銘柄にこだわるっていうよりは、自分にフィットしてるかどうかという部分を考えます

――例えば、同じチンクエチェントでも、フィアットではなく敢えてアバルトを選ぶユーザーには、モノへのこだわりをより強く感じるんです。それと同じように、普段のライフスタイルの中で、松浦さんが敢えてこだわるモノ・コトは何かありますか?

食べるもの、飲むものといった基本的なことからこだわりますね。まあ、これじゃなきゃダメだというのはそんなに強くなくなりました。銘柄にこだわるっていうよりは、自分にフィットしてるかどうかという部分を考えますね。お金があれば、車も洋服も好きなものを買えるけど、それが自分に似合うかどうかはまた別かなと思っていて。そこは一番考えますね。着たいと似合うは別の次元にあると思うので、似合うかどうかが第一条件である、という感じです。

――アバルトは小さな車体から想像できない獰猛な走りを見せる、意外性や多面性を持ったクルマですが、松浦さんが音楽活動を続ける上で、そういった側面は、重要な要素だったりしますか?

そうですね。この流れというのはある程度ありますけど、自分自身も飽きてしまう部分もあるので、敢えて道を反らしていく。繋がりを考えた上で急にハンドルを急回転させて、90度曲がるみたいなことはあるかもしれないですね。

――意外性や多面性という意味で、第一印象とは異なる衝撃を受ける音楽体験は今までにありましたか?

海外に行くと、他のDJのアプローチに刺激を受けて、「あ、こういのもありなんだな」って思うことはあります。ポイントは繋ぎが上手いとかではなくて、そこにびっくりさせられるかどうかが大きな要素としてあるかもしれません。それはHEXの構想をかなり練ってきたことと同じというか。難しくするつもりは無いけど、イージーにはしたくない。そこへのこだわりがあるのかもしれない。基本的に僕はわかりやすい人間だと思っているので、ちょっとひねることを常に意識していると思います。

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