Interview:山下敦弘監督(もらとりあむタマ子)

――まずは本作が完成するまでの経緯をお聞かせください。

最初はMUSIC ON!TVで流すステーションID、ミニドラマみたいな感じでスタートしました。本作の秋編、冬編にあたるものを去年の9月に撮って放映したんですね(MUSIC ON!TVにて)。その後にプロデューサーが「映画にしたいですね」という話しになって。でも、僕の感覚では、その時イベント上映みたいな形でやるのかなと思ったんですよ。

――3日間限定みたいな?

そうそう。そのくらいの感覚で考えていたんですけど、どうやらちゃんと劇場公開したいとなって。急遽、春編、夏編から映画を少し意識して撮りだしました。

――今回、主役に前田敦子さんを起用された理由とは?

MUSIC!ON TVのプロデューサーの方が『苦役列車』を見てくれて、「前田あっちゃんと山下敦弘という組み合わせをまた見たい」という所からスタートしたんです。僕も前田さんに興味があって。『苦役(列車)』の時は、撮影日数が短かったんですよ。当時まだAKBだったし、すごい忙しいスケジュールの中でゆっくり話すこともできなくて。ただ、仕上がりを見て面白い人だなと思ってたので、すごく興味はありました。

【インタビュー】前田敦子×山下敦弘監督のタッグ再び。自堕落女子を描いた映画『もらとりあむタマ子』が公開 interview131122_moratoriumtamako_main

【インタビュー】前田敦子×山下敦弘監督のタッグ再び。自堕落女子を描いた映画『もらとりあむタマ子』が公開 interview131122_moratoriumtamako_MG_8661

――アイドルの方とやられるのは前田さんが初でしたよね。

前田あっちゃんと『苦役列車』で仕事を一緒にやるまで、実はアイドルとほぼ接点がなかったんですよね。若い女優さんとはやってましたけど。で、多分どこかでアイドルというものに対して、偏見や距離感があったと思うんですよ。なんか大変そうだなとか(笑)。
でも、やってみると「いや、面白いじゃん」「すごく魅力的だな」と思えたんです。だから、彼女と仕事して視野が広がりましたね。

――彼女のどんな部分がアイドルに対する偏見を変えたのですか?

度胸あるなと思いましたね。彼女は当時トップグループのトップアイドルだったし、そういう子が『苦役(列車)』のような映画やるって意識の高さが新鮮でしたね。「なんでもやります!」ってスタンスだったしね。「おい、大丈夫か?」と思う時もありましたけど、彼女の思い切りの良さはすごく気持ち良かったです。

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