感を放つものからも影響を受けています。

——なるほど。絵画以外のカルチャーでは何に触れてるんですか?

音楽は浅く広く聴いています。ジャンルは様々ですが、特に集中したい時にはインストゥルメンタルをよく聴きます。歌詞が頭に入ってくると手が止まってしまうので(笑)。

好きな映画は戦争系や伝記物が多いです。特にリドリー・スコット『グラディエーター』は僕にとって大きな影響だったと思います。

主に、ゲーム、歴史、時事ニュースです。自分の作品作りにおいて根底にある3つでもあって、着想の元はこの様なところから来てることが多いです。

——いま、最も興味を持っているモノ・コトは?

好きなものと変わらず、ゲーム、歴史、時事ニュースです。ただしただ考えもなく興味本位でといった様な浅いものではなく、自分の作品にどうにかして活かせるかもしれない、と言った考えのもとで興味が湧く様になりました。

最近では、特に注目しているのはゲームの構図です。幼い頃からよく遊んでいたゲームは父の影響でPCゲームが多く、『StarCraft』や『Age of Empires』、『Heroes of Might and Magic』などをよくプレイしていました。それを考えると自分がいいと思う画面の構図も、そういうところから影響を受けていると思います。

——それを聞くと、作品の見方も変わってきますね。一林さんの作品は色に特徴があるように思いますが、配色をする上で何かこだわりなどありますか?

画面に色を構成する際、隣り合う色同士が互いの良さを殺しあうような配置は避け、魅せ合うことを意識して配置するように心がける様にしています。

しかし、現実に存在する色同士(たとえば赤い花と、葉っぱの緑が生み出す美しさ)での構成は存在しているもの同士の美しさなので、既存の美しさではなく新しい色合いを探求していく様な色使いが特徴です。

それは私が感じるそのものの印象の色だったり、またその色を映えさせる為の補色としての色も配置したりと、その都度色への姿勢は変わります。

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——では、今回の展示について。「melee close in(乱戦は迫り来る)」というタイトルにもあるように、戦いの舞台を描く作品が多いですが、絵を描くときにアイディアはどこから生まれますか?

先述した好きなものの中にゲームがありましたが、まさにそういう環境下から新しいアイディアが生まれることが多いです。馴染みのあるゲームを何気なくプレイしていて、ふと目に入った画面の構図がよかったり、その雰囲気が次に作りたい作品に近いものであったりと、不意にそのアイディアは降ってきたりします。

今は特に紙やキャンバスに絵画を制作することが多いですが、そのうち表現の形もアニメーションや漫画等で表現してみたいですね。

——緻密な、手数の多い作品ばかりですが1日の作業時間は?

今回の展示では個展が決まってからの制作期間がかなりタイトだったので、予定が無い日に至っては10時間かそれ以上描いてる様な日もありました。

制作する環境がアパートの一室なのにそれに見合わないサイズの作品を作ったりするので、描いてる途中無理な姿勢で制作をするものだから、体が鬱血して体が痺れたりとなかなか肉体的に支障をきたす様なことが多かったです。

絵はベッドルームで描いています。他に描ける環境が周りにないので、仕方なくそこで描いてる、といった状況です(笑)。

——すごい大変そうな映像が浮かびます(笑)。お気に入りの画材はありますか?

アクリルガッシュです。過去には日本画で扱っていた岩絵具などで作品を作ったりもしましたが、自分的にはアクリルガッシュのほうが彩度が岩絵具に比べると高く、また乾きやすい上に不透明な絵の具なので、せっかちな自分にとっては今のところかなり相性のいい画材だと思っています。

——今、やりたいことはありますか?

海外での展示をしてみたいです。環境が日本と全く違う中で、人々に自分の作品がどの様に見えるのか、どう感じられるのか知りたいので、いずれ機会があればやってみたいことです。

——海外の人の反応は私もすごく気になります。10年後、どうなっていたいですか?

もっと洗練された作品が作れるようになればと思っています。まだ経験が浅いからか自分の作品には個人的には未だに絵の内容の深みが足りていない気もするし、技術的にも詰めが甘いと感じるところもよくあります。そんな自分のウィークポイントを10年後には感じなくなる様な、研ぎ澄まされた作品を作っていたいと思います。

——ありがとうございます! 最後に、読んでいる方に一言お願いします。

私のインタビューを読んでいただき誠にありがとうございます。この様な形で絵描きとしてのインタビューを受けたのは初めてのことだったので、あまり深いことも思いつかずに至らぬところもあり……。

ただ、少しでも自分が制作をしている際に何を思って描いているのかをこの場で読んでいただいた皆様に少しでも伝えることが出来てとても嬉しかったです。自分の作品は写真で見ても目が冴えるような発色のものばかりですが、やはり実際の作品を展示会場で直接観る方が、特に僕の作品では良く色を感じられると思います。

皆様のお時間が良ければ、是非直接展示会場の方へ観にいらして下さい。ありがとうございました。

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EVENT INFORMATION

ICHIBAYASHI HOKUTO SOLO EXHIBITION
一林保久道 個展
「melee close in」

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2018.11.16(金)〜11.25(日)
WEEKDAY 15:00-22:00
HOLIDAY 14:00-21:00
ANAGRA(東京都千代田区平河町1-8-9 地下一階)
詳細はこちら

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船津晃一朗

船津晃一朗

Qetic編集部

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