——アルバムの話をしたいと思うんですが、以前よりもすごくサウンドがリッチになりましたね。
一同 (拍手)
fanamo’ (Giorgio)Givvnさんのミックスのおかげもあるかもですね。
——そもそもオドフットの曲作りってどういう手法なんですか?
Pecori 基本バンドのグループLINEで完成させる感じになってて。Tondenheyがデモ段階の基盤のトラック持ってきて。要望とかも特になく「察してくれ」みたいな感じで、トラックを送信・受信、で、ボーカル乗っけて送信、ベース乗っけて送信、で完結します。
——例えば1曲目の“時をBABEL”、これは何からできましたか?
fanamo’ これ、僕がトラックとAメロだけ作って送って、で、Tondenheyがギター入れて。あとTondenheyが大学のときジャズ研だったんで、当時の先輩にサックスとピアノを入れてもらいました。
——バンド外のプレイヤーの音も入ってると。それ面白いですね。担当はあるけどこだわってない?
fanamo’ そうですね。よくなるんだったらなんでも入れたいっすね。
Pecori 単純に自分たちが持ってるウェポンが少ないから、普通に人の知恵借りようみたいな感覚で、やってもらったら周りの人たちがみんな「よかった」っていう。
Tondenhey なんか、一寸法師?
fanamo’ わらしべ長者(笑)。その人には1stの時もやってもらって、この前サックス入れる時も「Tondenheyのいるオドフットに提供させてもらえるのは光栄です」みたいな(笑)。
Tondenhey 違う違う(笑)。苦笑いもあるよ。
——(笑)。1曲目から遅めなBPMだし名曲感もあるし。意識的に1曲目にしました?
fanamo’ 1曲目にしようと思って作ったわけではなくて、結構後半の方にできた曲で。中盤ぐらいから「寿司一人前をアルバムで表現する」みたいなのもちょっとあり(笑)。魚卵系は結構あるから、「カリフォルニアロールとブリと玉子ないかな」みたいな話してて。で、玉子の感じっすね、1曲目は。
——寿司屋の実力がわかるといわれる玉子。
fanamo’ あー。
——寿司一人前ってコンセプトはどこから、いつ頃出てきたんですか?
三宅 後付けでしょ?
Fanamo’ 高木(“JET”晋一郎)さんのインタビューの途中で……。
一同 (爆笑)。
fanamo’ 高木さんのインタビューの時に生まれた感覚です。まだ全曲出揃ってない段階でインタビューしてもらって、その時の会話の中で、「そう言えば玉子ないじゃん」みたいな。
——確かに九貫はいいですね、食べ過ぎない感じで。
fanamo’ 確かに。上品。
——全体的に以前よりいろんなことが研ぎ澄まされましたね。
Tondenhey そう思ってます、研ぎ澄まされたなって。音数をちょっと減らしたんです。
Fanamo’ 一個一個の音の意味っていうか重要さはSunBalkanが入ったぶん、重くなったのかなと思いますね。
SunBalkan 後はミックスによるものはすごく大きいんじゃないですかね。
——作り方も面白いですけど、全体的に酔っ払ってる時に見える真実みたいなものを感じて。
三宅 わかる〜。
Pecori 海外のトラックメイクとかをYouTubeで見てると、黒人が超ハイになってキック一音ごとに「ウェー!!!!!」ってなってたり、そういうのは真似してるけど、真似してるだけで意外と狡猾でもあるというか。
——それに割とリアルに恋愛というか愛の前の恋みたいなものが描かれてて、それがすごいいいと思うんです。リリックは分担して書いてるわけじゃないですよね?
fanamo’ ほぼ9割、Pecoriですね。
——情景が浮かぶし、疑似体験できるというか。
Pecori そうっすね。それぞれ自分の既視感というか、見たものでしか想像できないじゃないですか。それを一人一人にちゃんと見える景色を作るためにあえてそこまで文章的なリリックは書かずに、一単語でもパーっと情景が見えるぐらいのバラつきを意識してます。
三宅 すごく細かいイメージが一小節ずつあって、それが集積されると一つの風景とか像になるっていう。で、これはどっかで味わったことある、けどないかもしれないみたいなっていうのは僕も最初から魅力的だと思ってましたね。で、酒飲むとずっと聴いちゃうんですよね。
——わかります(笑)。錯覚なんですけどなんか疑似体験が近くなってくるんですよ。
三宅 わかる。電話したくなったりするんですよね〜。
一同 ははは!
——Pecoriさんの手法は世界的な潮流とも一致してるのかなと思います。
三宅 例えばUSのラッパーが書いてることとか。ま、もろメッセージの人もいるけど、そうじゃない人もいるしね。
——チャンス・ザ・ラッパーやXXXテンタシオンにも通じるニュアンスで。
Pecori チャンスとかテンタシオンも結構、ファンタジーなリリック多いし、ディストピアっぽいというか。なんかやっぱそこですかね。そういう意味では影響受けてるとこあるかもしれないですね。