Interview:山下敦弘監督(もらとりあむタマ子)
――まずは本作が完成するまでの経緯をお聞かせください。
最初はMUSIC ON!TVで流すステーションID、ミニドラマみたいな感じでスタートしました。本作の秋編、冬編にあたるものを去年の9月に撮って放映したんですね(MUSIC ON!TVにて)。その後にプロデューサーが「映画にしたいですね」という話しになって。でも、僕の感覚では、その時イベント上映みたいな形でやるのかなと思ったんですよ。
――3日間限定みたいな?
そうそう。そのくらいの感覚で考えていたんですけど、どうやらちゃんと劇場公開したいとなって。急遽、春編、夏編から映画を少し意識して撮りだしました。
――今回、主役に前田敦子さんを起用された理由とは?
MUSIC!ON TVのプロデューサーの方が『苦役列車』を見てくれて、「前田あっちゃんと山下敦弘という組み合わせをまた見たい」という所からスタートしたんです。僕も前田さんに興味があって。『苦役(列車)』の時は、撮影日数が短かったんですよ。当時まだAKBだったし、すごい忙しいスケジュールの中でゆっくり話すこともできなくて。ただ、仕上がりを見て面白い人だなと思ってたので、すごく興味はありました。
――アイドルの方とやられるのは前田さんが初でしたよね。
前田あっちゃんと『苦役列車』で仕事を一緒にやるまで、実はアイドルとほぼ接点がなかったんですよね。若い女優さんとはやってましたけど。で、多分どこかでアイドルというものに対して、偏見や距離感があったと思うんですよ。なんか大変そうだなとか(笑)。
でも、やってみると「いや、面白いじゃん」「すごく魅力的だな」と思えたんです。だから、彼女と仕事して視野が広がりましたね。
――彼女のどんな部分がアイドルに対する偏見を変えたのですか?
度胸あるなと思いましたね。彼女は当時トップグループのトップアイドルだったし、そういう子が『苦役(列車)』のような映画やるって意識の高さが新鮮でしたね。「なんでもやります!」ってスタンスだったしね。「おい、大丈夫か?」と思う時もありましたけど、彼女の思い切りの良さはすごく気持ち良かったです。