――お二人は大分類として電子音楽、その中でもエレクトロニカ、アンビエントというカテゴリーにあたる音楽家だと思いますけど、ご自身たちが活動するシーンについて思うことはありますか?
moshimoss 個人的には、ジャンルとかの垣根を越えて自由な感じになれたらなとは思っています。
mergrim バンドの仕組みとクラブの仕組みの違いというか。僕たちって、結構クラブでライヴをやらせてもらう機会が多いんですね。例えば、僕は兵庫出身なんですけど、関西のお客さんはすごくシビアな印象で。僕が当時やっていたバンド自体が売れてなかったというのもありますけど、お客さんのほとんどは5バンドいたら、お目当てのバンドのライヴを観て帰るみたいな感じで、全体的に盛り上がらないというか。でもクラブだと、みんなで一晩を作り上げるみたいな感覚が楽しくて、そういう意味では開けているというか。少なくとも僕は、それでエレクトロニカのシーンが気に入ったというのはあるかもしれないですね。でも、お互いが一歩進んで、シーンというものがあればいいなとは思います。エレクトロニカとバンドの間にある垣根を越えて、良い音楽は良い音楽だという感じになれば。
moshimoss ない物ねだりなのかもしれないですけどね。隣の芝生が青く見えるだけなのかもしれないけど、やっぱりどのカテゴリーというのではなくて。ネットでクラスタ(※)って呼ばれるような感じって、なんでそうなるんですかね。僕もある意味で言ったら、エレクトロニカとかのクラスタなのかもしれないけど、だからといって、シーンがどうなってほしいというわけでもなくて。
※あることに興味を持つ人たちの集まり
mergrim エレクトロニカシーンを広げたいという感じではないんだ?
moshimoss シーンがどうと言うよりも、良い音楽を作れるかで精一杯だし、それが一番肝心だと思ってます。なんて言うんですかね…。あんまり狭くて息苦しい感じになっちゃうと勿体ないなとは思ってます。
mergrim あぁ、なるほどね。でも〈Neguse〉ってエレクトロニカではないよね。
moshimoss そうっすね。便宜上はそういうカテゴリーになっていますけど、特にエレクトロニカとかャンルを意識してやってないですし。〈Neguse Grouo〉に関しては、むしろ音楽じゃなくても良いと思ってます。
mergrim 〈moph〉は電子音楽のレーベルとしてやっているつもりだけど、〈Neguse〉と同じでエレクトロニカを謳っているわけではなくて。
moshimoss 元々、エレクトロニカはすごく広義な意味で、テクノとかから派生したものを含めて、総合的にエレクトロニカって呼んでいた時代があるじゃないですか。その時のエレクトロニカの雑多な感じはすごく好きなんですけど、今はエレクトロニカってこんな感じだよねという音があるみたいな感じになっているというか。なんとなく限定されている感じがしていて。
自分自身があまり考えていないから、そういう括りに入った時に「あれ、そうなのかな?」って違和感を感じているというだけの話だと思うんですけどね。エレクトロニカ以外に、アンビエント/ドローンとも言われますけど、僕自身はあまりよくわかってないとうか、自覚はあんまりないです。
mergrim 僕は、タワーレコードの何階のお世話になるのかなぐらいの意識でしかないけどね。最近は、それこそさらに若手のビートシーンが出てきて、カオスになってきているよね。エレクトロニカという言葉が死語の時もあれば、すごく良い時もあって。
moshimoss 前はエレクトロニカに夢がある感じがしたんだけど、いまエレクトロニカと言われると、「ちょっとやめてくれ」っていう気持ちがなんとなくあって。
――多様化が過ぎて飽和している感覚はあるかもしれないですね。個人的にはジャンルって記号ぐらいの軽さでいいと思うんですよ。今回の対談を通して、お二人の音楽を純粋に「音楽」として捉えてもらえたいなという気持ちがあって。
moshimoss ほんと、そうなりたいっすね。要は何でもいいってことですよね。僕が捻くれているから、違うって言いたくなるだけなのかもしれないですし。あまのじゃくなんですよね。
mergrim ジャンルはリスナーにとっての入口だけの話で、僕たちやってる側の人間が意識することはないんじゃないかな。全く知らない人が僕らのことを知るきっかけになってくれればいいと思う。レコード屋さんが「moshimossが好きな人はこの人もオススメ!」と紹介するのと同じように、amazonにもオススメってあるじゃないですか。そんな感じの位置付けですね。
(text & interview by Shota Kato[CONTRAST])
●mergrim × moshimossによる特別対談(前編)はここまで! 後編はお互いの新作アルバムを中心にお届けします。6月14日(金)に掲載予定。乞うご期待!!
Event Information
●mergrim 『Hyper Fleeting Vision』 release party presented
by PROGRESSIVE FOrM & moph records
2013.07.07(日)@渋谷WWW
OPEN/START 16:00/CLOSE 21:30
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000(ドリンク別)
メインフロア
mergrim HFV set with Kazuya Matsumoto/Cokiyu/Janis Crunch/Jessica from Ngatari and yuanyuan x Junichi Akagawa
ゲスト・ライブ:aus + Takcom/Go-qualia x Naohiro Yako/henrytennis/lycoriscoris Band Set
DJ:Ametsub
スモーキング・ラウンジ
ライブ:Fugenn & The White Elephants/Kan Sano/Licaxxx/Metome/Nyolfen/Tessei Tojo/他
DJ:DJ蟻/qurea
TICKET:チケットぴあ(P:200-177)、ローチケ(L:78113)、イープラス
主催:PROGRESSIVE FOrM 、moph records
●moshimoss 『endless endings』 release event
2013.07.19(金)@ 青山Cay
OPEN 18:30/START 19:15
ADV ¥2,500/DOOR ¥3,000
ラインナップ
moshimoss/坂本美雨 × 勝井祐二 × U-zhaan/Cuushe
and more special guest!(6/14 発表!)
DJ:Ametsub
TICKET:ローチケ(L:71202)
Release Information
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Now on sale!
Artist:mergrim(メルグリム)
Title:Hyper Fleeting Vision(ハイパー・フリーティング・ヴィジョン)
PROGRESSIVE FOrM / moph records
PFCD35 / mcd011
¥2,100(tax incl.)
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