——ドキュメンタリー映画『ブラジル・バン・バン・バン』も、そういう意味では同じタイプの作品のように思えます。この映画にも、とてもラフな映像を通して、リオの街並みや音楽カルチャー、人々の表情がとても臨場感溢れる形で収められていますよね。

そうですね。この作品も、「映画を作ろう」というものではなくて、(出来事を記録していて)たまたま出来た映画ですよね。ハンディカムで撮っていただろうし、編集のこともそれほど考えずに、撮れるものを撮っていこうという形で進めていたはずで、結果的にあのような作品が出来た。そういう意味ではやっぱり、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99年)に近いと思んですよ。

——ええ、バラカンさんが推薦文の中で比較されていて、すごく納得した部分がありました。

結局あの映画も、ヴィム・ヴェンダース(監督)が自分の映画の音楽でライ・クーダーを起用したことから派生したものですよね。その時スタジオで作業中のライがキューバの話しかしなかったんだって(笑)。あまりにもその話に力が入るから、「じゃあ今度行くことがあったら、声をかけて」とヴェンダーズが言ったそうです。次にライ・クーダーが現地に向かう時に、ハンディカム程度の機材を持ってあの映画を撮ったわけです。そして、その映画が魅力的だったからこそ、しばらく前から発売中で、特別売れていたわけではないあのアルバムが、ワールド・ミュージックとしては異例の売り上げを誇る作品になった。だから、映像の力は本当にすごいですよね。今回のドキュメンタリー映画『ブラジル・バン・バン・バン』もそうですけど、演奏しているミュージシャンの表情であったり、弾いている姿によって、受ける印象が全然変わってくると思うんですよ。ドキュメンタリーもそうだし、ミュージック・ヴィデオも、最近よくあるCD+DVD形式のライヴ・アルバムもそうで、特に好きなミュージシャンの場合、その人の表情や立ち振る舞い、ちょっとした仕草、そのすべてが身近になる。だからアルバムを既に持っている人が、映画を観てより楽しめる部分があると思うし、逆にソンゼイラのCDを持っていない人が映画を観ても、これは絶対に面白いと思いますね。

——なるほど。一方のバラカンさんは、自分の好きなことを何でもやってくださいと言われたとして、何か実現してみたいプロジェクトを思いつきますか?

今は自分の企画している<Peter Barakan’s LIVE MAGIC!>(※)に全力を注いでいて、それで精一杯なんですけど、もしやるとしたら僕はたぶん、レコーディングのプロジェクトよりもコンサートかな。自分がこれまで観られなかった人や、日本でまだコンサートをしたことのない人を沢山集めて、コンサートのシリーズをやってみたいですね。

(※バラカンさんが監修する音楽フェス)

——そのラインナップについてここでうかがうことは難しそうですか?

そうですね、でももちろん、自分の頭の中にはありますよ(笑)。

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——(笑)。では最後に、今回ドキュメンタリー映画『ブラジル・バン・バン・バン』に魅力を感じた人に、次にオススメしたい音楽ドキュメンタリーをいくつか紹介していただけると嬉しいです。

映像作品として面白いもので言うとするなら……日本語字幕が付いているものであれば、『バックコーラスの歌姫(ディーヴァ)たち』(13年)はかなり面白いですよ。これはレコードのクレジットによく出てくる、スターのバックで歌っている人たちに焦点を当てた映画で、歌が本当にうまい、けれども意外に名前が知られていない——主に女性たちにスポットを当てたドキュメンタリーです。60〜70年代に活躍した人もいれば、もっと最近のマイケル・ジャクソンの作品に参加していた人もいて、それぞれの登場人物のストーリーも面白い。つまり、歌はとても上手いけれども、人のバックで歌って本領を発揮するタイプの人もいる、ということですよね。そこに出演していたダーリーン・ラヴはソロとしての新作『イントロデューシング・ダーレン・ラヴ』が出るんですけど、(ブルース・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドのギタリストを務める)スティーヴ・ヴァン・ザントがプロデュースしていて、エルヴィス・コステロを筆頭にそうそうたるメンバーが楽曲提供をしていて。それもすごく楽しみなんですよ。それこそ、彼女はフィル・スペクターのところで歌っていた人ですから。

あとは、さっき言った『モンタレー・ポップ』も面白いけど……『フェスティバル・エクスプレス』(03年)という映画がありますね。<ウッドストック>の翌年(70年)にカナダで行なわれた、列車に乗って3か所で開催されたフェスティバルのドキュメンタリーで、その移動する列車の部分に主にフォーカスしている。グレイトフル・デッドやザ・バンド、ジャニス・ジョップリン、バディ・ガイなどが出ていましたね。

——確か、開催から随分経って、00年代の初頭に公開された映画でした(正確には03年。『ビートルズ・アンソロジー』のディレクター、ボブ・スミートンがまとめたもの)。

そう、当時映像が撮られていたものの、編集もされずに放置されていたんですね。フェスティバル自体も赤字で、当時は作品に仕上げる予算もなかったでしょう。それがもったいないからと作品化されたものですけど、非常に面白い作品です。あと、今度CDとDVDが一緒に発売される『真夏の夜のジャズ』(59年)も面白いですよ。1958年の(第5回)<ニューポート・ジャズ・フェスティバル>を記録したもので、これは映像もとても綺麗なんです。ロードアイランドの高級リゾート地ニューポートで、ちょうどヨットのアメリカズ・カップの大会が開催される時期で、そういう風景もいくつか出てきます。50年代のお金に余裕がある人たちが夏休みのリゾート地でジャズを楽しんでいるシーンが沢山出てくる。音楽的にもすごく面白い。セロニアス・マンクも出てくるし、ルイ・アームストロングなども出てきて、最後にゴスペルのマヘイリア・ジャクソンが数曲歌うんですが、これはもう、観る前にハンカチを用意した方がいいです。本当に素晴らしい。撮った人は、アメリカの有名な雑誌でカメラマンをしていて名を馳せた人ですから(スチール・カメラマンのバート・スターン)、映像もものすごく綺麗に撮られていてオススメですね。

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映画のクラウドファンディングが実施中!

現在、映画『ブラジル・バン・バン・バン:ザ・ストーリー・オブ・ソンゼイラ 〜ジャイルス・ピーターソンとパーフェクトビートを探しもとめて〜』の日本版制作と上映のための資金がクラウドファンディングで募集中! 今回のクラウドファンディングに参加すると、「Talkin’ Loud x Brasil Bam Bam Bam」のスペシャルステッカーや映画オリジナルトートバッグ、そしてエンドロールのSpecial Thanksに名前が掲載されたり、ジャイルスとのカクテルパーティ(!)へ招待されたりなどなど……エクスクルーシヴなコンテンツや、ブラジルの未来と繋がるアクションが用意されているのでご注目あれ!! なお、クラウドファンディングを行っているモーションギャラリーでは今回の劇場鑑賞券も購入できるので、今のうちにゲットしちゃいましょう♪

15,000円セットはこんな内容に!

ジャイルス映画をさらに楽しむ!ソンゼイラガイド②ピーター・バラカン feature_sonzaira_stecker

上映記念限定 Talkin’ Loudステッカー

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日本限定Searching for the Perfect Beatトートバッグ

・劇場鑑賞券(2枚)
・映画公式サイトにお名前を掲載
・映画『ブラジル・バン・バン・バン』メンバーシップカード(.jpg)にお名前を入れてプレゼント
・上映記念限定 Talkin’ Loudステッカー(2枚)
・日本限定Searching for the Perfect Beatトートバッグ(1つ)
・ジャイルス・ピーターソンのサイン入り『Brasil Bam Bam Bam』CD(1枚)
・日本版オリジナル・エンドロールのSpecial Thanksにお名前を掲載
・日本版エンドロール(DVD-R)を記念品としてプレゼント(1枚)

詳細はこちら

ブラジル・バン・バン・バン :ザ・ストーリー・オブ・ソンゼイラ〜ジャイルス・ピーターソンとパーフェクトビートを探しもとめて〜


10月9日(金)より劇場 UPLINKにて10月16日(金)まで予定
監督・製作:チャーリー・インマン、ベンジャミン・ホルマン
出演:エルザ・ソアレス、マルコス・ヴァーリ、ナナ・ヴァスコンセロス、ウィルソン・ダス・ ネヴィス、セウ・ジョルジ、ガブリエル・モウラ、アルリンド・クルス、エヂ・モッタ、 アレシャンドリ・カシン、エマヌエリ・アラウージョ、マルチナーリア、ロブ・ギャラガー、ジャイルス・ピーターソン、ほか
原題:Brasil Bam Bam Bam: The Story of Sonzeira
2014年/イギリス、ブラジル/アメリカ/英語&ポルトガル語/カラー/70 分
配給・宣伝:(株)シャ・ラ・ラ・カンパニー

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RELEASE INFORMATION

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photo by Taio Konishi