ーーおっぱいビームとか想像はした事はありますが、実写で見たことはなかったので、ちょっと感動しちゃいました(笑)。あとは漫画を読みながら戦ってくるサラリーマン達とか…そういう面白い技とかアイディアってどこから湧いてくるんですか?
井口監督 自分が特撮モノを撮るのであれば、どうせならあんまり見たことが無いものをやりたいなっていう思いがありまして、なんか考えてるうちに自然と浮かんだんでしょうね。やっぱり海外のハリウッド映画みたいに何百億かけて創る映像にするにはどうしても予算的に無理なので、ハリウッドには無い自由な発想で何かできないかなっていつも思うんですよ。でもまぁおっぱいビームに関しては自由すぎたかもしれませんね(笑)!
ーー(笑)。
井口監督 外国の方がビックリする映像を撮りたいなと思っていて、まぁ、おもちゃ箱みたいな作品にはしたいなという思いと、本能で映画を創っていったらこういうことになったって事でしょうかね。
ーーゾンビの阿波踊りもすごかったですね。
井口監督 ありがとうございます。
中川さん ものすごい井口監督イズムですよね。
井口監督 あれも大槻ケンヂさんの原作に元々あるんですよね。撮影には、高円寺の阿波踊り連の「朱雀連さん」に出ていただくことになって。切れ味のよい踊りをやっていただけて何てラッキーなんだろうと思いました。
中川さん プロの皆さんなんですけど、ゾンビのメイクのまま一生懸命真顔で練習しているのを見たら泣けてきちゃって(笑)。ゲートをゆっくり入っていくんですよ、踊りながら。ちょっと素敵でしたね。
一同 (笑)。
井口監督 美しかったですよね。
(C)2013 ヌイグルマーZ/フィルム・パートナーズ
ーーでもそのシーン、撮影シーンではなくて、練習シーンだったという…。
中川さん だったんですよ(笑)。
井口監督 最初怒られるかと思ったんですけど、皆さん協力的にやって頂けて本当に嬉しかったです。
中川さん ゾンビの皆さん含めて、この映画って出ている人全員が喜んでやっているんですよね。仕事だからとかそういうのじゃなくて。私はもちろんですけど、皆さんも「もう、嬉しくてたまんない」っていう感じで。最後の方の台詞で「今が良ければ全てオッケーだよ!」って台詞があったんですけど、監督がそのモニター観ながら「本当に全てオッケーだよー(泣きそうになりながら)」ってとろけるチーズのような顔していて、「わあ、何て素敵な現場なんだろう」って思いましたね。
井口監督 ああ、嬉しいですね。
——スクリーン越しから伝わってきました。みんなの好きが。
中川さん 好きが集まるってすごくいいことですよね。今まで生きてきて「これが好きだから!」っていう…例えば夢が叶わなくて、戦隊物のオーディションに落ちたりとか色々していて、あの時って目標が叶わないって辞めていても全然おかしくなかったし。でも、大好きな楳図かずお先生にその時たまたまお会いできたりとか、「自分はこれが好きだったんだ」って再確認して好きな物に助けられて…だから、ダメ子も甘ロリに目覚めて自分で洋服をこしらえちゃったり、「これは自分が好きだから着てるんだ!」っていうのも、良かったねと思えるし。ヒーローが好きだからダメでも「好きだからさ!」っていう事で出てくる情熱とか輝きとか興奮って、絶対力を与えてくれるというか。この映画は私の好きなものの結晶なので、もう最高です!! 本当に嬉しいですし、男子も女子も違ったポイントで共感できるものがあるんじゃないかなって思います。男子的にはヒーローのポーズやゾンビで、女子にとっては今フランスとか海外でも人気があるロリータ衣装やピンク色、実写版の『プリキュア』感もちょっとあるのでその面で興奮できると思いますよ。
井口監督 実はVFX部はみんな男性なので『プリキュア』の映像をCGとして見せて、「乙女の心でCG作ってほしい」って何回も見せてましたね。制作~宣伝まで、すべてのキーワードは男性全員みんな乙女になろうでしたね(笑)。
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text&interview by Qetic・ヤーマネ
photo by 横山マサト
取材協力:livedoor
『ヌイグルマーZ』
2014.01.25(土)全国公開
出演:中川翔子、武田梨奈、市道真央、猫ひろし、高木古都、北原帆夏、ジジ・ぶぅ、斎藤工、平岩紙
監督:井口昇
原作:大槻ケンヂ『縫製人間ヌイグルマー』
脚本:井口昇/継田淳
ヌイグルマーデザイン:鶴巻和哉/コヤマシゲト
劇中歌:特撮
音楽:福田裕彦
企画・制作/ガンジス
配給:キングレコード/ティ・ジョイ