――その間に発見した、新作のインスピレーション源のようなものはあったのでしょうか?
そうだね。自分たちの中で“クラシック”と位置付けている様々な音楽を改めて聴き直した時期でもあったと思うし、その“クラシック”としている楽曲が「実際にどう構成されているか?」という音楽的な理論をとことん掘り下げていった期間だった。あとは、キース・ヘリングのような、様々なアブストラクトアートも積極的に観に行ったよ。色や形、ラインのひとつひとつまで、そこから本当に多くのインスピレーションを得たんだ。この経験は今回のアルバムにおいて、楽曲の方向性にも凄く影響を与えたと思う。
――では、曲作りやレコーディング中に意識していたことについて、これまでと比べて何か変化はありましたか。
これまで以上に意識したのは、心から湧き出る「詩」の部分だった。今回のアルバムは、特にここにフォーカスした作品だと言えるんだ。今回はトラックにしてもひとつひとつ、歌詞から得たフィーリングに合うサウンドをじっくり選んで制作していった。それに加えて、新たな制作環境から得た影響もきっと大きい部分だったと思う。
――実際、今回は世界中の様々な場所でレコーディングされています。その中には地元メルボルンやLAなども含まれているそうですが、最も印象的だった思い出を教えてください。
最初に作曲作業をした場所が、カリフォルニアのレイクアローヘッド湖(“南カリフォルニアのアルプス”と呼ばれる場所)にあるログキャビン(丸太小屋)だったんだけど、そこの湖や松の木を眺めながらの制作環境が凄く気に入ってね。その後はどこでも似た環境を探していたよ。僕らの地元のメルボルンでもね(笑)! だから、ログキャビンで制作したことが一番の思い出かな!
――前作ではキンブラやネオン・インディアン、MAIなどが参加していましたが、今回もゲストを多数迎えています。それぞれ参加の経緯や楽曲に与えてくれた魅力について教えてください。まず、“Colours In The Sky”と“Love Like Mine”に参加したCLEOPOLDは、チェット・フェイカーの“Dead Body”にも参加していた人物ですね?
彼とは、プライベートでも凄く仲の良い友達で、アルバムのライティングも手伝ってもらったんだ。彼自身の活躍も、今年期待していることのひとつだね!
Miami Horror –“Colours In The Sky ft. CLEOPOLD”
――“Real Slow”に参加したスーパーヒューマノイズのサラ・チャーノフについてはどうですか?
Miami Horror ft. Sarah Chernoff –“Real Slow”
Superhumanoids –“Bad Weather”
元々、スーパーヒューマノイズ自体、以前からメンバーみんなが好きだったバンドでもあったし、彼女の透き通るような声も凄く印象的だなって思ってたんだ。それで、ちょうど楽曲に参加してもらう女性シンガーを探していたこともあって、クラシックスのタイラー(・ブレイク)の紹介で今作に参加してもらった。
Classixx –“Holding On”
――ベースキャンプの名クルーナー=アーロン・ミラーと、トキモンスタの多くの楽曲でお馴染みの歌姫ギャヴィン・トゥレクが参加した“Cellophane”にはR&Bテイストも加わっていて、昨今のインディ・シーンからディスクロージャー辺りのUKガラージ~ハウス・サウンドにまで繋がる雰囲気を感じました。
BASECAMP -“Shudder”
TOKiMONSTA –“Darkest(Dim)feat. Gavin Turek”
2人のスタイルは、マイアミ・ホラーのスタイルとは違う部分も多いけれど、今回は「その違いが僕らにとって良い変化をもたらすコラボレーションになるんじゃないかな?」って思ったんだ。それが結果として、普段とはまた違うスタイルを生み出すことに繋がったんだと思うよ。