――“Hang Me Out To Dry”に参加したロビンや、先行シングル“Old Skool”にスクラッチで参加したミックスマスター・マイクについて、作業をした時のエピソードを教えてもらえると嬉しいです。
ミックスマスター・マイクとのやりとりはメールで行なったから、いつもメールを開くところから始まっていて……あまり特別な思い出というわけではないな(笑)。だけど、僕らの曲に彼が協力してくれるというのは、本当に夢がかなった瞬間だったんだ。一方ロビンとは過去数年にわたって友人関係だったから、レコーディングの時はとても楽しかったよ。彼女との印象的な思い出は……彼女のヴォーカル部分を収録した時だね。これは数時間かかったよ 。そのあと彼女のBMW i3でレストランまで食事をするために運転した。車も素晴らしかったんだけど、夕食も素晴らしく美味しかったんだ。
――それにしても面白いのは、今回のアルバムが『Summer 08/サマー・オー・エイト』というタイトルになっていることですね。08年の夏と言えばメトロノミーの2作目『ナイツ・アウト』がリリースされる直前のことですが、前作『ラヴ・レターズ』の制作中にも、『2008』というタイトルにするというアイディアがあったようです。あなたたちにとって08年が重要な理由は?
Metronomy – Heartbreaker
*08年作『ナイツ・アウト』に収録。
そう、メトロノミーの2作目『ナイツ・アウト』は08年にリリースされた。つまり、08年はメトロノミーが正式に活動し始めた時期なんだよ(それ以前はジョセフ・マウントのソロ・プロジェクト的な側面があった)。だから今回の『サマー・オー・エイト』は、当時の僕たちにとって重要な時期を振り返るものになっているんだ。少し笑える要素も加えながらね。そこに僕の中での「輝かしき日々に戻りたい!」という気持ちも含まれているかな。
――当時のあなたたちは、どんな生活をして、どんなことを考えていましたか。
僕らが初めてワールド・ツアーを実施した時期だったね。毎日がとても新しくて、楽しい経験だらけだったよ。クラクソンズやレイト・オブ・ザ・ピアと一緒に、音楽シーンを彩っている気分だった。と同時に、あの頃は将来が保証されていなくて、何が起きるかわからない状態でもあった。だからこそ、しっかりと準備する必要があったんだよね。僕らはあの時に与えられた可能性や、新しい経験などを無駄にせず、楽しむ必要があると思うんだ。ラッキーなことに僕たちはまだ音楽から離れず仕事ができているから、今後とも素晴らしく楽しい経験をすることができるということだね。
――では、メトロノミーの音楽にとって「ノスタルジー」とはどんな意味を持つものなのでしょう。
僕にとってノスタルジーとは、すこしネガティヴなイメージかな。どちらかと言うと「当時は良かった」とばかり思いながら、戻れない過去にすがっているような風景を思い描いてしまうね。でも新しいアルバムはむしろ、メタ・ノスタルジー(ノスタルジーについてのノスタルジー。ノスタルジーを批評するような視点)に少し影響されているんだよ。
――メタ・ノスタルジー?
つまり、今回の作品は別に過去にすがっているわけではないんだ。僕は今33歳だけれど、今回のアルバムではまるで25歳に生まれ変わったかのように(=バンドとしてのメトロノミーが始まった頃のような気持ちで)曲を作成していたんだよ。複雑だろう?(笑)。つまり、僕にとってこのアルバムは、音楽を作る幸せを描いたものなんだ。それに加えて、このアルバムは将来の作品に関する様々なアイディアも提供してくれたよ。そのアイディアがどう成長するか今から楽しみだね。
――特に『イングリッシュ・リヴィエラ』以降、メトロノミーはバンド編成での表現をさらに推し進めてきました。本作でのライヴはどんなものになりそうですか?
Metronomy – The Bay
*11年作『イングリッシュ・リヴィエラ』収録曲。
僕はライヴで演奏される曲は、アルバムとは少し異なった体験をもたらすと思っている。つまり、新曲はライヴで演奏されることによって曲として新たな「人生」を歩み始めると思っているんだ。“16ビート”のような曲は、もう既にライヴで演奏している姿が想像できるし、想像するととてもワクワクするよ。ライヴで演奏した時とアルバム内の収録曲そのものは、あまり近い存在になるべきではないと思うんだ。それぞれを形成する個性が失われてしまうからね。
――最近あなたがよく聴いている音楽作品はどんなものなのでしょう? いくつでもいいので、好きなアーティストや作品と、その理由を教えてください。
あんまり音楽は聴かないんだけど、ケンドリック・ラマーとキングはとても好きだな。今年はもっと新しい音楽を聴いていきたいと思っているよ。最近はあまりそういう経験ができていなかったからね。でもジャスティン・ビーバーの“Sorry”は何ヵ月も頭の中から離れなかった。どういう意味かわからないけれど。
――最後に、新作『サマー・オー・エイト』のリリースを楽しみにしている人たちにメッセージをお願いします。
日本のファンのみなさん、大好きです! すぐにでも日本へ向かって、新作の曲を面と向かってみなさんに伝えにいきたいと思っているよ!!
RELEASE INFORMATION
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