Q5. 意味深なタイトル『The Inevitable End(=避けられない終わり)』に隠された想いとは?

僕たちの活動の多くに当てはまることだけど、タイトルにも何通りかの意味を持たせる表現を使用したんだ。今まで、僕たちは自分達の音楽をなるべく決定付けしないように努めてきた。解釈をする側に十分な余裕を持たせたくてね。だから僕たちの方からはっきりと「こうです!」という表現の仕方はしてこなかったんだよ。タイトルはたくさんの事を暗示しているけど、その中で確定しているものは何もない。決定付けしたくないからさ。だけど、暗示していることの1つは「何事にも終わりがある」ということ。それは死を意味しているわけではない。ある種の死、ということ。いうなれば感情の死。人生において、何かが終わり、新しい何かが始まること。この世で、人の中で何かが終わると、それは別の何かに取って代わるのではなく、古いもの、より死に近いものとなる。この気付きはアルバムに含まれている「喪失感」にも繋がっているんだ。

アルバムに隠された思いは他にもあるよ。僕たちのアルバム・サイクルの避けられない終わりということさ。僕たちは幸運なことに、今まで『メロディーA.M』から始まり、『ジ・インエヴィタブル・エンド』で終わるまで、従来のアルバム形式を通じて自分達の伝えたいことを表現してくることができた。とても包括的な道のりだったと思う。こうすることによって、今後、より短い作品を出していくことができる。リリースとリリースの間の期間も短くなると思う。例えば、僕たちが、ある方向性、感情、音楽性を探求したいとしよう。だけど、12曲かけて探求するのではなく、3曲かけて探求したいとする。従来のアルバム形式を放棄することによって、そういうことがこれから可能となるのさ。

Röyksopp&Robyn – “Monument”(Music Video)

Q6. アルバム制作において何からインスピレーションを与えられた?

この質問に回答できない自分にインスピレーションを感じるよ。質問に回答できないのは、僕の人間性が表れているから。僕は音楽制作に没頭し過ぎて、のめり込み過ぎているから、一歩下がって自分を客観視することができない。創造の過程に関しては、完全に自己分析できていないんだ。なぜ自分達がこういう活動をするのかということについて考えたことがないし。とにかく「せざるを得ない」という気持ちしかない。アイデアは無限に浮かび上がってくるからインスピレーションが途切れることは一切ないよ。

Q7. 参加アーティストたちを選んだ理由やポイントは何?

スザンヌ・サンドフォーの声は以前から聴いたことがあり、素晴らしい声だと思っていたけれど、実は僕たちの間には個人的な面識はなかったんだ。彼女は僕たちと同じノルウェーに住んでいるんだけどね。ノルウェーは人口5百万の国だから、僕たちと似たような音楽をノルウェーでやっている人たちとはいずれ知り合うことになる。だけどスザンヌとは、まだ会ったことがなかったんだ。彼女と電話で話す機会があった時、彼女はとてもやさしい人で話しやすかったし、僕たちと一緒にツアーがしたいと言ってくれた。そして、僕たちは“Running To the Sea”を書いたんだ。彼女が曲を歌いにスタジオに来てくれたとき、彼女の才能に圧倒されたよ。ベルゲンにも何度か来てくれて、それ以来彼女とは一緒に作曲を続けているんだ。それに夏中もずっと一緒にツアーをして同じステージに立ってくれたのさ。

ライアン・ジェイムスはリミックスを提供してくれてね。珍しいことだけど、リミックスに新しいヴォーカルを加える人たちがいるんだけど、それってクールなことだと思うよ。マン・ウィズアウト・カントリーはそれをやってくれたんだよね。彼らのヴォーカルでの貢献の仕方が気に入ったと伝えたら、ライアンは他にもヴォーカルを送ってくれたんだ。それを聴いたとき、この声こそ僕たちが“Sordid Affair”で求めていた声だと思ったよ。歌いにくいメロディーで、音程も高い。そしてベルゲンに来て彼が歌ってくれたとき彼は本領を発揮してくれたんだ。素晴らしかったよ。彼と一緒に仕事をするのは最高さ。

ジ・イレプレッシブルズのジェイミー・イレプレッシブルとは過去にたくさん一緒に仕事をしてきた。彼と一緒にスタジオに入ったり、作曲したりするのは、このアルバムで表現したいこととピッタリ合った。ジェイミーとコラボするきっかけになったのは、ジ・イレプレッシブルズの“In This Shirt”という曲を聴いたからだったんだ。この曲を見つけて、自分達がDJセットでこの曲をかけられるように、ビートを加えてロイクソップ・バージョンを作ったんだ。で、その事が彼らの耳に入ったんだ。ロイクソップがジ・イレプレッシブルズのリミックスを無断で作っている、と(笑)。そしたら彼らは、僕たちがより良いリミックスを作れるように、曲のパーツを送ってくれたんだよ。僕たちのリミックスを気に入ってくれたみたいで、その後ジェイミーが僕たちと一緒に音楽を作りたいと言ってくれた。僕たちもジェイミーと一緒に仕事がしたかったから、このコラボが実現したのさ。

Q8. アートワークに込めた思いは?

アートワークはエレガントで、あまり多くの要素を使っていないと思う。少ない要素を用いてやりたいことを達成するという、アルバムの美学を反映しているよ。丁寧であると同時に、感情を呼び起こす作品となっているよ。

【読プレ有】今のRöyksoppがわかる10の質問 interview141117_royksopp_jk

『ジ・インエヴィタブル・エンド』ジャケット

Q9. アルバムを通じて、リスナーに伝えたいメッセージはある?

僕たちの音楽から何を感じて、何を考えるのを、僕たちが決定付けるのはあまりしたくない、ということは先ほども話したとおりさ。僕がよく思い出すのは、ミニマル・ミュージックの作曲家フィリップ・グラスの言葉だよ。「我々はコマーシャル(CM)をなぜ嫌うか? それは全てがシンクロしているから。音楽とイメージが完璧にシンクロしているから、視聴者が解釈する余地を一切与えない。」コマーシャルの流れを見ても、何か発見があり、「これは自分独自の発見だ」と思える部分が存在しない。でも音楽では、そういった部分があって良いと思う。僕たちは、アルバムで世界を創り上げている。僕たちの音楽を聴けば、リスナーはその世界へ行くことができる。だけど、その世界がどこで何であるかというのは、リスナー個人の解釈に任せておきたい。僕たちは飛行機を作るけど、その飛行機の目的地は明確にしていないってことさ。

Q10. ロイクソップの今後はどうなるの?

ソフトメタルバンドになる。酷いタトゥーをいっぱい入れて、偽ギャングスターになるよ(笑)。

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2014年11月17日(月)- 2014年12月7日(日)24:00まで

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