『片腕マシンガール』(08年)や『電人ザボーガー』(11年)、そして昨年公開された『デッド寿司』など、エロ×グロ×感動etc…で独自の世界観で人気を誇る井口昇監督。そんな井口監督の最新作『ヌイグルマーZ』が1月25日(土)より公開される! 元々『ヌイグルマーZ』とは大槻ケンヂによる『縫製人間ヌイグルマー』が原作だが、中川翔子こと、しょこたんが主演になった事で、それをベースに新たなストーリー展開になっている。いざ駆け足でストーリーをご紹介しよう。
ストーリー
甘ロリ(※)のドジっ子、ダメ子は姉・冬子の家へ居候するも、とある事件で姪の響子に嫌われて悩む。そんなダメ子を、宇宙生命体が憑依したヌイグルミ・ブースケが突然動いて励ます事に(?!)。その頃、謎の組織がゾンビを利用して平和を脅かし、響子にも魔の手が迫る…! そのタイミングでダメ子とブースケは遂に合体! まっピンクなヒーロー=ヌイグルマーに変身するのであった! 地球の平和はいかに? そしてダメ子と響子の仲はどうなるのか??!!!
(C)2013 ヌイグルマーZ/フィルム・パートナーズ
“Z”と付いている事でザ・特撮な雰囲気を感じさせ、つい水木一郎ばりに「ヌイグルマーゼエエエエエッド!」と言いたくなるこのタイトル。その読みは間違いではなく、特撮やヒーロー/ヒロイン、愛や勇気、拘束や裏切りなどのキーワードが散りばめられており、観終わった後にスッキリかつ暖かな気持ちになれる作品になっている。しょこたん渾身のヌンチャク捌きに武田梨奈の男装、ゾンビの阿波踊り(これぞ『死霊の盆踊り』、最高!)そして井口ワールドならではの爆笑ネタの数々…、と見所ポイントもモリモリ。
そんな『ヌイグルマーZ』について、井口監督&しょこたんに特別取材を決行! 2人にとって1番好きなヒーロー/ヒロインや撮影時の印象的な思い出など色々な話を聞くことができた。
(※甘い雰囲気のロリータファッション、またそれを装う者を指す)
Interview:井口昇監督&中川翔子さん
ーー今日は一日中ヌンチャクを振られてたんですか?
中川翔子さん(以下、中川さん) そうなんです。たまたまさっき徹子の部屋の出演があって冒頭の「ルールルー♪」の所でずっとヌンチャクを振って出るっていう感じで。
ーー(笑)。
中川さん このヌンチャク、「ずーっと振り続けてるなぁ」と思うとシミジミしますね。
ーー中学生の時に自作されたんですよね?
中川さん そうです。ブルース・リーが好きでヌンチャクを持っていたんですが、ピンク色も好きだという事、あと痛いからっていう理由でピンク色のファーを巻いたのがきっかけだったんです。でも、あの日の自分にこの『ヌイグルマーZ(以下、ヌイグルマー)』を観せたら、どんな気持ちで何て言うんだろう? って思いますね。そんな風に、過去の自分へのプレゼントにしようっていう気持ちで撮影していました。
ーー当時からファーを巻かれてたんですか?
中川さん 最初に買った黒色の物なんかは、鎖の長さが一番振るのにしっくりきたヌンチャクなので何本も持っていますが、「私はピンクが好きだから」っていう理由でファーを何気に巻いたんですよね。その時のその行動が10数年の時を超えて『ヌイグルマー』という映画に…! 主人公のダメ子が甘ロリを着るという事になっていて、衣装合わせのときにこの一番凄まじいピンクのロリータ服が選ばれ。それで「ヌンチャクはどうしようか」ってなった時、ヌンチャクは普通黄色や黒が多いけど、「実は私持ってるんですよね」って言って。いつも念のため、何かあった時用に常に車に入れて持ち歩いているヌンチャクが一番この衣装に色がピッタリ合ったんですよ。だから、運命的だと思います。時を超えていろんな過去の出来事がこの『ヌイグルマー』の為に備わってやっていることが何度もあったので、私はこの映画の為に生きてきたんだな〜って思っていましたね。
ーー本作でヌンチャクの登場が凄く斬新だなと思ってビックリしました!
中川さん もう私の中では相棒としてずーっと振り続けていて。学生の時の体育が1だったりと運動ができない私の中で唯一できる運動って感じなので、ストレスが溜まったときにも振りますし、振っているとなんだか心地良い。だから実家のピンク色の壁にもあのヌンチャクで開けた穴が開いているんですよ!
ーーそうなんですね(笑)。ヌンチャクは何本くらいお持ちなんですか?
中川さん 重さのあるものとか色々持っているんですけど、でも結局しっくりくるやつはあの子(ピンクのヌンチャク)が一番ですね。それが今回映画にも出て、しかもグッズとして映画館で売られるって凄いビックバンですよね。ブルース・リーの時代以来に映画館でヌンチャクが売られるけど、今回は女子向きヌンチャクですからねっ! ファッション・アイテムとしても、ピンクのファーで可愛らしいものなので、是非、女子が1人1本ヌンチャクを持つ時代になれば良いなと。
ーー女子向けヌンチャクって新しいですよね。さて、井口監督と中川翔子さんは『脳子の恋』(09年)以来のタッグかと思うんですけど、監督はヒロインを中川さんにした、一番大きな決め手はなんだったのでしょうか?
井口昇監督(以下、井口監督) 実は10年前位から中川さんといつかお仕事したいなぁ、主演の映画が撮れたらいいなぁ、っていうのがずっと夢としてありました。今回『ヌイグルマー』のお話しを頂いた時に、主役を中川さんでという案が浮上してきて、だったらもう主役は中川さんに是非お願いするしかない! と思いましたね。原作では男の子がヌイグルミと合体して「ヌイグルマー」というヒーローになる話だったんですが、それを、中川さんがヌイグルミと合体してヒーローになる、という中川さんを中心に物語に変えてみたんです。そうすると、やはり原作のニュアンスと大きく変わって、女の子が自分のアイデンティティを見つめながら成長していく、成長物語に変わっていった事が自分でも創っていて発見でした。中川さんのお陰でヌイグルマーの世界が広がっていったように思いましたね。
ーー中川さんありきで作品が変わった、ヒーロー像が変わったって事ですよね。本作ではその「変身」にもちょっと種類があるので、そこが凄く面白いなあと思っていて。
井口監督 本作はヒーローの成長物語として完結させたかったので、全ての変身に意味がある作品にしたいと思ってました。
ーーダメ子がダメじゃなくなっていく、というような…。
井口監督 そうですね。その成長に合わせて1人の人間がやっぱり強くなっていくというか、テーマとしては「自分に自信がなかったり、色んな格好をしていた事で変な目で見られたり、会社に馴染めない人へ勇気を与えられる映画にしたい」という事が僕のテーマだったので、そういう所を中川さんが一身に背負って体現してくれているなと思いました。