——あとリリックのテーマで言うと、“Rari –狂-”では「スニーカー、Gパン、スーツにTシャツ Dirt ×3 でもなんでもいいよ」など、自身のファッション観についてもラップしています。
あれはそれこそ“Emotion”の撮影の時に、テンション上がってスライディングとかしちゃって、衣装がめちゃくちゃ汚くなっちゃったんですよ。それでも中身がイケてればいいっしょって。その時のエピソードから書いた曲です。
——“verse2”ではスティーブ・ジョブズの名前も登場しますね。
「あのbitchの名前はリンゴっていうの」はAppleのことなんですけど、Appleがどんどん身体に近づいてきてるなと思って。iPhoneから始まりApple Watchになって、都市伝説かもしれないですけど今後はチップになるみたいな話もあるし。身体を狙ってきてる感じが怖いなと。そういうのに注意しろよ、でもスゲーな、スティーブ・ジョブズっていう話です。
——kZmさんのリリックは良い意味でストリートストリートしてないと思っていて。“Deadman Walking On The Moon”とかはリリックの内容が文学的だなと感じました。
あれは病んでいた時期で。それこそkiLLaを離れる寸前でいろいろあったし、これからどういう立ち位置でやっていこうかと考えてた当時の気持ちが、あの曲には反映されてる。“U already dead”は誰かに言ってるわけじゃなくて、自分に言ってるのかもしれないですね。
Deadman Walking On The Moon – kZm (Prod. ANJULIECAT)
——さらに“Cosmo”は、宇宙という壮大な世界と向き合っている。
あれは沖縄の戦没者を祀った公園に行った時に、ひとりで空を見てたらいろんなパワーがこっちに来ちゃって。これを話し始めたらキリがないんですけど、結局みんな宇宙となると、火星探索とか外に行くじゃないですか? でも宇宙は自分の中にあるのかなって。
——自分の中に世界を作り出すことはラッパーの表現方法のひとつですし、kZmさんのようにトラップに乗せる言葉へ深みを求める姿勢は興味深いです。
トラップで直接的な表現が流行って、そのカウンターがこれから来るのかなとは思います。
——あとアルバムの最後が“Dream Chaser”という、“希望”の曲で終わったのが印象的でした。
終わり方はすごくこだわりました。そのままダークなトーンで終わって、次のアルバムでいきなり明るいっていうのも考えたんですけど、やっぱり最後は気持ちよく終わらせたかった。そう考えた時に、タメのラッパーで一番仲が良いBIM(THE OTOGIBANASHI’S)と希望を歌ったらいいのかなと。あの曲は自分でも気に入ってるし、出来ていくうちにこれが最後ならいいなと思うようになりました。
——救いのあるラストでした。アルバムを作り終えて、Chakiさんは何か言ってましたか?
いや特に、もうずっとふたりで作ってたんで。でも作ってる時に「売れるかはわからないけど、めっちゃDOPEだね」とは。アルバムが完成して周りに聴かせたら反響は良かったので、今は少しは期待しつつって感じです。
RELEASE INFORMATION
DIMENSION
2018.03.28(水)
kZm
¥2,500(+tax)
YENTOWN/bpm tokyo
BPMT-1008
[TRACK LIST]
1. Intro -Dimension-(Prod. Chaki Zulu)
2. 絶唄(Prod. hnrk)
3. Sect YEN feat. Awich(Prod. Chaki Zulu)
4. Rari – 狂-(Prod. WATAPACHI)
5. WANGAN(Prod. brandUn DeShay)
6. Deadman Walking On The Moon(Prod. ANJULIECAT)
7. 腕にバンダナ(Prod. Chaki Zulu)
8. She Knows feat. Gab3 & PETZ(Prod. Chaki Zulu)
9. Tear Drop(Prod. Chaki Zulu)
10. Skit
11. Wolves feat. 5lack(Prod. Chaki Zulu)
12. KOKORO(Prod. jjj)
13. Cosmo(Prod. OVER KILL (FUJI TRILL & KNUX)
14. Midnight Suicide feat. Awich(Prod. Mitch Mitchelson & Chaki Zulu)
15. Emotion(Prod. hnrk)
16. Dream Chaser feat. BIM(Prod. Chaki Zulu)
interview&text by ラスカル(NaNo.works)
photo by Seiya Uehara