「どうにもならないことがあるな」と前から思っていて(川辺)

ーー歌詞について聞きたいのですが、今回も川辺さんがお一人で?

川辺 はい。

ミツメ、日常に溶け込む1枚『A Long Day』語る interview160628_mitsume_2-1

ーー当事者として書いていますか? 第三者として書いていますか?

川辺 当事者として書いている部分もあるんじゃないかなと思うんですけど、ただその実体験をそのままという部分は薄いから(笑)。「まぁこう思います」みたいなことはありつつ、あまり主観が入りすぎないようにしようって。

ーーどんな時に思いつくのですか?

川辺 うーん、感動した時とか(笑)? ここ最近、たくさん考えなきゃいけないことって多かったんですよ。個人的にも多かったし。世の中のニュースでも多かった時期なんじゃないかなと思う1年だったんですね。そういったことに対して直接的じゃないけど「こう思うよなぁ」みたいなことは歌詞になっていますね。映画見て感動した時とか、近しい人が亡くなった時に思ったこととか。前作『ささやき』は今読むと自分から距離を置いて書いてたんですけど、今回は割と正直に思ったことが歌詞になっています。 

ーー今作で川辺さん自身が印象に残っている歌詞はありますか?

川辺 “天気予報”という曲の歌詞は「どうにもならないことがあるな」と前から思っていて、今までその「どうにもならないこと」を歌詞にすることがうまくできなかった中で、自然にできたのが“天気予報”だったので1人で感動してました(笑)。そうですね、自分の中でできなかったことができたというのがこの“天気予報”でしたね。

マイペースながらにも活動の幅を広げています。

ーーミツメのバンドとしての活動は以前と比べて何かここ最近で変化はありましたか?

須田 関わる人も増えてすごくやりやすくなっているのかなと。4人だけじゃなくてマネージャーのタッツ(仲原達彦)が手伝ってくれたりとか。純粋に友達も増えたしね。

川辺 『ささやき』のツアーの際に「ツアーってどうやったらええねん?」みたいな。そのわからない状況で当時から<月刊ウォンブ!>などのイベントを手掛けていた仲原くんにも手伝ってとお願いして今もマネージャーとして助けてもらっているしね。写真を撮ってくれているトヤマタクロウ君も最初は「写真が好きな彼」という友達から始まったけど、今は仕事で他のバンドのジャケットを撮っていたり。グンパンって物販を作ってくれている彼も最初は「おつり渡す手伝いしますよ」というところから始まって、今はくるりの物販を手がけたりしているしね(笑)。そういうことって起きるんだなとたまに良い意味で戸惑う時はありますね。それがどんどん続いていけばいいなと。

ミツメ “オブジェ”

ーー関わる人が増えたことで中に向いていたパワーが段々外にも向いているということですね。仲原さんはマネージャーとして客観的に見てどう感じていますか?

仲原 今ではPAの松田さんだったり、ライブに関わるスタッフが増えてきていて。『ささやき』のツアーの時はイベンターさんも関わっていなかったけど、最近はイベンターさんも一緒になっていろいろ考えてくれていて。そういういろいろな人との出会いで、ライブも格段によくなっていると思います。単純に今まではわからないから抵抗があったのが、色々経験していく中で外からの影響をいい意味で受けやすくなっているのかな。

川辺 「コミュニケーションはとってみよう!」ってなっているのかもしれない(笑)。

仲原 それはナカヤーンがアメリカで実行していたしね。

ナカヤーン 友達を作ろうと街の中でバスケに参加しました。

一同 (笑)。

ーー今回のプレスリリースにも「マイペースながらにも活動の幅を広げています」という(笑)。

一同 (笑)。

仲原 誰かに急かされるわけではなくて、あくまでも自分たちがやっていけるようなペース感でやっていければなと。僕が関わり始めたのも、アルバム3枚目で初めてツアーに行こうみたいなところだったし、バンドとしては変わり始めていた頃だったと思うから。その時から2年、普通のバンドに比べたらゆっくりだけど、マイペースにやれている。ただ、ここからペースはもっと早めていかなきゃいけないなと思ってもいるし、今はやれることはどんどんやろうという状況ですね。

ーー今回のアメリカのツアーはそういう意味で大きなきっかけに?

仲原 きっかけにしたいなと思うところは個人的にもバンド的にもありました。去年アメリカツアーを諦めてて、この時期にアメリカに行こうというのはその頃に決めていたので。アメリカにこだわった理由もアメリカだから行きたいという憧れだけではなくて、単純に聞いてもらえる人が増えるじゃないですか。日本の延長じゃないけど、地続きで考えています。とにかく色々な人に聞いてもらいたいという思いが強くて。日本だけじゃなくてどこでも。どんな場所でも同じ環境で広げていけたらいいなと思っています。今回の『A Long Day』もそれができるアルバムだと思うし、普遍的なものになっていければいいですね。

須田 あまりちゃんと考えられてなかったけど、そのタッツの客観的な見方を聞いてすごく今腑に落ちた(笑)。

考えたことないですね(笑)(大竹)

ーー仲原さんが今おっしゃってくれましたが、メンバーの皆さんは『A Long Day』をどのように聞いてもらいたいですか?

川辺 生活に染み込む感じ。人の言葉を借りちゃうけどリキッドルームのかたが言ってくれたのは「辛い時も気分がいい時も聞ける音楽がミツメの音楽だと思っているし、もっとそうなっていくといいよね」と言ってくださって、自分もそうだなと思いました。だからそうやって生活に染み込んだ感じで聞いてほしいなと僕は思いますね。

大竹 うーん、考えたことないですね(笑)。

ーーそれはそれでいいですね(笑)。

須田 曲にしても川辺の歌詞にしても怒りとか愛とかそういう直接的な感情を表現しているわけではないので、そういう意味でどんなシチュエーションでも自然に聞ける音楽なのかなと僕も思います。

ナカヤーン 今回の曲を見ると、腰が動く感じのビートがきいた曲もあって振れ幅が広いから、テンションが上がっている時にも聞けるし、逆に寝る前にも聞いてチルできるし、その時々で最高に楽しんで聴いてもらえたらいいですね。

ミツメ、日常に溶け込む1枚『A Long Day』語る interview160628_mitsume_8

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A Long Tour

2016.09.10(土)
OPEN 18:00/START 19:00
仙台
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Interviewed and text by Taisuke Yamada
all photo by Takuroh Toyama