mysoundイチ押しのアーティストにテーマに合わせた楽曲をピックアップしてもらい、その曲にまつわるエピソードから本質を掘り下げていくプレイリスト企画。今回はソロでも作品を残す鬼才・常田大希を中心にした4人組、King Gnu(キングヌー)の登場です。
King Gnuは今年に入って前身バンドのSrv. Vinciから改名。2017年は<SXSW>や<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>への出演を経て、King Gnuとしてのファースト・アルバム『Tokyo Rendez-Vous』を完成させています。彼らが選んでくれたプレイリストのテーマは「来世でも聴きたい曲」。バンドで共通して好きな楽曲を通して、メンバーが影響を受けた音楽について聞きました。
Interview:King Gnu
新井和輝 “みんな共通するのは、ブラック・ミュージックが好きだということ”
——みなさんは小さい頃や学生時代、プレイリストを作ったり、友達とそれを交換したりする経験はありましたか?
常田大希(以下、常田) 小学校の頃はカセットでプレイリストを作っていました。自分のCDはあまり持っていなかったんで、親父のCDを集めて作ったりしていて。その当時はマイルス・デイヴィスのようなジャズが多くて、ただ好きな曲を集めていた感じでした。
新井和輝(以下、新井) 学生時代はiPodの星が付けられる機能を使って、好きなジャズをまとめたりもしていましたね。あとはSkypeを使って友達と音楽を共有したりもしてました。大学に進学してからは、友達とグループ通話で話しながら色々と音楽を教え合ったりして。
勢喜遊(以下、勢喜) ああ、やったよね!
——メンバー間で音楽を教え合うことも多いんですか?
新井 僕らは遠征のときに、助手席のメンバーが音楽をかけるんですよ。みんな共通するのは、ブラック・ミュージックが好きだということ。僕の場合、レディオヘッドは(常田)大希の影響もあって前より聴くようになったりしました。
勢喜 個人的には、知らない音楽は大希から教えてもらうことが多いです。たとえば、TABOO1みたいなヒップホップとか、UKロックとか。俺はアークティック・モンキーズのようなバンドは聴いてこなかったんですよ。レディオヘッドも聴いてなかったし。ジェイムス・ブレイクは(新井)和輝に教えてもらったのを覚えています。
井口理(以下、井口) 僕はもともと洋楽を聴いてこなかったので、そういうものは全部メンバーと出会ってから教えてもらいました。
常田 一方で和輝と(勢喜)遊はブラック・ミュージックが詳しくて、その中でもネオソウルとか、生音寄りの音が好きなイメージですね。
——さて、今回は「来世でも聴きたい曲」というテーマで選んでいただきました。まずは常田さんの1曲目、レディオヘッドの“Karma Police”ですね。
常田 今回挙がっているものは、基本的にバンドメンバーが共通して好きな曲です。レディオヘッドは(『ザ・キング・オブ・リムス』期のスタジオ配信ライブ)「ライヴ・フロム・ザ・ベースメント」やフジロックでのライブを観て、それがどれも凄くて。<フジロック>のライブで“Karma Police”を観て感動した記憶があります。曲自体には高校~中学生の頃に色んな音楽を聴き漁っていく中で出会っていて、その頃から「すごい」と思うバンドですね。
次のゴリラズはコンセプト含めて好きで、どの曲でもよかったんですけどこれを選びました。
——そういえば、『Tokyo Rendez-Vous』収録の“あなたは蜃気楼”には、ゴリラズの“Feel Good Inc.”のような笑い声が挿入されていますね? ゴリラズは色々な音楽が混ざっているKing Gnuの音楽にもある意味通じるような雰囲気があるかもしれません。
常田 そういうこともあってオマージュで笑い声を入れたんですよ(笑)。ゴリラズはチープなサウンドもグループに合っていて、トータル・クリエイションとして水準が高い。あと、ブラック・ミュージックを取り入れるバランス感覚もすごく好きです。次のニルヴァーナは“青春”ですね。文化祭でやって……はないんですけど(笑)、やってもおかしくなかった曲。周りの友達もみんな好きでした。カート・コバーンの声も、アティテュードもかっこいい。子供時代に憧れるロック・スターの代表格ですよね。
ジェイムス・ブレイク、ケンドリック・ラマー、井上陽水などKing Gnuが選ぶ「来世でも聴きたい曲」!
interview & text by 杉山仁
photo by 横山マサト