――インターネットと言えば、Seihoさんが『ABSTRKTSEX』をリリースした時に話を聞かせてもらった際、あなたが“Evening”のトラックに勝手にラップを乗せて送ってきて、それがよかったからアルバムに参加してもらうことにした。と教えてくれました。
ああ、そうだね(笑)。
Seiho – “Evning with Phoenix Troy”
――他にもAvec AvecさんやPARKGOLFさんがあなたのリミックスEPに参加していましたし、今年に入ってからもTomgggさんのEPにあなたがゲスト参加していました。
おお!「ぐぐぐ!」「ぐぐぐ、ぐぐぐぐぐ……」(と楽しそうに繰り返す)。
Tomggg – “Butter Sugar Cream”[teaser]
――やはりインターネットは、あなたの活動にとってとても大きな役割を果たしているように思えますね。
Myspaceが始まりだったんだけど、その後のSoundcloudとかもそうで、僕はネットを通じて色んなミュージシャンとコンタクトを取るようになった。最初はヨーロッパから、雪玉のように色んな人たちを発見していってね。そのうち日本やアジアの人々にも辿り着いたんだ。それで実際、数年前に日本に来てみて……あれは3年前だったかな。
――へええ。その時の話を教えてもらえますか?
それもMyspaceがきっかけだった。僕の友達の……ホーカス・ポーカスって知ってる?(MC/トラックメイカーの20Sylを擁するフランスのコレクティヴ)随分前に彼らとMyspaceを通じて知り合って、今では大親友なんだけど、彼らの親友の女の子にギグで会ったんだ。で、その子が日本で仕事を得た。それで「おお、日本に住んでるの? じゃあ行くよ!」って感じで(笑)、彼女と一緒に2週間ぐらい日本を観光したんだよ。大阪や京都……それから名前は忘れたけど小さな村で……ああ、鞆の浦!(広島県福山市。ジブリ映画『崖の上のポニョ』のロケ地として有名)。色んな場所を訪れたよ。
LEDEUNFF – “L.A.D.Y feat Phoenix Troy(prod by 20syl)”
――でも、そのタイミングでは日本のミュージシャンには会わなかったんですね?
最初に日本に来た時は、ミュージシャンとは会ってなかったと思う。彼らを見つけたのはSoundcloudだからね。その時、彼らの音楽の何に魅力を感じたかはうまく説明できないんだけど、でも彼らが作る音楽には、エレクトロニック・ミュージックなのにどこか日本人のソウルが入っているように思えたんだ。僕はいつもソウルが感じられる音楽に惹かれてきたから、彼らにもそれと同じものを感じたんだよ。
――ひとつのジャンルに留まることなく、色んな要素がブレンドされている音楽に興味を感じる、ということですか。
まさにそうだと思う。
――DE DE MOUSEさんとも、インターネットで知り合ったそうですね。
どうやって彼を見つけたのかは覚えてないんだけど……僕は本当に音楽が好きだから、(PCの前に座るフリをしながら)「おお、この曲はかっこいいね!」って感じで色々聴いていて。その中で彼の曲を聴いた時に「これは誰なんだろう?」って思ったんだよ。
――自分から声をかけたんですか?
そう。僕からメッセージを送った。でも彼は忙しいから、最初はあしらわれたんだけど(笑)。
(側で話を聞いていた)DE DE MOUSE だってすぐ「1曲作ろう」って言ってくるから!(笑)。
――はははは。
(笑)まぁ、自分も音楽を作っているわけだし、自分がいいと思える音楽を作っている人を見つけたら、「一緒にやりたい」と思うのは自然な話だと思うんだ。
――DE DE MOUSEさんの音楽には、どんな魅力を感じたんでしょう?
彼の音楽はジブリの音楽を連想させたんだ(『キラキラジブリ』ではデデマウスと本名陽子名義で実際に“カントリーロード”をカヴァー)。最初に聴いた曲がそうだった。それで、そこから色んなカタログをチェックするようになったんだよね。それに彼の音楽は、どこかFantastic Plastic Machineを連想する部分もある。僕はFantastic Plastic Machineの音楽をYouTubeで偶然見つけていて、その辺りも含めていいなと思ったんだよ。
DE DE MOUSE – “baby’s star jam”
――そこからどういう風に交流が深まって、今回のEPを出すことになったんですか。
そこから、日本に行った時に直接会うことが出来て、その後もメールでコンタクトを取り続けていたんだ。予定が合う時は出来るだけ会うようにしてね。それで、ある時彼に「東京に行くよ」という連絡をした。その時に、いつも日本でリリースしたいと思っていたから、レーベルを探してるっていう話もしてね。それで、「じゃあ一緒にやろう」という話になったんだ。(スタッフも含めて)彼らは音楽を愛している人たちだし、彼も僕の音楽を好きでいてくれて、僕も彼の音楽が好きだ。だから、すごく自然なことだったんだよ。
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