デビューEP『GLOW』のリリースから約半年、idomが4曲入りのEP『EDEN』を新たにリリースする。彼のこれまでの歩みについてはぜひ前回のインタビューをご一読いただければと思うが、月9ドラマ『競争の番人』の主題歌を任せられて以降、『関ジャム』で紹介されるなどメディアでの露出も増え、一層注目度も高まるばかり。

この半年の間にワンマンライブも経験し、また一段大きくなったidomは、このEP『EDEN』で、リスナーにディープで魅力的なパーソナリティと、これまで以上に進化の歩幅を大きくした音楽性を掛け合わせて新たな一面を見せている。コロナ禍で活動をスタートさせ、岡山に根をはりながらも、目まぐるしい変化の日々を送ってきたであろう彼は今、何を表現しようとしているのか。どんな想いを抱えていたのか。存分に語ってもらった。

INTERVIEW:idom

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ライブでの経験が反映されたEP制作

──“GLOW”のリリースから約半年、その間にライブも何度か行いました。直接リスナーからリアクションが返ってくるのを楽しみにしていたと思うんですが、実際に経験した感想はいかがでしょう?

すごく新鮮で、自分の音楽を聴いてくれている人に「こういう人もいるんだ」っていう発見もありました。あと“GLOW”で知ってくださった方の中には、ドラマの主題歌だったこともあって、いろんな客層がライブの中で見れて。僕より20歳、30歳も上の世代の方でも僕の音楽に興味を持って聴いてくれたんだって、そういう喜びをライブで発見できてすごい楽しかったですね。

──SNSを日常的に利用しない層にアクセスできてる感覚もあったんですね。

はい、「やっとCD出してくれた!」とか、そういう反応もあったりしてすごいよかったなって。

──励みになりますよね。

そうですね、やっぱり自分の作品が世代関係なく届いてるっていうのは一つのモチベーションに繋がっていると思います。

──今回新作EP『EDEN』がリリースされますが、この作品の制作はライブの活動と重なっていたんですか?

構想を始めたときは、ちょうどライブと重なった感じです。楽曲が全体通して見えてきたのは、ライブを経てからですね。ワンマンライブとかが終わったあとぐらいに、本格的に『EDEN』の楽曲が見えてきた感じでした。

──では作品に対してライブの経験はフィードバックされましたか?

すごく反映されていて。今まではずっと自分の中でかっこいいなと思う楽曲や、自分が伝えたい世界観、自分の内面というものを反映した楽曲を、本当にベッドルームの中で作って届けて、ベッドの中で反応を見るっていう、閉鎖された空間の中でコミュニケーション取ってきました。そこから、一気にリスナーとその面と向かって会うこともできて、しかもCDを通して今まで聴いていなかった層にも届けることができた。

その経験があったおかげで、よりライブを意識した楽曲を作りたいなと思うように、初めてなったんです。ワンマン・ライブをやってる途中からもう構想自体は始まっていたんですけど、じゃあ次に作るとしたら、ライブでもノレる曲で、なおかつ自分の世界観をより強く出したものにしようと思って。そこから作っていきました。

──ライブでのリアクションをイメージしながら作っていったんですね。

そうですね。何となく意識しつつ、単純に楽曲を聴けば自然と体が揺れてしまうようなサウンド感も意識していました。

──そういった意識がサウンドにはっきり表れていると思います。

前作の楽曲に比べるとより僕らしさっていうものを反映したいと思っていたので、楽曲のサウンド面も僕のルーツにあるR&Bのテイストが楽曲のグルーヴに関してもすごく反映されています。あとリリックも、前作までは僕が言霊に乗せてリスナーに力を送るというか、そういう届け方だったと思うんです。それを聴いた人が「この歌詞いいな」と思ってくれたらいいっていう考え方で作っていたんですけど、今作の楽曲の内容は僕のすごくパーソナルな世界観というか、聴いた人に僕が届けるというより、そこにみんなを引き込むイメージで。

今回のEPはそう考えて構成していったので、すごく内容的にも二人だけの世界とか、そういったイメージの楽曲になっていて。『EDEN』というタイトルもそうなんですけど、周りから隔離された、自分の中だけの一番の楽園というか。それを出すことで、そこに興味を持ってくれたら「idomくんの世界観ってこういうところなんだ」と自分から入って来てもらえるような、そういう楽曲作りをしてみたいと思って、今回はそれに挑戦をしてみました。

──“GLOW”でidomさんを知ってくれたリスナーを引き込むような。

“GLOW”はドラマのタイアップだったので、ドラマの内容とリンクさせたり、よりJ-POPのサウンドをすごく意識して作ったので、そこで知ってもらった方に「idomってどういうキャラクターなんだろう」っていうのを伝えきれていないだろうと思っていて。だからそれをより鮮明にしたのが今回のEPなのかなって思ってます。

── 一曲目からすごくidomさんらしいグルーヴ感ですよね。“EDEN”を一曲目に持ってきたのもそういった意図があってのことですか?

そうですね。今回のEPの全体の軸はどういう曲にしようかなと、デモもいろいろ掘り返したり、ゼロから作ったりしていて。その中でチルR&Bのコード感に対して僕がもともと持ってたグループ感を出したんですけど、そこにライブの経験を経て、よりノレるサウンド感にしたいなと思ったときにハウスのビートだったりがどんどん足されていって。

この楽曲がたぶん僕が一番伝えたかった世界観をより濃く反映した作品というか、サウンド感が出てるだろうと思いメインにしようと考えて。で、これに合わせてEPを作るとなったとき、どういう曲がマッチするか自分の引き出しの中からいろいろと出していった感じです。

──個人的には“EDEN”のサビの部分のコーラスの重ね方がすごくいいなと思ったんですけど、あのサビのイメージは最初からあったんですか?

僕の声の上下の低音、高音のレンジが前に比べて広くなってたりしたので、それがより色濃く出る楽曲にしたいなと思っていたんです。あとメインのボーカルを割と低くしてたのはちょっと“GLOW”との差別化という意味もあって。

“GLOW”はボーカル一本で歌い上げてバーッと、自分の歌声を届ける感じの楽曲だったんですけど、ささやくような、色気のある、より耳元で歌っているような感じを一曲通してやれたら面白いだろうなと。だから声のレンジとキーもそれに合わせて。その代わりにコーラスでめちゃくちゃ高い声を重ねることで、よりグルーヴに花が咲く。そういう作り方をしましたね。

──日本のポップスではあまり聴かないサビですよね。

新しくこういうJ-POPがメインストリームにあってもかっこいいんじゃないかなというか。そこまで奇を衒った感じっていうより、ノリやすいサウンドにも作ったつもりなので、こういうボーカルワークだったりとかっていうのがチャートに上がってきたらすごく嬉しいなと思って制作しました。

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音楽活動のキッカケともなった「親友との別れ」への想い

──4曲それぞれ別の良さがありますよね。

サウンド面に関しても、歌詞に関しても、カップリングっぽくしたくなくて。アルバムだったらメインの曲があって、それに合わせた世界観の中でいろいろ入れると思うんですけど、そのカップリング的な雰囲気というよりは、独立したシングル的な雰囲気のある楽曲たちを詰め込んだ方が、EPの自由な感じが出るんじゃないかと思っていて。

もともとのEP全体として、掲げたテーマの中にチルやR&Bのグルーヴ、エモさもあってノレてっていう要素は全体通して統一して持ってはいるけど、それぞれ違う世界観がある構成をイメージして作っていきました。

──デモはたくさんあってその中から絞っていったんですか?

“EDEN”と“Memories”は、このEPに合わせてゼロから作ったもので、“Control”と“Loop”に関しては、もともと自分が持ってたデモというか、温めていたものです。まだ本当完全に作り切った状態というよりアイディアの種みたいなものを僕の中で保存していて、それを今回のEPに合わせて膨らませていった形ですね。

──“Memories”はワンカットのMVも出ていて、ご自身でディレクターを務めていますよね。

楽曲自体もシンプルなビートとアコギのサウンドで、ちょっと構成的に途中でドラマチックになったりもするんですけど、メインはすごくシンプルなサウンドという部分を大事にしていて。歌詞の内容的にすごく身近に感じるような、寄り添ってくれるような楽曲にしたいっていう想いがあって、そういう風にしたんです。

映像も変にいろいろ凝るっていうよりリアリティのあるものというか。その生の状態っていうのを描いた方が、より楽曲の世界観を含めて伝わるのかなと思っていたので、そういう意味でワンカットっていうのは効果的かなと思っていました。

idom – Memories

──天気もすごく良くて、美しい映像になっています。

めちゃくちゃラッキーなことに本当に狙った通りに夕日が出てくれたんです。その日はあまり天気がよくなかったんですけど、そのタイミングはすごく綺麗な、本当に撮影日和になったんです。もともとイメージしていた映像の雰囲気とちゃんと合ったものに仕上がりましたね。

──“Memories”のリリックはハートブレイクソング的というか、「別れ」がテーマになっていますよね。

全体を通して、チルいサウンド感というのがある中で作ってできた楽曲だったので。楽曲のアイディアを考えたときに、僕もそのちょうど別れのタイミングがこの春に向けてあったり、世の中でも学校の別れとか、いろんな別れもあるし、僕がもともと音楽を始める経緯というか、音楽を始めるに当たって僕の中で大事にしていた親友との別れがあったりもしていて。そういう部分が自分の音楽にとってすごく大事で、その別れがたぶん今の僕の音楽のモチベーションに繋がっている。

たぶんそれこそ恋人との別れかもしれないし、家族との別れかもしれないし、誰しもがそういう別れを経験する中で、その寂しさや悲しさに寄り添ってくれて、その次の一歩を思い出と共に前に進もうって思えるような、そういう曲が届けられたらいいなと思いながら作った曲です。

──「別れ」はずっと表現したいことの一つだったんですね。

活動し始めた当初から一貫して常に僕の中にある想いが込められてるというか、僕がすごく大事に思ってる友人に対しての想いが込められていますね。

──その親友との別れについて可能な範囲で教えていただけますか?

コロナ禍で就職ができなくなって、どうしようかなと思ってたときに、僕と一番仲の良かった友人が病気で亡くなってしまって。古民家を改装した場所が今使っているスタジオなんですけど、その友人と作った場所なんです。だからその友人のためにというのもありつつ、一緒に過ごしたこの場所で何か新しいことというか、この活動自体が彼のために何かできないかと思って始めたっていうのもあった。

だから彼に対する想いがすごく僕の原動力になっているんです。年月を重ねていく間に、「別れ」についての気持ちや考え方も変わるし、同じような気持ちになった人もたくさんいるだろうし。友人じゃなくて、恋人でも家族でもいろんな捉え方が「別れ」に対してあると思うので、それをこの楽曲の中で表現できたらいいなと思って作りました。

──スタジオのお話は前回も伺いましたが、今作でもそのスタジオは使っているんですか?

もうガッツリですね。今まで出した曲たちも全部そこで作ってきたので。僕だけじゃなくて、僕と一緒に居た仲間たちとの想いも曲たちに乗っているし、そこで作ることにすごく僕は意味を感じてこの3年間くらいをやってきました。

──次の“Control”は野心的な一面を感じさせる一曲です。

なかなか口に出しては言えないけど、自分の世界観の中で抱いている野心や、抑圧されて周りからどう見られるかという不安から、抑えてた自分自身を解放していくイメージで書いています。

自分が思い描いてる楽曲制作に対する意気込みともリンクさせつつ、自分自身の中にいる、もう一人の自分というか、自信満々な奴を描いてみたいなと。そいつが「俺はすごいんだ」って野心家な感じで進んでいくのを楽曲の中で表現したらすごく面白いしかっこいいんじゃないかと思って書きましたね。

──ヒップホップ的な、セルフボーストしている感じもありますよね。

楽曲の雰囲気的にもなんかちょっとエッジが効いていて、ローの感じももそのヒップホップ的なサウンド感だったりっていうのは、全体通して繋がってるのかなと。

──なるほど。次の“Loop”はMONJOEさんとの共作になっていますね。MONJOEさんはこれまでもライブでご一緒されていたり、“帰り路”のリミックスもMONJOEさんが手掛けていたりと繋がりのある方ですが、どのような流れで制作していったんですか?

もともとこの楽曲自体は僕のデモの中の一曲で。音楽を始めて半年ぐらいのとき、2020年の10月くらいに、もともとトラックもリリックもトップラインも全部作っていたんです。今回のEPを作ろうとなったときに、この曲は“EDEN”の世界観とすごくマッチすると思って。だからEPに収録することを考えてリリックやアレンジを見直そうとしていたんです。

リミックスやライブで、お世話になっていたMONJOEさんのソロでやられてるスタイルがすごく好きだったので、いつか何か制作で一緒にさせていただけたらなとずっと思ってました。僕が作った“Loop”はファンクポップなスタイルだったんですけど、そこにMONJOEさんのより都会的で少しオルタナの雰囲気のあるサウンドの要素を足したらかっこよくなるだろうと思ってお願いしました。何度もやり取りして作り上げた感じです。

──もともとリスナーだったアーティストとの共作は嬉しいですよね。

めちゃくちゃありがたかったですね。僕が岡山にいるのでやりとりは基本オンラインでやっていたんですけど、音のチェック、ミックスの作業のところで直接お会いして話したりしました。僕の中でこの曲に対してのイメージが強くあったのですが、そのイメージをMONJOEさんに伝えるのが僕もまだ上手じゃなく、何回も「こういう風にしたくて」というのを話させていただいて、MONJOEさんもそれを毎回聞いて「じゃあこうしてみよう」っていろいろ試してくださって。自分の中では一緒にできてすごく楽しかった思い出の曲です。

──気が早いかもしれないですが、次に共作するとしたらどんな方とやってみたいですか?

プロデューサーの方で何人か好きな方もいるんですけど、そのプロデューサーの方がメインでプロデュースしているアーティストとコラボしたりする中で会いたいなと思ったりしていて。

まあそうですね。僕の仲良くしている人たちの中だと、Grace AimiちゃんがChaki Zuluさんと一緒にやっていたり、Kvi BabaくんがBACHLOGICさんとずっと一緒にやってたりとか、そういうプロデューサーとタッグを組んでやってる方と一緒にやってみたいなと思ったり。あと自分で楽曲も出していてプロデューサー的な立ち回りもできる方、それこそMONJOEさんもそうですけど、そういう方とやれたら嬉しいですね。

いろんな方とやらせていただいていますけど、まだまだ人数は数えられるほどなので、本当にいろんな方とやってみたいし、僕のトップラインを新しく引き出してくれるようなプロデューサーの方とたくさん出会えたら嬉しいなあと思っています。

──これからさらに引き出しが増えていきそうですね。

僕は曲調も一個にこだわっていないというか、ジャンル感だったりも毎回変えようといろいろ試していて。どの楽曲に対しても僕のテイストを合わせていくっていうのが、僕らしいのかなと思っているので、それこそカントリーだったり、まだ僕がやってないジャンルのものに合わせていけば、まだ出してない引き出しがいくらでも出てくるだろうし。そういった実験的な部分は、僕が求めてるものだと思ってます。

──“GLOW”のEnglish Versionは初回限定盤にだけ収録されます。この曲は動画も出ていて、実験という意味では、生バンドとのセッションはベッドルームで制作するのとはまた違った感覚がありましたか?

一緒にやらせていただいたバンドメンバーは僕と同年代くらいだったんですけど、本当に皆さんプロフェッショナルで才能のある方々だったので、僕の引き出しもやっぱり増えるし、よりライブ感というか、ライブだからこそ出せるこうフロウやフェイクがあって。

本当にバンドサウンドとセッションするような感覚で、自分の声が楽器に変わる瞬間というか……全然違いますね。自分が作った楽曲なんですけど、違う解釈というか、ジャムセッション的な感覚はバンドならではかなと。バンドの音で聴くと広がりもあって「この曲ってこんなにエモーショナルだったんだ」と気づくこともありました。

自分のボーカルが違う聴こえ方をするというのを身に沁みて感じましたね。まだまだ回数も少ないので経験を積みながら、どういう形でやるのが一番自分の中で面白いジャムになるのかというのは試していきたいと思ってます。

idom – GLOW (English ver.) | Official Live Performance

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“Loop”は1,000テイク以上録った

──今回のEPで新たに導入した機材などはありましたか?

機材周りで言うと、今までのままというか、基本的には元からのスタイルですごくミニマルな環境で作っています。実際使ったのはMIDIのキーボードとギター、あとラップトップだけという感じで。今回、僕はちょっとDJ的な立ち回りをしていて。アレンジメントを重ねていく中で、アレンジャーの方に「こういうサウンドが欲しい」「こういう要素が欲しい」とある程度言葉で伝えることもあって。

曲のベースになる部分でこういう風に聴こえてほしいというのをちゃんと伝わるものに仕上げていけば、あとはアレンジャーの方とセッションする方がむしろ変に作り込みすぎるよりも意外と世界観もブラッシュアップされて面白いのかなと思って。

でも曲ごとに違いますね。“Memories”は本当にギターとビートのシンプルな楽曲なので、ギターのコードやビートは自分が録ったものをそのまま出しているような感じだったりするんですけど、“Loop”は自分が作り込んでいったものとMONJOEさんの作り込んだものをバッティングさせる感じで、そこのセッションも面白くて。“EDEN”に関しては僕の思い描いていたサウンドに対して「そういう解釈したいんだったらこうだよね」とアレンジャーのNaoki(Naoki Itai)さんにシンセやストリングスのアレンジのアイディアを投げていただいたりして、いろんなセッションの仕方があってすごく楽しかったです。

── 一番苦労したのはどの部分だったんですか?

どの曲も僕的には詰まることなく楽しく作れたんですけど、テイク数という部分ではどの曲も僕は普段から多いんです。今回の“Loop”は1,000テイク以上録っていて。もうそこから数えてないのでわかんなくなっちゃったんですけど、1,000テイク以上、どういう声の出し方が合うかとかを色々実験していて。

あと掛け合いのラップがあったり、あとFX的なボーカルだったり、いろんな要素を組み込んでいったらどんどんどんどん増えていってしまって。時間を置くとちょっと聴こえ方が変わるので、何日かに分けて録って、次の日起きて聴いて「ここ違うな」みたいなことを何回も繰り返しましたね。だからそういう実験が大変だっていう感じですね。

──それは驚きです。

ラフ自体はもう本当にラフに録ってしまうんですけど、そこからのブラッシュアップというか、自分の中でボーカルもいろんな幅があるので、それがどうこの歌詞に作用するかというのを意識しながらやっていくと、どうしてもそういう風になってしまうんです。

──ということは、歌のディレクションは全部ご自身でやっているんですね。

そうですね。自分の部屋で、一人でやってます。

──妥協しないんですね。

僕はむしろ楽曲の中でこだわりたいなって思うところは、そこが特に強かったりはするんです。楽曲はリリースしちゃうと、もうお直しはできないので、できれば今の自分の100%を、完璧を突き詰めたいっていう思いがすごく強い。

ボーカルに対しては完璧主義的な部分がすごく強くて、本当に何回でも一行一行確認するように、ボーカルはどういうものがいいのかっていうのを本当に実験していく作業は唯一僕が誇れるところというか。

僕は音楽制作の経験もまだそこまで長くはないので、いろんなアーティストさんがいる中でも自分が音楽をずっとやってきたアーティストの方に負けないように頑張らなきゃいけないところってどこだろうと考えたときに、やっぱそういう部分の努力なのかなっては思ったりするので、そこはこだわってというか、絶対妥協しないと決めてやっています。

──最後に次にどんなステップへ進みたいと思っているか教えてください。

楽曲制作の環境で言うと、やっぱり今までずっと一人でやってきたのもあるんで、いろんな方とも交流したいという気持ちもありますし、それこそ一緒に歌ったりしてみたいです。ライブに関してもワンマンをやらせていただいたんですけど、もっと大きな会場も目指していきたいですし、そういう意味でも、ライブに向けていろんな楽曲を増やしていけたらいいなと思っています。

──ちなみに岡山を拠点にというのは変えずに?

近々東京にも拠点を持つようなイメージはあって。岡山で制作っていうよりは、東京にもうちょっと重点を置いていろんなプロデューサーの方々とかとも交流したいと思っています。岡山の家は置いておく予定で、制作で行き詰まったときに自分自身を見つめ直す場所として使えたらいいなと。

idom – EDEN

Text:高久大輝
Photo:Kana Tarumi

PROFILE

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idom

idomは、兵庫県生まれ・岡山県在住の24歳。
大学時代にデザインを専攻し、2020年4月からイタリアのデザイナー事務所に就職する予定であった。
しかし、コロナウィルス パンデミックの影響で渡伊を断念。そんな挫折をきっかけに、以前から興味があった音楽制作に初めて挑戦。楽曲制作・ボーカル・ラップのみならず、映像制作、イラスト制作等もこなす、まさしく新世代型のマルチクリエイター。そして、非常に高い完成度とクリエイティブセンス、しなやかなで甘美な歌声に大きな注目が集まり、音楽制作から約1年という早さでソニーXperiaやTikTokのCMソング等を担当。そしてその勢いは止まることなく、2022年7月フジテレビ月9ドラマ「競争の番人」の主題歌に「GLOW」が大抜擢され2022年9月にデビューした今大注目のアーティスト。
そんなidomが4月12日(水)に2nd EP「EDEN」を発売!
初回盤にはリード曲「EDEN」のMUSIC VIDEOとBehind The Scenesが特典映像として収録され、「GLOW -Endlish ver.-」もボーナストラックとして収録される。
よりidomらしさにこだわって制作したという今作。リード曲「EDEN」は楽曲制作風景がidomのTikTokで公開されており、ChillでエモいけどノれるChill Houseな楽曲にしあがっている。
他にもさまざまな魅力を詰め込んだという2nd EP「EDEN」idomの新たな魅力を感じさせてくれること間違いないだろう。

INFORMATION

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通常盤
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初回生産限定盤

EDEN

2023年4月12日(水)
idom
初回生産限定盤:
¥1,800(tax incl.)
 
CD+Blu-ray:
<Blu-ray 収録内容>
・「EDEN」MUSIC VIDEO
・「EDEN」Behind The Scenes
 
通常盤:
¥1,400(tax incl.)
 
CD
<収録曲>
1.EDEN
2.Memories
3.Control
4.Loop
5.GLOW -English ver.- ※初回生産限定盤のみに収録

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