――本当に全く違ったんですね(笑)。それだけ色々な方向性に向かう可能性があった中で、最終的に“Over And Over”のような、キラキラのシンセ・ポップ路線になったのはなぜだったんでしょう?
マイク それはたぶん、当時自分たちが書いた曲の中で、あの曲がベストだったからじゃないかな。自分たちでも他にはない魅力を感じたんだ。他の曲もプレイするのは楽しいし、今でもたまに聴いたりするんだけど、“Over And Over”には突出したものを感じたんだよ。
――その後デビューEPをリリースして、トゥー・ドア・シネマ・クラブやグループラヴ、トウェンティ・ワン・パイロッツを筆頭に様々なバンドのサポートを務めました。その期間、どんなことを学びましたか?
ボー・クーサー(以下、ボー) まず、ラジオで聴いてたようなバンドが、僕らと一緒にプレイしたいと思ってくれるなんて驚きだったね。究極の経験だよ。
ショーン ああ、その期間は色んな意味で本当に勉強になった。どんな風に彼らのライブが出来上がっていくのかを間近で見ることが出来たからね。それに、僕らもそういう人たちのライブを観て、「自分たちのカラーを見つけなきゃいけない」って思ったんだ。みんなが気に入ってくれるようなものにするために、「どうやって次の曲に移り変わるか?」「どうやってオーディエンスを湧かせるか?」ということを色々勉強していったよ。
――デビュー作『ラヴタップ!』の曲は、そのツアーと平行して作っていったんですか?
ショーン いや、ツアー中は忙しくて書けなかったから、家に帰ってプロデューサーのキャプテン・カッツ(グループラヴのメンバーも在籍。ただし、今回のレコーディングには不参加)のみんなとスタジオに入って作っていったよ。EPの時と同じような感じだね。自分たちで曲を書いて、プロデューサーに渡してレコーディングしていくんだけど、そこで彼らがプロデュース的な音を入れていくような感じでね。実は、スタジオに入ってからみんなで書いた曲もあって、“Lovetap!”と“Street Fight”はそうやって作っていったんだ。
Grouplove – “Ways to Go”
――「ラヴタップ!」はアルバムのタイトル曲でもありますが、この言葉は作品全体の雰囲気とすごく合っていますね。陽気で親密で、カッコつけている雰囲気もあるような……。
ショーン そうだね。僕らが表現したかったイメージはまさにそれだよ(笑)。
ジョー そもそも「ラヴタップ!」は僕らの造語だから、この言葉自体、アルバムが出来ないと生まれなかったものなんだ。だからアルバムの雰囲気とも合うんだと思う。
――それにしても全編、キラキラとしたポップ・ソングばかりが詰まっています。こういう作品にしようと思ったのには、何かアイディアのようなものがあったんですか?
ショーン 音楽的に自分たちが好きなものがしっかりとした曲が書けるソングライターで、だから自分たちもそういう曲が書きたいと思ったんだ。楽しくて、キラキラしたポップ・ソング。でも、僕らの場合、よく作品を作り終わってから「そういえばスローな曲を書き忘れたね」って話になるんだよ(笑)。だから、次はそういう曲をやってみるのもいいかもしれないね。
『ラヴタップ!』ジャケット
――では、アルバムの中でお気に入りの曲を挙げるなら? 「この曲が気に入ったら、このアーティストもオススメ」というものもあれば同時に教えてもらえると嬉しいです。
ショーン 僕はその時々によって好きな曲が変わるんだけど、ここ最近は“Lovetap!”だね。すごくクールなコード進行が出来て、シンセとギターに合うその感じが気に入ってるんだ。フェニックスっぽい雰囲気があると思うんだけど、どうかな?
Phoenix – “Trying To Be Cool”
ジョー 僕は“American Love”。ベースを聴いてもらうと、この曲はトゥー・ドア・シネマ・クラブみたいな雰囲気がある。とにかくライブでプレイするのが楽しくて、色んなところにサウンドが行くところが好きだよ。
Two Door Cinema Club –“What You Know”
ショーン (小声で)マイクはジョン・メイヤーとしか言わないはず……。先にジョン・メイヤーって言っちゃえばよかったのに。
マイク (笑)僕は“Killer Whales”にしよう。“Lovetap!”って言おうとしたんだけど、言われちゃったし。ハッピーな曲で、カーズとヴァン・ヘイレンが合体したような曲だと思う。80年代のフィーリングがあって、(リック・スプリングフィールドの)“Jessie’s Girl”にも近いよね。
Van Halen –“Jump”
The Cars – “Heartbeat City”
Rick Springfield –“Jessie’s Girl”
ボー 僕の場合は“Street Fight”が好きだな。この曲もハッピーでいいフィーリングに溢れてる。それに、ショーンのヴォーカルもそうで、雰囲気がちょっと(バンドでカヴァーもしている)ニュー・ラディカルズっぽいと思うんだ。
New Radicals –“You Get What You Give”
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