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ルーヴだって、高揚感だって、疾走感や躍動感、今や歌だって、打ち込みで表現できる現在。では、緊張感は? エモーショナルさは? ゆらぎや叙情性は? ほら。幾らテクノロジーや機材が発達したって、未だ人力じゃないとかなわないもの、表せないもの、得れないものもあるじゃない。だからこそ、そこまでもクラブミュージックに求める、このMop of Head(以下、 MoH)のスタイルは、在って然るべきなのだ。

このMoHは、シンセ、ギター、ベース、ドラムからなる4人組のバンド編成。しかし、そこから放たれる音楽は、あくまでもクラブミュージックの類だったりする。前述のDTMでは表せないニュアンスも含め、あえて人力にこだわり、ライヴというリアルでフィジカルな発信現場より、自身の音を放ってきた彼ら。加え、メッセージを伝える生命線でもある歌はあえて用いず、旋律やサウンドでその<歌心>を感じさせてきた。

そんな彼らが2年ぶりにニューアルバム『Breaking Out Basis』を発表した。正直、驚いた。しかし、この場合の驚きは“えっ?”と言うよりは、“おっ?”と言った類い。意外というよりは感心する手合いであった。前述で「クラブミュージック」と称しながらも、今作はその範疇を軽々と凌駕。全編ダンサブルでアゲアゲでガシガシ、“いやがうえでも踊らせてやんぜ!!”みたいな作品内容を想像していただけに、今作での、この2段飛びで次の次元/段階への駒の進めに嬉しくなった。

流れもドラマも整った感がある今作は、情景の変化や移ろいの描写もだが、心理や想い、気持ちの動きや流れまでも描写。踊らせるアルバムではなく、踊りたくなるアルバムに仕上がっており、それは身体はもとより、頭や心、気持ちなんてものまで踊らせてくれる作品内容となっている。このQeticでも曲作り講座を連載。5年前のデモ曲“C”の進化や過程を発表してきた彼ら。その同曲の完成形も収まったこの『Breaking Out Basis』の話を中心に、マシーン(シンセ類)担当のGeorge、ギターのKikuchi、ベースのKuramochiが雄弁に語ってくれた。

Interview:Mop of Head(Kuramochi:Bass/George:Machine/Kikuchi:Guiter)

【インタビュー】Mop of Headがニューアルバムで見せた、脱ダンスロックバンド性と、歌心のあるインストバンドへのネクストドア feature130507_mopofhead_1-1

クラブミュージックをDJが盤を回すのではなくバンドで体現する、から始まったMoH

――では、まず現在までの経緯から教えて下さい。なぜクラブミュージックを人力で演ろうと?

George 始めた当初はインストバンドを演ろうとも、歌ものを演ろうとも思ってなくて。とりあえずやることがないから、バンドを始めたぐらいだったんです(笑)。それが2006年頃で。オリジナルメンバーは僕とKikuchi君だけなんですけど、とりあえず好きなものをやっていくうちに今に至ったって感じですね。でも、最初から歌はありませんでした(笑)。歌を入れることにも特にこだわってはなかったし。ましてや他のインストバンドに影響を受けたこともないですからね。むしろ、歌がある音楽の方に色々とインスパイアされて今に至ってるかも。

――では、歌心は持ったインストバンドでありたいとか?

George ですね。逆にインストバンドはほぼ聴かないですよ。

Kikuchi 僕はクラブミュージックばっかり聴いてるかな。トラックメイカーのトラックとか。逆に歌のないものが多いかも。

George MoHの最初の発想は、それこそDJに近いかったんです。いわゆる一晩に溶け込めるバンドというか。僕、DJをやるんですけど、例えばDJが鳴らしている音楽に楽器がついていたら、視覚的にかなりカッコよく映るんじゃないかというのは、最初の発想やコンセプトとしてはありました。DJだと動きも少ないじゃないですか。だけど、それをバンドスタイルで魅せられれば、それはそれで見栄え的に絶対にカッコイイなって。

――では、今のスタイルには視覚的な要素も重要だったと。

George 重要でしたね。こういった音楽を、あえてバンドセットで演るというのが重要でした。作品もですけど、やはりライヴで生で演ることを重要視してますからね、自分らは。

――ライヴパフォーマンスもかなりアグレッシヴで見栄えしますもんね。

George 基本、落ち着きがないんです(笑)。「おとなしく演奏しろ!!」なんて言われても無理。まっ、パフォーマンスというよりは、ライヴが楽しいというのが自然と出ちゃってる感じかな。

――その辺りはやはりDJの発想に近いかも。DJも、その場の空気や雰囲気、流れを見て、つなげていく曲を変えていくじゃないですか。

George それはあるかも。自分らで雰囲気や空気、空間を作っていきますからね。<こんなカッコイイ音を鳴らしてるんだから、あとは好き勝手に楽しんでくれ>ってところも似てるし。

Kikuchi <フロアが主役で、お客さんが楽しんでくれればいい>というのは強くありますからね。

George 基本、歌がないので、伝えたいことも、訴えたいこともないんです、僕ら。その分、楽しんで欲しいという思いはあるかな。そうなると、よりパソコンが必要なくなってくるという(笑)。

――で、それをあえてラップトップやターンテーブルでやらないところに自身のアイデンティティがあると。

George 基本、コンピューターには頼らないポリシーですから。僕は絶対に人間の考えている方が優れていると思ってるんで。でも、コンピューターに負けじとやろうとすると、機材がどんどん増えていっちゃう(笑)。

Kikuchi 人力にこだわっている理由は、DTMにはないミラクル感もありますよ。いつも同じ音やスタイルというのも確かに大事なのかもしれないけど、毎度どこかが変わっていったり、その日その時の気分によって変化していくスタイルの方が、個人的には面白いんです。

――グルーヴもやはり違いますもんね。特にギターで言うファンキーなカッティングなんて、サンプリングは別として、なかなか打ち込みでは出しにくいニュアンスでしょうし。

Kikuchi そうですね。その辺りの躍動感は出しにくいし、人力ならではのところはあると思います。

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クラブミュージックの形式のまま、既存の音楽ジャンルをあてはめる音楽がMoH

――でも、MoHの場合はバンドにしか出しえない抒情性やエモーショナルさもキチンと持っていますよね。単に躍らすというよりは、もっと情景感や光景感も意識してそうな。

George 最近はセッションではなく、各人が自宅でパーッとデモを作って、それをメンバー各人のプレイヤビリティや解釈を曲に持ち込んで成り立たせるパターンが中心ですからね。みんながみんな違うものを思い、解釈するんでしょうけど、それが集まって最終的には、MoHらしくなっているとは思ってます。

Kikuchi 想像よりエモくなる傾向はあります。なんかラストに向かうに連れ、気づいたら高揚して曲がエモくなっていっているという。その辺りが人力ならではなのかなって。

George そこが明らかにクラブミュージックとの違いだと思うんです。クラブミュージックの形式のまま、既存の音楽ジャンルをあてはめる音楽がMoHというか。ループにしても同じものを繰り返すだけでなく、キチンと構成を持って作り上げていってるし。ビートパターンもコード進行も移っていく、それが自分たちらしさかなって。

――そんな志の高いグループの中で、紅一点のKuramochiさんが加入した経緯は?

Kuramochi 私はまだMoHが3人だった頃からお客さんの一人として見ていて。その頃はインストバンドをあまり知らなかったんで、単純にかっこいいなって。その時のMoHの印象は、クラブミュージックというよりは凄くロックバンドだなというのがありました。そこから入って、見事人力にこだわる思想を植え付けられまして…(笑)。でも、やっていくうちにますます人間のプレイするものに機械は勝てないなとの思いは強くなってます。まっ、技術的にはかなり高度なものを求められる時もあるけど(笑)。

George Kuramochiに関しては、正直、ベースのプレイを聴く前に、その見た目から必要だと思って入れちゃいましたから(笑)。女性のベースが欲しくて。なので、実際のプレイを聞いたのは加入してからだったという。その辺りは去年入った新しいドラムのYamashitaとは違ったな。

――では、Yamashitaさんの加入の経緯は?

George 僕がレギュラーでDJをやっているクラブの人に紹介してもらったんです。そこでお酒を作っていて。で、飲んで話したら凄くいいヤツで。そこで“入ってもらおう!!”と思ったんですけど、やっぱり一度プレイを見てからだと思いとどまって。CDも出しているバンドなので、ある程度の技量は欲しかったんで、それはまずいだろうと。で、彼のやっていたバンドを観にいって、凄くいいドラムを叩いているのを見て、安心して(笑)、入ってもらいました。

Kuramochi 入ってやはり変わりましたよ。上手いし。リズム隊として、一緒にやっていて頼もしいですね。歌心のあるドラムを叩く人なんです。彼も凄く歌ものが好きみたいで。歌の無いバンドですけど、その辺り、かなり反映されているかなと。

Kikuchi 「ドラムが変わるとバンドが変わる」って言うじゃないですか。まさにそのいい例だったかなと。レコーディングでも苦労しなくなったし、テイク数も減りました(笑)。

★インタビュー、まだまだ続く!
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