さて、ここからは再びPLAY TODAYの代表2人に登場してもらおう。AmPmの成功を足掛かりにして、『PLAY TODAY.inc』という会社はどのように今と向き合い、その先にどのような未来を見据えているのだろうか?
――今年に入って、AmPmは国内外の大物アーティストに次々とリミックスを提供しています。国内ではゲスの極み乙女。の“ぶらっくパレード”、海外ではアフロジャックの“LOST”やR3HABの“Hold Me”。この拡がりをお二人はどう見ていますか?
高波 日本は特に、所属レーベルのしがらみが多いと思うんです。僕自身ずっとNamyとして活動してきた中で、そのような状況に思うところがすごくあって。ここと組んだら他と組めない、みたいなしがらみが全然肌に合わず(笑)、それは間違っているんだということを証明したいという思いがずっとあったんですね。でも、昨年AmPmを通して、インディーズレーベルはもちろん複数のメジャーレーベルと共に仕事することが出来たので、ある意味ではAmPmがレーベルの垣根を越えてくれたんじゃないかと思っています。
落合 レーベルの垣根を超えた交流というのは、世界的にはスタンダードになっているので、それを日本でもやれるという可能性を示すことは出来たかな、と。その前例を他のアーティストにも上手く使ってもらえればいいんですけどね。
高波 今は業界全体で海外に目を向けざるを得ないタイミングでもあると思うんです。ただ、それをやりたくてどれだけお金をかけても成功するかどうか分からない中で、インディーズとしてここまでやれたのは良かったと思いますね。
――アフロジャックやR3HABとのコラボレーションでは、海外の一線級チームのスピード感に驚きも大きかったようですね。
落合 スピード感ということで言えば、特にR3HABとのコラボレーションはすごく良い経験でしたね。リリース以降のプロモーション展開と量に世界の第一線のスゴさを実感しました。わずか3・4時間でクリエイティブを作って、全世界に向けて膨大な量のプロモーションを投下していく。それがあって初めてリスナーにリーチしてもらえて、それが気に入られるか、ファンになってもらえるかという音楽の流れに辿り着くという。我々もそういったプロモーションは意識していたつもりでしたが、いざ目の当たりにして、「これが世界のスピードか!」と感じさせられました。
――AmPmの成功が『PLAY TODAY.inc』という会社での活動に与えた影響はありますか?
落合 今のところはまだ無いですね。現時点ではPLAY TODAY全体で、AmPmをどのように大きくしていくか、試行錯誤している段階です。2018年、会社としては今までには想像し得なかったステージへの挑戦権は手に入れられたんじゃないかと思っています。ただ、それでもまだスタートラインに立ったばかりなので、2019年以降のゴールに向かって脱落せずに走り続けることが今の課題であり目標です。
高波 会社としては、今までの繋がりで得たものをまずはAmPmに昇華させて、これからはそこで得たものをPLAY TODAYに再度フィードバックしていく段階に入っていくんじゃないかと思います。今はその前段階ですね。
――では、PLAY TODAYの2018年の活動予定や展望を教えてください。
高波 イベント面では、去年行った<山のうえコンサート>を今度は<山のうえビアガーデン>にしていけたらと思っており、後々は「山のうえサウナ」とか「山のうえスタジオ」とか、「山のうえシリーズ」をブランディングしていきたいと思っています。しばらくは新潟の上越での開催がメインになると思いますが、機会があれば他の地域の「山」でもやりたいですね。日本には至る所に「山」があって、それぞれの地域に違った趣きがあるので、それぞれの「山」に合わせてAmPmの仮面を用意して企画を考えたりするのも面白いかもしれません。
落合 おかげさまで、AmPmをきっかけに世界のトップ・プレイヤーとコミュニケーションを取る機会に恵まれているので、そこから得たプロモーションやマーケティングのノウハウにどれだけついていけるかが重要になるのかなと思います。それを他の案件へもフィードバックできればいいんですが、話として共有できたとしてもそれを実際に実施できるかと言えばすぐには難しいと思うので、まずはAmPmも含めた自社案件に生かすことが出来ればいいですね。
――最後に、AmPmが今後目指している目標についても教えてください。
高波 AmPmでは、まずは世界的なヒットを生み出すことが目標です。“Best Part Of Us”が今の段階で約一千二百万回再生ですが、一発屋と呼ばれないためにも一億回を目指したい。それが出来れば、先ほど言った垣根とかしがらみの状況にももう一段階変化が生まれてくるんじゃないかと思うので。もし世界的なヒットが生まれたら、都内にスタジオを作って、外国人アーティストが来日した時に立ち寄ってくれるような場所にしたいと考えています。そこをフラリと飲めたり遊びに来れる場所にして、楽しいテンションで皆でセッションしながら、音楽を一緒に作る。日本人の仲間も含めて、大きい意味でのチームの輪を広げていきたいですね。
落合 それは、「ホテルを作る」という会社の大きな目標にも繋がっていくはずだと思いますね。
Photo by Taku Katayama