――話は変わるのですが、監督の映画に共通して感じている事なのですが、あまり登場人物が自分の心情を語らないですよね。そこは何か意識されていますか?
そうですね。いかに説明せずに伝えるかっていうのが好きではありますね。
――最近の日本の映画やドラマを見てると、大体何を思っているか台詞で分かってしまうじゃないですか。
確かにそうですよね。例えば、あるドラマの5分くらいのシーンがあって、「私は今すごい死ぬほど辛いんです」ってことを伝えている5分なのに台詞で言われちゃうと「えーっ!?」てなりますよね(笑)。僕も最近ドラマ見るように成って、昼ドラなんか見てると凄いですよ。見てなくてもわかるみたいな。途中トイレに抜けても音だけ聞こえてきて、全部わかるみたいな(笑)。
――そうなんですよ!(笑)
でも、映画って暗闇の中で大画面目の前にして、大音量で観なきゃいけないじゃないですか。その時に自分から画面に寄っていくような感覚があるから、やっぱり映画は好きなんですよね。ちょっとツンデレというか(笑)。過剰に全て説明してくれると、つまらなく思えるんですよ。一瞬わからない部分があったりすると、その部分でお客さんを引っ張ってくれるじゃないですか。その引っ張りがないドラマとか映画はダメで、例えばハリウッドの大作でも全部説明してくれる映画を見ると、すごく眠くなっちゃうんですよね(笑)。
――監督の映画は、そこのバランスが丁度いいなと感じます。説明し過ぎず、わかりにく過ぎず。
ありがとうございます。今回も強気ですよね。前半ほとんど喋らないし(笑)。
――今回のサウンドロゴデザインを手掛けた池永さん(あらかじめ決められた恋人たちへ)を始め、これまでにもレイ・ハラカミさん、ジェームス・イハさんと錚々たる面々が監督の映画に音楽を彩ってきましたが、監督にとって映画音楽とは何ですか?
映画音楽って結構難しいんですよね。僕は多分映画作っている時あんまり音楽が鳴ってないんですよ。編集の時もいつも最後に苦しむんです。でも、バランスが大切だと思います。例えば、出来た映画が「いやー今回音楽良かったですね」「撮影良かったですね」って言われると、その映画ダメなんだろうなと思っていて・・・全部が混ざって1つの印象となって良いっていうのが映画の理想だと思うんです。それでもやっぱり、その音楽がそこのシーンに合っているとか良い悪いはある訳ですよね。だから、毎回音楽の人と打ち合わせする時は難しいです。