春風亭昇太×和嶋慎治（人間椅子）。唯一無二の個性を放つ2人の夢の対談

――昇太師匠は新作落語を作る時、音楽からインスパイアされることってありますか？

昇太　音楽はジャンル関係なくなんでも聴くし、僕は音楽に限らず演劇とかスポーツとかを見に行くのが大好きなんですけど。人が生で何かをやっているのを見ると、自分もやらなきゃダメだなみたいな気持ちになるんです。で、それが直接作品に反映しているかどうかわからないけど、オレも負けてられないなって思うんですよね。だからこの前、千葉で人間椅子見た時もちょっと悔しかったんです（笑）。っていうか、人間椅子って爽やかなことひとつも言ってないし、やってないじゃないですか（笑）。でも聴き終わって帰り道、なんかさっぱりするんですよね。あのさっぱり感が妙に気持ちよくて……。なんか、自分もやらなきゃっていう気持ちにさせられたんです。

和嶋　たぶん、あれじゃないですか。例えばギリシャ悲劇みたいな、ああいう悲しい、暗いものを見てカタルシスを覚える感じ。ボクらもあれ的なことをやっているんだなって思う時ありますからね。っていうか、あんまり良いことばっかり言っていても説教みたいでつまらない。そういう意味では、落語もそうだと思うんですよ。出て来る人ってみんなバカみたいな人ばっかりだし、けっこう毒もあったりするのに、聴き終わるとなんかすっきりするみたいなところがある。あの感覚と似ているんだと思います。

――人間椅子には落語の演目からインスパイアされた楽曲もありますが。今後もそういうものは作っていかれますか？

和嶋　ええ。すでにやりたいと思っているものがあるんです。酒の噺をちょっと借りて、出囃子のフレーズを使ったりしてみようかなと思っているものが……。

人間椅子「品川心中」

――昇太師匠も音楽のCDを出されたり、トロンボーンを吹かれたりと、音楽はかなりお好きですから。今後、御二人で何かコラボレーとできたらおもしろそうですね。例えば和嶋さんが昇太師匠の出囃子を書き下ろすとか。

和嶋　そんな、恐れ多いです（笑）！　それよりも、今度昇太さんが音楽のCD出す時には、ぜひ声を掛けてください。ギターでも、曲作りでも、いくらでもやるので。昇太さんに寄った感じで作りますから（笑）。

昇太　こちらこそ、その時には是非お願いします。じゃあ、僕は詞を書きたいですね、人間椅子の（笑）。この前のライブをずっと見ていたらね、ああいうことはできないけど、ああいうことをやりたいなっていう気持ちにはなったりするんですよね。だから、詞を書いてみたい。人間椅子に寄った感じで書きますから（笑）。

――昇太師匠は俳優の六角精児さんたちとバンドも組まれていますから、人間椅子との対バン・ライブとかどうですか？

昇太　いやー、音圧で負けちゃいますよ（笑）。それより、人間椅子のプロモーションビデオに出たいですね。

和嶋　えー！　是非出てください！

昇太　妖怪の役で、後の方ペタペタ歩くとかね（笑）。白塗りで（笑）。

和嶋　ハハハ……（笑）。わかりました！　キャラクターしっかり考えておくので、その時は是非お願いします！