––––今作が映画初出演となりましたが、加奈子を演じる上で監督から最初どんなアドバイスがありましたか?
それこそ、他のキャラクターと比べて加奈子は掴みどころがない異質な存在なので、監督からは「緊張せずに、リラックスしてやったほうがいい」と言われました。細かい指導はもちろんあったのですが、そう言われたことで伸び伸びとやることができました。
––––舞台挨拶の際に撮影中、わざわざ監督の横に行って泣いたというエピソードがありましたが、具体的にお聞きしても大丈夫ですか?
はい(笑)。お父さんの藤島(役所広司)と加奈子のハードなシーンだったんですが、恐らくその時が初めてのスタジオ撮影だったんです。それが全然上手くいかなくて何回も同じシーンを撮り直していたんですよ。そこで、現場の空気の重さに焦ってしまったんです。その悔しい気持ちが一気に出て、泣いてしまったというエピソードです。でも、わざと監督の隣に行ったわけではないんです。(スタッフに)「ここに座りな」と言われて座った椅子がたまたま監督の隣にあっただけなんで、監督に見せたいなんて気持ちは全然なかったんですよ(笑)。
––––監督に仕向けられたんですね(笑)。ちなみにその前後で何か考え方は変わりましたか?
大きなターニングポイントではあったと思います。加奈子が実態のないような存在なので、具体的にどう変えたと言うことは難しいのですが、私自身の演技に対しての向き合い方は変わったと思います。
––––加奈子という役を演じる中でも同じ高校生として何か共感した部分はありますか?
それぞれの相手に対して、見せる表情や心の部分が違うところですかね。誰もがそうだと思うのですが、私も親、友達、仕事の先輩とやっぱり見せる表情が違うと思うので。さすがに加奈子が周りの人々を狂わせていく部分には共感できませんが(笑)。
––––最後に小松さんは今年の4月に高校を卒業したばかりですが、周りと違う「女優」という道に進むことに何か不安は感じなかったですか?
「これから自分がどうなっていくんだろう」というのは、正直ありました。でも、周りがそれぞれの道に行く姿を見て、「私も頑張らなければ」という気持ちが強いです。更に成長した姿を友達に見せられたらいいなと思いますし、それぞれの友達が成長した姿を見るのもすごく楽しみです。