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“ロックは死んだ” ――21世紀の始め、中学生だった僕は音楽というものに初めてハッとさせられた。今はあまり勢いのないイギリス産のロックに。だからこそ、”ロックは死んだ” ――そんな刹那的で確証のない言葉に対して、共感をもてちゃったりする。もちろん、昨今のそれを否定するつもりはないが、どこか小難しかったり、ファッションが先行したり、優等生がやっている感じが物足りなかったりするのだ。しかし、時代を逆行するバンドが現れた。ロンドンで結成された女性4人組バンド、サヴェージズだ。着飾らず、生々しく、人間くさく、鋭い彼女らの音楽に久しぶりにハッとさせられたのだ。

まだ、結成から2年弱しか経っていないにも関わらず、NME、ピッチフォークなどのメディアに大プッシュされ、BBCサウンド・オブ・2013ノミネート、<コーチェラ>などの海外フェスへも出演済でデビューするのには既に十分な話題を得ている彼女たち。ポーティス・ヘッドのジェフ・バーロウに至っては、「サヴェージズはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのようなバンドだ。彼女達は、皆に愛されるクラッシック・バンドになるに値する」と公言している。そして、米老舗レーベル〈Matador〉と契約し、いよいよ日本でもデビュー・アルバム『サイレンス・ユアセルフ』が5月22日(水)に発売されるのだ。

アルバムの幕開けを飾るのは”Shut Up”という何とも攻撃的な曲だ。イントロに流れるジョン・カサヴェテスの映画『オープニング・ナイト』の引用が彼女達のダークで暴力的な世界観を印象づけ、地鳴りのようなベース音を合図に曲が始まる。続いて、ライブ盤EPとして海外で先行発売された”I Am Here”はジョイ・ディヴィジョン直系のポストパンク・サウンドを彷彿させる。古時計の秒針が揺れているような不穏な音で包まれる間奏曲”Dead Nature”のあとには鋭くキャッチーなリフで始まる”She Will”につながる。そして、今作で唯一ピアノを使用した曲”Marshal Dear”で静かに幕を閉じる。

「私達はあなたの中に眠っているものを音楽によって、再び呼び覚ますことを目標としているの。つまり、感覚的であるものを肉体的に感じさせるということね。音楽と詩は雷や、顔を殴られた時のような感覚と似ていて、自分の希望や願望を理解するためのものなのよ。」(※ピッチフォークの記事より引用)と彼女達が語るように、今作を聴き終えると不思議と物事が少し違って見えてくる。文学や映画から多いに影響を受けたというジェニー・べス(Vo.)の歌詞と印象強いサウンドが相まって。「サイレンス・ユアセルフ=自分自身を見つめろ」−アルバムを通して聞く事によって、そんなタイトルが初めて意味を帯びてくるのだ。あなたもサヴェージズにハッとさせられてみてはいかがだろうか。

“Shut Up”

そして、デビュー直前の前哨戦でもあった米・最大の音楽見本市<SXSW>にて彼女達にインタビューも行ってきた。インタビューは少しピリピリした雰囲気の中で行われた。文中にもあるが<SXSW>を「最悪」と批判したり彼女達の発する言葉は一見、過激でストレートすぎる”若気の至り”のように思えるが、全くそんなことはない。積極的に自主イベントを企画したり、日本のメディアだと伝えると食い気味に「ボー・ニンゲン、知ってる!?」と聞いてきたりと音楽に対する姿勢はどこまでも純粋で真っすぐである。そんな彼女達のアティチュードもインタビューから汲み取ってもらえるとありがたい。もちろん、ライブもしっかりと観てきたのでそちらも合わせてご覧あれ!

Live Report:Savages

2013.03.13(wed)@The Main Austin,TX,USA

サヴェージズを最初に観たのは(あまりの良さに<SXSW>で2回、NYで1回、短期間で計3回観てしまった。)、<SXSW>のオフィシャル・イベントとして行われたBrooklyn Vegan(NYはブルックリンを中心とした音楽情報サイト)によるショー・ケースだった。<SXSW>期間中に「サヴェージズのライブがかなりいい」という噂を耳にしていたので、やっと彼女達を観ることができるのかと思うと興奮なのか炎天下のせいかソワソワしてしょうがなかった。会場はThe Mainと名付けられた、臨時で野外にステージを設置したような場所。このように、元々の用途が全くわからないハコが<SXSW>ではたくさん存在する(笑)。

音声のトラブルなどで予定時間より少々遅れて、4人が登場する。快晴という天気が似合わない、いかにもロンドンのバンドといった風貌である。ボーカルのジェニーが観客をしばらくじっと見つめると、一瞬で緊迫した雰囲気を作ってしまう。恐るべき存在感だ・・・。ドラムのフェイの合図によって、ライブは”She Will”でスタート。”She Will”と何回も繰り返される攻撃的なフレーズに圧倒されたのか、オーディエンスは静かに聴き入っていた。アメリカのライブでは非常に珍しいことだ。鋭いリフ、地面を叩き付けるような重いベース、大味なようでめちゃくちゃ細かいところまで表現するドラム、ジェニーの堂々たる佇まい、それら全てが男の僕でも本当にウットリしてしまうようなかっこよさなのだ。その他にも先行シングルとして公開された”Husbands”や”Shut Up”なども演奏し、会場をあとにする。

【独占インタビュー】サヴェージズがデビュー作をリリース。世界が注目する新人バンドに独占インタビュー&ライブレポートもお届け! music130522_savages_sxsw13_0939-1

【独占インタビュー】サヴェージズがデビュー作をリリース。世界が注目する新人バンドに独占インタビュー&ライブレポートもお届け! music130522_savages_sxsw13_0964-1

30分程の短いセットだったが、彼女達の魅力を堪能するには十分な時間だった。一語一語、一音一音が重く、まさに”Silence Yourself=自分自身を見つめろ”、そんな言葉が突きつけられるようなライブであった。今後は、スペインの<プリマヴェーラ・サウンド>、イギリスの<グラストンベリー>と大型フェスを始め、世界中をツアーで回るそうなので、日本に来る日もそう遠くないはず! 期待して待とう。

(text by Taisuke Yamada)

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Qetic編集部

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