ーー本作にはセーラームーン、スパイダーマン、キャッツ・アイ、ウルトラマンなど…海外・日本、男女入り交じった色々なヒーロー像が詰まっているなと感じたんですが、お2人にとって、1番好きなヒーロー/ヒロインって何ですか?

中川さん うーん、難しいですね。本作でダメ子が「ヒロイン」ではなく「ヒーロー」に凄くこだわっているのが不思議で面白くて。女子だからヒロインに憧れるわけでは無いっていうのが、私の中で無かった考えでしたね。そこで、私にとってのヒーローってなんだろう? って思った時に、「そっか、ギャバン(『宇宙刑事ギャバン』)って大変なことしてたんだな」と、ギャバンのこと思い出しました。戦隊だったら皆で地球を救うし、ライダーもなんだかんだ皆で悪を滅ぼしているけど、ギャバンは1人で地球1個分を背負わなきゃいけない。守らなきゃいけないし、頼ってもらわなきゃいけないし、でも誰かに頼れないし…愛・心の強さ・哀愁、この3つを背負わなきゃいけないんだっていうのをすごく思い出して。で、もう『ギャバン』は何十回も観ているんですけど、自分もヒーローになるんだって思って観たら、初めて観たように見えてきたので面白かったです。

あとは、世代的にもいつも心に『美少女戦士セーラームーン』を抱いているのでセーラームーンです。女の子同士って嫉妬とか色々な感情が生まれたり特殊な事があるから、こじれると修復は難しいんです。だけど、お互い認め合った時は一生もの、っていう事を『セーラームーン』から凄く学んだ所がありました。だから、今回は戦う女子の作品で嬉しかった。しかも『海賊船隊ゴーカイジャー』も見てたから、ゴーカイイエローの市道真央ちゃんにきつく当たってもらえて凄く気持ちよかったです(笑)。

ーー(笑)。

中川さん 私Mなので、ヒロイン様に当たってもらえると嬉しくて(笑)。嬉しすぎて、「あーっ、今目の前に市道真央ちゃんがいて、私(ダメ子)の事を怒ってるよ!」って思ったら台詞を間違えちゃったんですけど、それが逆にダメ子の異常さが醸し出せていて良いってOKになっちゃったことがあり。すいませんでした…。

井口監督 いえいえ。いや、逆に良かったですね。

【インタビュー】しょこたん&井口昇監督『ヌイグルマーZ』特別取材「撮影という名の女子会だった」 interview130124_nuiguruma-z_film3

(C)2013 ヌイグルマーZ/フィルム・パートナーズ

ーー因みに監督の好きなヒーロー/ヒロインは?

井口監督 僕は女性ヒーローが結構好きなんですよ。『人造人間キカイダー』でいうと、ビジンダーが凄く好き。ビジンダーも衣装がピンクだし、ハート形を模しているルックスが好きですね。
あと、仮面を被っているのに口だけ見えているヒーローも好きです。口が出ているのは生々しく感じて。だから、ライダーマン(『仮面ライダーV3』)やタックル(『仮面ライダーストロンガー』)や…

中川さん ポワトリン(『美少女仮面ポワトリン』)!

井口監督 ポワトリンもそう。あと、シルバー仮面も。彼はなかなか渋いキャラで、ほとんどタイツみたいな格好の人なんですけど、ルックスが格好良すぎないヒーローだっだり、どこか旨味が出ているようなキャラクターが好きですね。完全なマシーンとかよりも人間くさいものが好きなのかも。あとは、自分でもリメイク作品を撮ったんですけど、ザボーガー(『電人ザボーガー』)は命令されたことだけやるっていうのが美しくていいなと思います。

ーーヌイグルマーのデザインもかっこいいのに優しい、人間味のあるヒーローですよね。

井口監督 そうですね。今回“可愛らしさ”と“シャープさ”っていうのを、デザインの鶴巻さんや小山さんにお願いしました。色に関しては、黄やオレンジなどいくつか案があった中で、僕が偶然ピンクを選んだら、実は中川さんがすごくピンクが大好きだったんです! その上、ピンクの中でも選んだ色味が中川さんのスキなピンクと一致したんです。

中川さん 宇宙で1番、ピンクって最強の色だと思うんですけど、そのピンクの中でも1番良いピンクだと思います。

井口監督 ピンクでも色々種類あるんですよね。

中川さん うん、ベイビーピンクとヴィヴィッドピンク。このデザインは好きなピンクがどっちも出てきて可愛いですね。可愛いのにカッコイイ。あと、縫い目の所で腰部分の肌がちょこっと見えていたり、片目が眼帯包帯だったりとか、そういうポイントが色々入っているので、男子にも女子にもツボがいっぱい見つかるんじゃないかなと思いますよ。

ーー以前中川さんが好みのタイプで「蹴りが綺麗でヌンチャクができる方」と言われてたと思うのですが、それって今回もの凄くスタイリッシュに登場されていた武田梨奈さんにすごく近かったのかなあ、と。

中川さん 本当ですね。しかも、ジャッキー(・チェン)話で盛り上がる女子って初めてで。本当に梨奈ちゃんが男子だったら結婚したいって思うんですけど。

ーー(笑)。

中川さん しかも男装もするワケですよ。市道真央ちゃんもちょっとオタク気質の女子だったので、2人でキャーキャー、ハスハスしながら梨奈ちゃんのことを現場で一緒に観ていて。梨奈ちゃん演じる男装のビリーが怪我を負ったシーンを撮っていたんですけど、もうたまんなくツボですよね! そのシーンを何度も遠くから盗撮していました。しかも後でその写真を送りつけるという、ストーカーみたいな行為をしていて。で、その日スタッフの方が昼食に麻婆豆腐が作ってくれたんですけど、その鍋をこぼしちゃったらしく無くなっていたので、その梨奈ちゃんのダメージシーンを思い出しながら白米を食べていました。

ーーご飯のオカズにしていたんですね(笑)。ダメージシーンに萌えるんですか?

中川さん ダメージシーンが好きですね。だから私も拘束されるシーンが凄い嬉しかったですね。

井口監督 僕も中川さんが拘束されるシーンを撮りたかったので、そう言ってもらえて嬉しいですね。

中川さん 特撮で「捕らえられる」って大事なポイントですよね。

井口監督 そうなんですよね。やっぱりヒロイン/ヒーローが拘束、悪いやつに捕まるというのが凄くやりたかったので、その部分一致できて良かったですね。

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