Interview:Savages(ジェニー・べス:Vo.、ジェマ・トンプソン:Gt.)

――世界中のネットメディアなどでサヴェージズについての話題は広がっていますが、改めてそれぞれの名前とバンド内での役割を教えてください。

ジェニー・べス(以下、ジェニー):私はジェニー。ボーカリストで、歌詞を書いているわ。

ジェマ・トンプソン(以下、ジェマ):私の名前はジェマでギターを弾いているわ。曲は4人で一緒に作っているわ。

――バンド結成に至った経緯を教えてください。

ジェマ:バンドを組んだのは1年ちょっと前かしらね。ジェニーと私はそれより前に2人で音楽を作っていて、エイスと私は昔いっしょに別のバンドを組んでいたの。2011年の10月ぐらいだったかしら。フェイとも会って、4人でバンドをやることになったの。

――それは音楽の趣味が合ったことからだったのでしょうか?

ジェマ:4人で同じ音楽をプレイしてはいるけれど、それぞれ趣味や影響された音楽は違うの。

ジェニー:例えばドラマーのフェイは小さい頃からパーカッションをやっていたんだけど、その後、ロンドンでダンス・ミュージックの洗礼を受けたみたいだしね。

――バンド名をサヴェージズとしたのはなぜですか?(Savagesとは”野蛮人”や”未開人”という意味)

ジェニー:バンド名はジェマが考えついたの。

ジェマ:新しい音楽のジャンルや、新しいライフスタイルを開拓していくことがバンド結成時のテーマだった。

ジェニー:他のものから影響を受けていない、自然なものを作りたかったから、Savagesという言葉はぴったりだと思ったわ。

――<SXSW>はいかがですか?

ジェニー:最悪よ。ミュージシャンにとって演奏しにくい環境だし、もう二度と来ないと思う。サウンドチェックの時間もないし、オーディエンスに申し訳ないというか、まともなショーができていないの。この機会を利用してやろうとは思うけど、私たちがやりたいこととは全く反れてしまっているしね。これはビジネスが最優先に考えられたフェスティバルよ。オーディエンスやオースティンの人たちは良いけど、もっと環境が整った中で演奏したいわ。

――ライブを観させていただきました。本当に素晴らしかったです。ライブを観て、ポスト・パンクからの影響を感じましたが、これまでどんな音楽を聴いてきたのですか?

ジェニー:私もジェマも、ほとんど音楽を聴かずに育ったの。両親が音楽に興味がなかったよね。実際のところサヴェージズの音楽は文学や映画、人物などに影響されている部分が大きくて、音楽的影響について話すのはあまり好きじゃないわ。面白いとも思わないし。

ジェマ:例えば私は「人々のものに対する姿勢」に影響を受けることが多いの。例えば演劇を観て、役者の演技や観客に対するアプローチの仕方に影響を受けて、自分のパフォーマンスや、観客への向き合い方に取り入れたりするわ。

【独占インタビュー】サヴェージズがデビュー作をリリース。世界が注目する新人バンドに独占インタビュー&ライブレポートもお届け! music130522_savages_sxsw13_0191-1

【独占インタビュー】サヴェージズがデビュー作をリリース。世界が注目する新人バンドに独占インタビュー&ライブレポートもお届け! music130522_savages_sxsw13_0196-1

――サヴェージズは2011年8月のロンドン暴動のすぐ後に結成されたようですが、そういった社会から何か影響は受けましたか?

ジェニー:そういえばそんな時期だったわね。初めてのリハーサルは暴動のせいでキャンセルになったし。バンドのバイオグラフィーにも書くべきかしら(笑)。冗談よ、暴動を利用するような真似はしたくないわ。あのときは本当にひどかった。同世代の友達も暴動に賛同したり反対したりして、その結果、暴力が暴力を生むような連鎖反応が起きていた。キッズの神経を逆撫でするような環境を作った社会が悪いのだから、至って自然なことだと思うけどね。私自身は賛成も反対もしないけど、暴動が起ったとき、驚きはしなかったわ。若いバンドとして、彼らの不安や怒りから少なからず影響は受けていると思うわ。私たちも暴動に走った若者たちが抵抗していた社会に染まらないようにしているし。音楽業界の怪しいビジネスマンや、両親がやれと言うことには気をつけているようにしているわ。

――今年の夏はツアーで世界中回る予定ですか?

ジェマ:アルバムが5月に出て、それから世界中を飛び回るのだと思うわ。でも、自分たちで腰を据えて作り上げるイベントにも興味があるの。2月にも1回やったんだけど、ライブハウスを借りて、バンドなりパフォーマーなりを呼んで、自分たちで一晩のプログラムを組むようなイベントを打ちたいの。だからそういうイベントができるライブハウスをロンドンで探しているわ。

ジェニー:そうね。ニューヨークでも良いかもしれないけど。前座のバンドが出て、私たちが出る、みたいなフォーマットじゃなくて、ダンスパフォーマンスを組み込むとかね。ツアーだけじゃなくて、そういった新しい音楽の提示方法を模索しているの。例えば、1カ月ぐらい前からライブハウスを決めて、何をやるかとか、何を着るかとか、どんな照明にするとか、客席の配置はどうするかとか、会場の雰囲気作りを含めてじっくり考えるとかね。その方が私たちの中でも心に残るイベントになるし、それぐらいファンに対して真摯でいたいの。いわゆる「インディー」のバンドがやっているような、年に10曲とか曲を書いてたまにライブをしてみたいな、くそ真面目で死ぬほどつまらない生活は送りたくないのよ。

――ちなみに今後、日本でライブをやる予定はありますか?

ジェマ:あるわ。

――日本に行くんですね。どんな気分ですか?

ジェマ:すごく楽しみ。前から日本には行きたかったの。

――ジェニーはロンドンを拠点に活動する日本のバンド、ボー・ニンゲンの”Nichijyou”に楽曲、ミュージック・ビデオと共に参加されていますよね。彼らとの出会いの経緯をお聞かせ下さい。

ジェニー:ボー・ニンゲンとは、確かどこかのフェスで出会ったんだったと思う。サヴェージズを組む前に、私はロンドンで開催される彼らのライブに毎回行って、演奏を撮影したりしていたの。それぐらい彼らのことは大好き。サヴェージズが結成されるまでロンドンにはボー・ニンゲンぐらいしかまともなバンドがいなかったのよ。なんて冗談だけどね(笑)。彼らはライブがすごく良くて暴力的なの。ライブ中に何かが起こる予感がするというか、ドキドキさせてくれるの。そんなことをできるのはロンドンで彼らだけなのよ。だから彼らからはかなり良いインスピレーションをもらったし、個人的にとても大切なバンドなの。そんなボー・ニンゲンにこの前、新曲でボーカルを歌うように頼まれたから、私の家でレコーディングしたわ。これからもスケジュールが合えば一緒に何かを作ろうと思っているの。ジェマも色々考えているしね。

ジェマ:ダダイスム(第一次世界大戦に対する抵抗から生まれた芸術思想や芸術運動のこと)のポエトリー・リーディングを元にしたパフォーマンスを考えているの。まず2人のボーカリストが同時に別の詩の朗読を始めてバンドがそれについていき、時にハーモニーが生まれ、時にぶつかり合うような、ある種のカオスを伴ったパフォーマンスを作り上げようと思っているわ。

※彼女らの公言通り、今月末5月29日にこのパフォーマンスをロンドンで行う。

(interview by Dan Shimizu / photo by Taisuke Yamada)

Release Information

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Artist:Savages(サヴェージズ)
Title:Silence Yourself (サイレンス・ユアセルフ)
Matador/Hostess
BGJ-10174
¥2,490(tax incl.)
※ボーナストラック4曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付