――シングル曲が網羅されていて、個人的にはデビュー作にしてグレイテスト・ヒッツ! といった印象なのですが、収録曲のチョイスであったり、トラックリスティングはどのように進めていったのでしょうか?
カップリングも含めて「捨て曲が無い」というのが今までのシングルだったので、それぞれのカップリングも1曲ずつぐらいは入れようってことはチョイスの基本になってます。あとはスタッフみんなの共通意識みたいな曲があったのでそれも収録しているんですが、リード・トラックの“ラヴコリーダ”が他の曲を決める前に完成してしまったんですね。もともとアルバムを作る時に「今まで持っていた土台をさらに広げるものにしたい」と思っていたんですけど、“ラヴコリーダ”がものすごくカラフルでキラキラした曲なので、そこでグッと引っ張った分、(テーブルに点を結んでいく仕草)じゃあここに大きな点を引いていこうかなって。
――分度器で(表現の)バランスを測っている…というお話は聞いたことがあります(笑)。
分度器の話するの久しぶりだ(笑)。“ラヴコリーダ”があまりにもコッチ(カラフル)に行ったので、ガッと分度器が傾いた中で、振り幅を持たせたという感じはあるので…。その中でかなり大きな土台を作ることが出来たんじゃないかなと思うぐらい、16通りの色んな顔がありますね。なんか、ひとつ大きなアミューズメント・パークを開設した気分になってます。
――「カフカランド」的な(笑)。たしかに“ラヴコリーダ”に引っ張られると、アルバム全体がものすごくアグレッシヴな作品になりそうですよね。配信デビュー・シングルの“デイドリームライダー”をオープニングに、ラストに“music”を持ってきたのは、カフカさんのものすごく熱い意志を感じました。
ライヴのセットリストもそうですが、最後はドカーンと終わった方が気持ちいいんですよね。曲の持ってるパワーだったりとか、自分の込めた想いとかを含めて、“music”はいちばん最後にふさわしいんじゃないかと思いました。“デイドリームライダー”はやっぱり、すべての始まりの曲ですから。
――シシド・カフカという名前はコピーライターの方に付けてもらったとおっしゃってますが、『カフカナイズ』というタイトルはキャッチコピーとしても非常に優秀ですよね。簡潔で、キャッチーで、オリジナル。これはカフカさんの提案ですか?
チームの方と一緒に考えたんですけど、言葉の由来は「オーガナイズ」です。この1枚のアルバム……アミューズメント・パークをオーガナイズしたぞ! というのと、分度器がググッとズレたけど違う側面もまだまだ見せられることがわかったし、新しい発見も色々あったので、それをどんどん深く掘り下げて…っていう今後の方向性がイメージ出来たんですよね。これからも色んな挑戦が出来るということと、これからの自分をオーガナイズしていくっていう意味でも『カフカナイズ』と名付けました。
――他に候補はあったんですか?
『カフカナイザー』とか(笑)。もうちょっとフザけたやつはありましたね。