——もしかしてアルバムのブックレットや、「Pretty Pimpin’」のビデオに映っているのも彼ですか?

その通り。何でわかったの?(笑)。

Kurt Vile – “Pretty Pimpin” Official Video

——どうして弟さんを起用しようと思ったのですか?

アイツが出たがっていたのがわかっていたし、本当に面白いキャラだから(笑)。弟が出ればビデオがコミカルになるし、普通家族を出すと変な感じがするんだろうけど、アイツの場合はキャラで許されるんだ(笑)。ずっとじゃなくて、あのワンシーンに出したらかなりウケるんじゃないかなと思って(笑)。

——弟さんは今いくつなんですか?

31とかかな。30か31だと思う。会ってみたら、マジでウケるよ(笑)。

——ちなみに彼はJell-O manと呼ばれているそうですが、普段一体何をしているのでしょう?

彼は、フェスでゼリーを売ってるんだ。彼のウェブサイト(http://jellomanphilly.com/)があるから是非チェックしてみて。特にインスタグラム(@jellomanphilly)は強烈だから(笑)。Tシャツも作ってるし、レコード業界で法に触れるか触れないかギリギリのラインで活動してる(笑)。

——ゼリーのお店は持ってないんですか?

店はないよ。フェスを回ってゼリーの店を出展してるだけ(笑)。

——あなたの好きなAriel Pinkの新作にも“Jell-O”という曲が収録されていましたがどう思いましたか?

すごい良かった。しかも、俺の弟も参加してるしね(笑)。最初の方で、映像が使われているんだ。

Ariel Pink – Jell-o (Official Video)

——アルバムの数曲はBeckやElliott Smithで知られるRob Schnapfが録音しています。前2作の録音をJohn Agnelloに依頼した時は、彼が手掛けたSonic YouthやDinosaur Jr.の作品を意識していたそうですが、インディーに軸足を置きつつ幅広いリスナーに聴かれるようになったアーティストということで、BeckやElliott Smithを意識した部分もあったのでしょうか?

最初は俺とRob Laaksoの二人だけでレコーディングをしていたんだ。そしたらRob Schnapfがレーベルのヘッドと知り合って、彼が俺の大好きな『Mellow Gold』をレコーディングしたBong Load Custom Recordの創立者だとわかって。どっちみちプロデューサーは必要だったし、すごくクールだと思った。だから、まず彼に会ってみることにしたんだ。ずっと二人でレコーディングしていたから、第三者が必要だったしね。会ってみたら、すごく良い人だった。俺はずっとBeckを聴いて育ってきたから、すごく興奮したよ。Elliott Smithも好きだけど、Beckほど聴いてはいなかったね。

——BeckやElliot Smithがインディーに軸足を置きつつ幅広いリスナーに聴かれるようになったアーティストということに関してはどうですか? 共感したりします?

俺のリスナーも幅広いし、良い事だと思うよ。

——他にも地元フィラデルフィアやジョージア州アセンズのスタジオでもレコーディングされていますが、時系列としてはどういった順番だったのですか?

最初にレコーディングをしたのは、フィラデルフィアにある自分のリハーサル・スペースだった。それはデモをレコーディングした仮のレコーディングで、それが夏の話。で、秋になって、バンドを連れてアセンズのスタジオに入ったんだ。そこで本格的なレコーディングを初めてから、その後一人でジョシュア・ツリーまで飛んだんだよ。で、そのスタジオででRob Laakso、DaveとStellaに会った。で、その後はブルックリンに行って、また数曲レコーディングしたんだ。」

——もうひとりのミキサーとしてPeter Katisを起用した理由も教えてください。

Rob Schnapfがミックスを全て担当してくれると思ってたんだけど、理由があってそれが出来なかったんだ。そこで、Rob LaaksoがPeterを知っていたから、彼に頼むことにした。4日くらい俺たちのために時間を作ってくれて、2曲素晴らしいミックスをやってくれたんだ。彼がレコードを救ってくれたといっても過言ではないね。

——アルバム制作中にはフラナリー・オコナーの小説を読んでいたそうですね。彼女の長編『Wise Blood』のタイトルが“I’m An Outlaw”の歌詞に出てきますが、別の長編『The Violent Bear It Away』について言及した曲というのはどれでしょう? また、彼女の作品のどんなところに惹かれますか?

“That’s Life, tho (almost hate to say)”だよ。彼女は真の素晴らしいライターだし、何て説明したらいいかな……キャラクターを誇張しながらも正当性があるというか……言葉で説明するのは難しいな(苦笑)。南部ゴシックが入っているところも面白いと思う。

Kurt Vile – That’s Life, tho (almost hate to say)

——前作にはドビュッシーのピアノ曲と同じ“Snowflakes are Dancing”という曲が収録されていましたが、本作の“Life Like This”であなたが弾いているピアノのフレーズも少しドビュッシーっぽくって、そういえばあなたの好きなPanda Bearも、新作でドビュッシーの“アラベスク第一番”をサンプリングしていたことを思い出してしまいました。好きなピアノ曲や、ピアニストがいたら教えてください。

俺が前作で話していたのは、ドビュッシーではなくて実は冨田勲の“Snoeflakes are Dancing”(「月の光」)なんだ。俺は彼のヴァージョンが好きで、ヘッドフォンでずっと聴いていたんだよ。ピアニストで好きなのRandy Nreman、McCoy Tyner、Bill Fay、Nicky Hopkinsかな。

Isao Tomita – Snowflakes Are Dancing (Debussy)

——彼らのどんなところが好きですか?

俺自身はあまり良いピアノ奏者ではないんだけど、まあメロディくらいは弾ける。俺のピアノの弾き方は、彼らから影響を受けているんだ。それぞれに良いところがあると思う。

——アルバムのブックレットの歌詞と写真はそれぞれ対応しているように思えるのですが、“Wild Imagination”のページの写真に写っているのはあなたの娘さんですか? 《Give It Some Time》と歌われるこの曲は、彼女に宛てたものなのでしょうか? WarpaintのJennyとデュエットすることになった理由は?

kurt vile – wild imagination

そうだよ。レコーディングの時にジョシュア・ツリーにきたんだけど、その時に撮った写真なんだ。歌詞の内容はオープンになっていて、特別娘に宛てたものではない。自分が恋しい人全てが対象さ。Warpaintは皆友達なんだ。Theresa以外は全員とコラボしたことがある。Emilyも“Goldtone”のボーカルで参加してくれたことがあるし、Stellaとは何曲もコラボしてるし。Jennyは前にもコラボの話を持ちかけたことがあるんだけど、その時は実現しなかった。今回、彼女にピッタリだと思う曲が出来たから彼女に依頼することにしたんだ。Jennyは俺にStellaを紹介してくれた人物でもあるんだよ。

Kurt Vile – Goldtone

——海外のデラックス・エディション、および日本盤のボーナス・トラックに収録されている曲についても教えてください。本編よりもロックっぽい曲が多い気がするのですが、どうしてアルバムから外れてしまったのでしょう?

ちょっとヘビーすぎたりして、アルバムにフィットしないと思ったからさ。だからボーナス・トラックにすることにしたんだ。

——アルバムのブックレットには、あなたが「Pink Ruin」という廃墟の前に微笑んでいる写真が載っていますが、ちょうどあなたの頭の上あたりの壁に、「FUJI」と書かれているのが読めます。来日にも期待していいのでしょうか?

あれ、”FUJI”って書いてあるの? 俺、全然知らなかった(笑)。日本には行った事ないけど、好きな国なんだ。実際に行って「FUJI」を見ないとな(笑)。いつかはわからないけど、このレコードで来日出来たらと思ってる。今日はありがとう。またね!

Qetiでは、カート・ヴァイルの初来日というこのタイミングでこれまでの経歴から、魅力までをまとめた徹底特集を行っていますのでこちらも合わせてチェックしてください!

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EVENT INFORMATION

カート・ヴァイル 来日公演

2016.10.11(火)
OPEN 18:30/START 19:30
恵比寿 LIQUIDROOM
ADV ¥5,800(1ドリンク別)

2016.10.12(水)
OPEN 18:30/START 19:30
Umeda CLUB QUATTRO
ADV ¥5,800(1ドリンク別)
詳細はこちら

朝霧JAM – It’s a beautiful day –

2016.10.08(土)、10.09(日)
OPEN 18:30/START 19:30
静岡県 富士宮市 朝霧アリーナ
2日通し券 ADV 一般 ¥15,000(キャンプ場利用料込)
10.09(日)1日入場券 ¥8,000
詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

b’lieve i’m goin down…

2015.09.25
カート・ヴァイル
¥2,371(+tax)
Matador / Hostess
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text by 清水祐也(Monchicon!)