今年惜しまれつつ亡くなったプリンスをして「A voice that could melt snow=雪さえも溶かすほどの(温かい)声」と言わしめた、ナッシュヴィル出身のソウル&ジャズ・シンガー、キャンディス・スプリングス。彼女は幼い頃、父親にもらったノラ・ジョーンズのデビュー作『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』を聴いたことをひとつのきっかけに、現在に連なるミュージシャンの道を目指すことを決意。その後『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』のリリース元でもあるジャズ界の名門〈ブルーノート〉と契約すると、14年にEP『Kandace Springs』を発表。今回『ソウル・アイズ』で、ついにアルバム・デビューを果たす。
リアーナ、ニッキー・ミナージュ、ミゲルなどの作品を手掛けるポップ&オークを迎えてヒップホップ/モダンR&B的なサウンドを前面に押し出したEP『Kandace Springs』に対して、ジョニ・ミッチェルやハービー・ハンコックとの仕事でグラミー賞も受賞した名プロデューサー、ラリー・クラインを迎えた『ソウル・アイズ』の楽曲は、どれもがよりオーガニックな質感を獲得。そんな作品の雰囲気を反映させるように、アルバムの発売を前に行なわれた関係者向けのコンベンション・ライブでも、ピアノの弾き語りスタイルで、アルバム収録曲からプリンスが彼女を知るきっかけとなったサム・スミスのカヴァー“ステイ・ウィズ・ミー”までを披露。彼女の声そのものの魅力を存分に生かしたライブで参加者を魅了した。
今回のアルバムでの方向性には、自身の父親やプリンスからのアドバイス、そしてナッシュヴィルで音楽を始めた頃の記憶にふたたび触れたことで気が付いた、彼女が思う「本当の自分」が反映されている。その制作過程について、今回の日本滞在について、本人に訊いた。
Kandace Springs – Thought It Would Be Easier
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